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全日本チーム ミレニアム年越し合宿を取材!
伊豆稲取年越し遠足日記 - 3


■プロフィール写真はかわいく写ろう?!

▼やっとの思いで午後練習終わり。食事までの時間、ロビーで静岡県の観光地図を見ていると、地元出身の小菅から事細かな解説が。小菅は静岡県函南(かんなみ)町出身。地図を見ながら地元の人がどこへ海水浴へ行くか、伊豆半島を縦断する天城峠の旧国道がとっても怖い話など。1月1日は休養日になっていて合宿の中休み。その中休みには、地元の友達に車で迎えに来てもらって帰省するのだそうだ。高校時代の通学経路のことを思い出しながら話し始める。「**駅で朝6時11分の電車で行って、**で6時18分のに乗り換え。間に合わないと直接**へ行って。まだ覚えてますね。」と感慨深げ。高校生くらいの時の一日て、一週間分くらいの濃密さで毎日過ごしていたような気がする。そのぶん、どうでもいいような細かいことも鮮明に覚えていたり。私も、自分が高校生の時に毎朝降りていた駅でいつも乗ってきてた人たちの顔をまだ覚えていたりする。

▼夕食時、食堂でプロフィール採取用のアンケートをひとりひとりに配布。今回は全日本選手権の1位と2位の両方。本当なら2スタイル8階級、それぞれ二人だから32人だが、フリー58kg級2位の山本徳郁(山梨学院大)、85kg級2位の横山武典(国士大助手)、130kg級2位の吉田清太郎(土崎消防署)、グレコ130kg級2位の室谷正憲(和歌山県武道館)の四人が辞退。その四人をひいて合計28人。なのだが、正直なところ顔と名前が一致しない人が結構いる。資料で持っているパンフレットに写真が載っていない人や、まったく髪型が変わってしまっているともうお手上げ。「まだ来ないのかな?」とこちらを伺い見る選手もいたりして。(^-^;どうにもならないので、知っている選手に「この人どこに座ってる?」と聞いて回り、なんとか配り終える。

▼7時から会議室でプロフィール用の写真撮影。会議室にはテレビとビデオデッキのセットが二つ。世界選手権のビデオが段ボールに入って置いてある。グレコは階級別にラベルの貼ってあるテープが置いてあり、全試合見ることができる。時間が空くと選手たちはそれを見ている。世界選手権に同行した自衛隊の科学班の人が撮影をし、編集までやって資料として提供してくれたのだそうだ。一方、フリーはビデオはあるものの全試合はないので資料としてはちょっと……日本チームは、普段からあまりヨーロッパ方面への遠征に熱心じゃない。だから、かなり意識しないとヨーロッパの選手の情報が取り込めない。でも、レスリングはヨーロッパ中心にルールが変更される欧州中心の競技。ナショナルチームに選ばれて他の日本選手より海外遠征が多くてもヨーロッパ方面の情報が不足する状態。初めての全日本入りをしたフリースタイルの選手たちなんて、ヨーロッパの選手をまったく見ていないから不安だろうな。用意されているビデオは日本人選手の試合と、決勝に近い試合だけなのだが、これから始まる五輪二次予選のグランプリ大会に出場してくるのは上位に残れなかった選手たちなわけだし。ここまで時期が迫ってくると、対戦相手と自己分析を重ねて、脳味噌を使って確実な勝ちを狙うのが得策、というか当たり前だと思うんだけど。

ビデオを見る左から松本、笹本、平井

▼世界選手権のビデオを見ている松本、笹本、平井の日体大グレコトリオを横目にプロフィール写真の撮影は進行中。写真撮影にノリノリ(死語)の川合達夫。日本から唯一の五輪出場資格を取った世界選手権からこっち、以前と同じ人物だとは思えないほどサービス精神が旺盛。人差し指を両頬にあててニッコリとポーズ。もう一枚は両手でピースサインを作り満面の笑み。これはプロフィール用の写真で、最近では新聞社とか、よその媒体がバウレビのデータを資料に使ってるんだよ、本当にこれでいいのか?と念を押せば、胸を張って「これでいいです。」と言い切る。

川合のせいで普通に笑えなくて苦労する平井 ▼日体大の後輩が写真を撮ろうとすると、川合がカメラを構える後ろで妙な顔をしてみせ、被写体にまともな顔をさせようとしない。「邪魔な人がいるんですけど」と言われる。そのために平井満生は3枚撮影。お風呂に入って慌てて髪を乾かしてから来たらしい田南部は「髪、変じゃない?」と盛んに気にする。シャワーを浴びてから再登場の小菅、しばらく髪が乾くのを待ってからパチリ。ナショナルチーム最年少の小幡邦彦は皆にからかわれっぱなし。撮影時、にっこり笑ってくださいとお願いしているのだが「笑い方が足りない」などギャラリーからの要求が厳しい。あらかた撮り終わるのだが、どうしても二人来ない。一人は小柴健二、もう一人は中尾芳広。小柴は電話で呼び出すと「すっかり忘れていた」とバタバタ登場。目の上を切っちゃって、痛々しい顔ながらもにっこり笑って撮影。中尾はどこ行ったんだ?仕方ないなあ、そのへんを歩いているときに捕まえるか。



 

伊豆稲取年越し遠足日記
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レポート&写真:横森綾