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(レポ&写真) [ZST] 5.27 ディファ:バレット、組技トーナメント優勝

ZST事務局 "ZST GT-F2"
2006年5月27日(土) 東京・ディファ有明  観衆:974人

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


◆ GT-F2(第2回ZSTフェザー級(65kg未満)グラップリングトーナメント)

第1試合 一回戦(1) 5分2R
○勝村周一朗(勝村道場)
×ジェイソン・ラインハルト(アメリカ/ラインハルト・マーシャルアーツ)
1R 1'35" 三角絞め


 入場式で挨拶も行った勝村。組み手争いの後、引き込みと同時に足関へ。いったん立ち上がるとラインハルトにタックルで倒されるが、下から三角を極める。ラインハルトはマットに叩き付けて脱出を試みるものの、さらに極まりが深くなりタップ。勝村が余力を十分残したまま準決勝に駒を進めた。

第2試合 一回戦(2) 5分2R
○所 英男(リバーサルジム)
×今泉堅太郎(SKアブソリュート)
判定3-0


 開始早々、今泉がアキレス腱固めでチャンスをつかむ。所は「凄く痛かった。サンボの選手は破壊力がある。あのままだったらヤバかった」と振り返るほどのピンチ。だが脱出に成功すると、「SKの選手相手だと意地の張り合いになる」というだけあり、熾烈な関節技合戦を展開。飛びつき系の技を多用しつつ、1R終盤にはタックルに来た今泉を腕絡みに捕らえ、脱出された後もギロチン、バックからのチョーク等でチャンスを作る。
 久々に所らしさが存分に発揮される試合。今泉も負けじとテイクダウンを繰り返し、足関を狙うが、所は素早く対処しアームロック等で応戦する。最後は所が憧れたリングスを彷彿とさせるアキレスの取り合い。どちらも力を振り絞り痛みにも耐え、試合最大の見せ場を作りそのまま試合終了。マストシステムのため、チャンスの若干多かった所に軍配が上がったが、打撃ありのZSTルールでの再戦も見たいと思わせる好内容だった。

第3試合 一回戦(3) 5分2R
○バレット・ヨシダ(アメリカ/グラップリング・アンリミテッド)
×奥出雅之(ゴールドジムサウス東京)
1R 1'54" チョークスリーパーホールド


 背後からしがみついたバレットに対し、奥出が桜庭風のスタンディングアームロックを仕掛けるが、そのまま倒れるとバックマウントとなり早くもピンチ。バレットはアームロックでプレッシャーをかけ続けた後、チョークを極めあっさりと準決勝に進んだ。

第4試合 一回戦(4) 5分2R
×大石真丈(K'zファクトリー)
○フーベンス・シャーレス(ブラジル/TT柔術)
1R 3'53" 腕ひしぎ十字固め


 柔術世界王者・シャーレスは開始早々引き込んで腕十字狙い。だが防御した大石はアキレス腱固めで先にチャンスを作る。シャーレスは一瞬苦痛の表情を浮かべたが、脱出に成功するとスイッチが入ったかのような怒濤の攻め。サイドポジションからアームロックを狙いつつ、最後は腕十字で大石の腕を伸ばしきりきっちり一本を取った。

第5試合 準決勝(1) 5分2R
○勝村周一朗(勝村道場)
×所 英男(リバーサルジム)
1R 4'55" 三角絞め


 修斗で活躍していた勝村がZSTに初参戦したのは04年11月の所戦。その時は試合時間わずか38秒、所にギロチンを極められ屈辱の失神負けを喫したが、その後の二人は親しくなり、共に練習する関係になった。
 そして今回、トーナメントの準決勝で再戦。グラップリングルールとはいえ、勝村は「楽しかったけど、やりにくいどころじゃなかった」、所は「自分のやりたいことを見られている感じがした」と話し、やりにくさを隠さない。ラウンド前半、二人とも派手な飛びつき系の技を多様し観客を驚かせる。だが一回戦ほどの緊張感が感じられず、一歩間違えばエキシビジョンマッチに堕する恐れもあった。

 しかし後半、真剣勝負の怖さを観客に思い知らさせる展開に。ハーフガードの攻防、一回戦の疲れも残る所は集中力が切れたか? 攻めあぐねて腰を浮かすと、その隙を逃さず勝村が三角絞め。「足がパンパンになって2Rは持たないと思った」と振り返るほど強く絞り上げると、所が失神しレフェリーが試合を止めた。所は「残り30秒のコールが聞こえて、このまま続いたらやられると思っていたら、気づいたら落ちていた」とこのシーンを振り返る。
 失神のお返しは失神で。意識を取り戻した所に勝村が「仕返しだ」と話すと、二人は子供の兄弟喧嘩のように顔を引っぱたき合う。勝村は「どっちかが引退するまでにあと1回やろう」、所も「今度はリングスルールでバチバチやり合おう」と再戦を誓い合った。

