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全日本チーム ミレニアム年越し合宿を取材!
伊豆稲取年越し遠足日記 - 4


■疲労困憊ゲーム大会

テレビ局に依頼されているビデオ撮りのため、選手が泊まっている部屋へ行く。入った部屋の住人はフリー69の和田、76の小柴、97の中尾、グレコ85の横山。カメラを持って部屋に入るなり「ここだけは撮らないでください。」と部屋の一角を示す。確かに、ひとつのスポーツバッグを中心に荷物がだらしなく広がっている。「汚いのはこいつ(中尾)のところだけだから。僕はちゃんと畳んであるでしょ。」と着替えのTシャツなどを几帳面に畳んである様子を見せる和田。確かに、モノが散乱しているのは中尾の万年床がある一帯だけ。そして肝心の中尾はいない。なるべく中尾の荷物周りを避けて撮るか。

サッカーゲームに負けて不服そうな小柴 ▼部屋にはスー*ーファ*コンがテレビと接続されており、すっかりゲーム部屋。小柴がサッカーゲームに夢中になっている。が、負けてとっても不服そう。その脇でぐったりと横になる和田。ゲームしないのかと聞くと、布団に突っ伏したまま「勝てないからやらない。」どうにもくたびれてしまっているようだ。練習後に別の選手から聞いた話では、今日は朝からクロスカントリーのコースを走り、その後サーキットを何往復もして合計10kmは走っているらしい。正気の沙汰じゃないね。二十代後半が主力選手の大半で、しかも目の前の試合に勝つことを要求されているレスリング選手がやるトレーニングとは思えない。五輪資格獲得大会の第一戦を一ヶ月後に迎えているのに、この時期にでこぼこのある長いコースを走らせることと、レスリングで勝つことをどう結びつけてるんだろう?

まめまめしく立ち働く安原 ▼よその部屋からどんどん人が集まってきてだんだんゲーム大会に。小柴とヤスこと安原隆でマ*オ*ート対決。どうしても小柴は勝てない。今度はゲームをスト*ート*ァイターに変更して対決。最初は負ける小柴だが、トータルで安原に勝利。気が済んだらしく、対戦相手を別の人に譲る。安原は自衛隊所属のグレコ54kg級で全日本選手権3位。なので残念ながら今回の合宿は自費参加。合宿に行くと、必ず洗濯物を運ぶ彼の姿が見られる。よく気がつく人で、いつもまめまめしく立ち働いている。

▼携帯電話が鳴って、小柴が電話に出る。家族かららしい。陽気に話しながらも「どうせ2位さ。」と乾いた明るい口調。小柴の電話、ストラップの代わりにお守りがついている。「不気味だから、拾っても誰も使わないでしょ。」その間にも進行中のゲーム大会。ス*IIをやる限り、安原が一番弱いということにして終了。そんなこんなでカモにされているかのように見えるヤスくんですが、とってもよく働いて面倒を見てくれる彼にみんな感謝。自費参加でやってきて、さらに一番後輩だから、ということで下働きをすすんでやっている彼のために洗濯代の名目で先輩たちからちょっとずつ合宿費用をカンパ。雑用でこき使うだけの人ばかりじゃないね、見てる人はちゃんと見てくれてるね。

▼いつの間にか部屋に戻ってきた中尾、年賀状の宛名書きを始める。「こいつ、自分の写真を年賀状にしてるぞ。」と同じ所属の先輩に種明かしされる。皆から見せろと要求されるが、必死で隠す。どうやら、レスリング選手には見せたくないらしい。窓際へ逃げたときのぞき込みスペシャル年賀状を無理矢理見せてもらう。年賀状には腕立て伏せをしている写真が……。噂によると、中尾の年賀状には数バージョンあったらしいのだが、結局一つしか見られなかった。



 

伊豆稲取年越し遠足日記
→5「風光明媚なクロスカントリーコース」

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レポート&写真:横森綾