五輪出場資格獲得
川合達夫インタビュー


(4)本当に金メダル取るつもりですよ


−−前回のオリンピックのことで何か思い出すことありますか?来年、シドニーオリンピックに出られることはほぼ決まっていますけど。(全日本選手権優勝により五輪代表が確定)

「自分はオリンピックに出て、2コロで、一回戦負けて二回戦負けて終わってますよね。そのあと親に電話したんですよ。オリンピック行ってから2週間くらいだったんですけど、初めて親に試合終わってから電話して。もう、泣いちゃうんですよね。で、『ごめん』て最初ごめんだけ言って、次の言葉しゃべれないんですよ。喋ろうとするとうわぁ、て泣いちゃうんですよ。それで、結構、なんというのかな、もう『ごめん』しか言えなかったです。我慢するんですけど、涙がポロポロ出てきてですね、やっぱりそういう思いがある。そこで試合また頑張ろう、ということでレスリング頑張ってるんですけども。
 次の2004年アテネ五輪まで行きたいんです。レスリングやって、アトランタのときには自分ではまだまだ、まだ幼くて、考えが甘かった、ていうのがいっぱいありますから。その当時は一生懸命やってたつもりなんですけど。

 国際大会になると本当にもう、技術もなきゃしょうがないですけど、体力なんてあって当たり前ですけど、それにちゃんと気持ちが、メンタル面がついてこないと絶対に大きな力てのは出せないですよ。和田先輩(現フリー69kg級、和田貴広)とかは、前すごかったんですよ。もう腕時計がレスリングやってるみたいな、もう機械がレスリングやってるみたいな、ものすごい集中力で。
 だからもう、学生の試合もやって、全日本の試合もやって、国際大会もありますから、あんまり試合ありすぎるとやる気なくなってきちゃいますよね。試合行っても、相手の足見てもタックルに入る気にもならない、ていうのすごいありましたね。練習毎日すごいバンバンやってますから、もうタックル入るの飽きてきちゃうんですよ。それでも結構乗り越えて、今またやる気がある状態になってきてるんですよ、ここ2年くらいは結構やる気が戻ってきてるんですけど。ケガとかもあるんで、全部試合で力出し切れてないんですけど、それも実力ですから、て言われますけど。その中でも自分で、レスリングに対して前向きに持ってきたい、ていうのがあるんですけど。

 それで、最終的にどういうところにたどり着くか、ていうと、二つあるんです。まず自分のために、ていいますよね。みんな他の競技に聞いても、なんでサッカーするんですか?バレーするんですか?て聞いても自分のために、て答える人がいますよね。自分は選手としてはっきり言えるのは、自分のために、自分が納得したいがためにやるだけなんです。試合行って、本当に力を全部出し尽くした、ていう試合をしたいんですよ。そういうのが一回だけあってですね、大学4年のときの最初の世界選手権なんですよね。四回勝って二回負けて六試合やったんですけど、試合終わったあとにバンバン頭打ってるから、パンチドランカーみたいに脳味噌が震えるんですよ。ぐらぐらぐらって。痛いけど、いつやったのかも分からない、ていう。そういうような、選手として自分の持っている力を全部出しきる。優勝とかそういうの関係なしに、五試合六試合七試合、ていうのをやって初めてそこまでいける。そうなると優勝しちゃうんですけどね。でも、自分の力を出し切るのが本当の狙いですから、優勝してもやっぱり次の試合にそれを求めちゃうんですよね。だから世界選手権で優勝してもオリンピックで優勝しても、僕オリンピック優勝狙ってるんですけども、たぶんまわりは誰も僕はとれないと思ってるんですけども、僕は本当に狙ってるんですけども、わかんないですけども。」

全日本優勝&五輪代表確定でよろこびの川合−−国体の中継で『川合選手は金メダルを取りますと言っています』と放送されていましたよ。

「たぶんまわりはみんなとれないと思ってますけど、僕は本当にとるつもりでいますけどね。一番難しいのは一回戦なんですよ。その次に難しいのは二回戦で、その次が三回戦なんですよ。みんな決勝取るのが難しいと思いますよね。逆に最後の方は楽になって来るんです。最初が一番難しいんですよ。減量もしますから、そこで体の皮下脂肪落としているのが出てきますよね。できるだけ88kgくらいにしておいて、そこから落とせば3kgていうのは水分で落とせるじゃないですか。そういうのも全部合わせて、気持ちも集中していって合わせていけば。でもそれは自分のゴールになるとは思わなくて、やっぱりずっと競技は続けていきたいですけどね。

 ソウルオリンピックで優勝したロサ・モタていますよね。金メダルとったあとに『私は世界のトップランナーでなくなったあとも、マラソンを続けます。私は走ることが好きだから』て言ったんですよ。浅利純子とかも、あんなに走ってて疲れないのかな大変だな、と思いますけど『走るのが好きで楽で苦にならない』て言うんですよ。やっぱりロサ・モタも走っているのが好きな人で、その好きな、やっている経過の一つとしてオリンピック優勝して。やっている経過の中にひとつそういうのが出たけども、走るのが好きな人ですから、トップでいなくなっても、ずっとやり続けるんじゃないですか。
 どういうことかというと、自分はですね、やっぱり好きなことやっちゃうんですよね。」


(5)練習は量より質→→

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