第6試合 準決勝(2) 5分2R
○バレット・ヨシダ(アメリカ/グラップリング・アンリミテッド)
×フーベンス・シャーレス(ブラジル/TT柔術)
判定3-0


 バレットが引き込むとシャーレスは何度もサイドポジションを取るが、その先の極め手が無い。1R終了後の90秒のインターバル中、レフェリーは極めに行くように注意する。2Rになるとようやくシャーレスはアンクルを狙う場面もあったが、極まりは浅い。逆にバレットはアームロックやヒールホールドでチャンス。1R最初にもアキレスでチャンスを作っているため、トータルでチャンスの多かったバレットに軍配が上がった。
 だがシャーレスの応援団やルールを理解していない観客からは不満の声。和田良覚レフェリーが「ZSTではポジショニングは重視しない。極めに行っている方を取る」と説明しないといけない状況だった。

 ZST側はGT-Fルールを前日のルールミーティングでシャーレスに説明済で、観客全員に配布されるパンフにも、1面を使ってクローズド(クロス)ガード禁止等とルールを明記していた。クロスはおろか、ハーフで相手の片足をロックすることも禁止のため、簡単にパスガードできて当然だ。ちょうど逆の例えで言うならば、この日のシャーレスは、柔術の試合でポイント制を理解せずに極めばかりを狙って、ポイント大差で負けてしまう他競技の選手のようだった。
 仮にシャーレスが頭でルールを理解していたとしても、パスガードの度に湧く応援団にノせられてしまったと考えられなくもない。ブラジル人の応援団は、パンフの日本語の説明が読めなかったのだろう。ZSTの上原譲広報も「試合前に映像とかで(ルール説明を)やれば良かった」と改善策を示しており、今後このようなトラブルは減るはずだ。シャーレスがZSTのルールを体得した上で、バレットと再戦する日が来る事を期待したい。
 

第7試合 決勝 5分2R
×勝村周一朗(勝村道場)
○バレット・ヨシダ(アメリカ/グラップリング・アンリミテッド)
1R 2'52" チョークスリーパーホールド

※ヨシダがトーナメント優勝

 準決勝で盟友・所に勝った勝村が決勝で相対したのは、またも盟友だった。バレットとは昨年10月にアメリカで行われたヒクソン・グレイシー主催のグラップリング大会「ブドーチャレンジ」で意気投合。一回戦と準決勝で極めた三角の秘訣もバレットから教わったという。
 所戦で痛めたのか? 勝村は右脚を少し引きずるようにリングイン。最初の引き込みは叩き付けられたが、離れ際のバレットのタックルを変形ギロチン(勝村はニンジャチョークと命名)に捕まえ、バレットに「危なかった」と言わしめる。
 だがこれを外されると万事休す。上になったバレットはグラウンドコブラ(ツイスター)を仕掛け、最後はバックを取ってチョークを極めタップを奪った。

 バレットは01年のコンテンダーズで行われたトーナメントに続き、日本のプロのグラップリングトーナメントを2度目の制覇。アブダビコンバットで01年03年の2度準優勝し、昨年10月のGIグラップリングでも準優勝しており、この分野での強さをまたも見せつけた格好だ。
 リング上では「またZSTに上がりたい」とアピール。所も「(前回の)GT-Fベルトを賭けてやりたい」「KOKルール(ZSTの総合ルール)でもやりたい」と対戦意欲を示しており、今後好カード続出が期待できそうだ。

 次回大会は9/10ディファ有明での「ZST.10」。だが上原広報は負け続きの所に関しては「しばらく休ませてあげたい。8月5日はHERO'S、9月はうちがあるけど、本人の気持ちを聞きたい」と話している。ペケーニョ戦でブレイクし、怒濤の1年を過ごしてきた所。常人では耐えられない苦労を積み重ねてきたに違いない。しばらくの休養を経て、元気な姿で戻って来る日を期待しよう。

◆ZSTルール・ワンマッチ

第7試合 73kg未満契約 5分2R+3分1R
○小谷直之(ロデオスタイル)
×佐東伸哉(P's LAB東京)
1R 2'10" アームバー


 PRIDE武士道への再挑戦を目指す小谷は、PRIDEライト級と同じ契約体重で試合出場。パンチを振りながらサバ折りで倒すと、ハーフガードからアームバーやギロチンを狙いつつ、最後はマウント状態からのアームバーでタップを奪い完勝した。“ハイブリッドこんにゃくレスラー”佐東は体格差の壁もあり全く持ち味を出せなかった。

サンボ界の重鎮・ヒョードロフ氏を追悼

 一回戦終了後の休憩明けには、61歳で亡くなったサンボ界の重鎮・アレクサンドル・ヒョードロフ氏を追悼し、10カウントゴングが鳴らされた。ヒョードロフ氏はリングス・ロシア勢を育て、所英男、エメリヤーエンコ・ヒョードルらにも間接的に大きな影響を与えた人物。SKアブソリュートの松本天心総帥もブログに追悼コメントを載せている。

小野寺愛さんの“卒業式”。終身名誉ZSTガールに

 メインイベント前には、ラウンドガールの小野寺愛さん(青のコスチューム)の卒業セレモニーが行われた。「ZSTガールで幸せでした」と話した小野寺さんは、ZSTから「終身名誉ZSTガール」に任命され、最後はリング上に大量の紙テープが投げ込まれた。


ジェネシスバウト フェザー級 5分1R
△福田正人(勝村道場)
△羽鳥洋輔(宇留野道場)
時間切れ


Last Update : 05/29 18:26

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