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Report
修斗 2000.1.14 プロフェッショナル修斗 後楽園大会 (サステイン主催)
R.E.A.D. (Real Evolution Acute Deification) 〜2000 SHOOTO〜
"UM CAMINHO PARA O CAMPEAO" チャンピオンへの道

 
セミファイナル ライトヘビー級 5分3R 
ラリー・パパドポロス
(AUS修斗スパルタン・ジム)
判定1-0
29-29
28-28
28-27
郷野聡寛
(無所属)

天才児の憂鬱


 
郷野がかつての輝きを失って久しい。
かつてフリ−ランサ−として修斗マットを踏んだ頃には、打・極の抜群のバランスを指して「総合格闘技の天才児」と呼ばれた事もあった。

しかし、今の郷野には明らかに壁にぶつかっている。

2年前、中尾、藤原といった日本人ライバルとの激闘を繰り広げたころにはその強さが感じられたものだが、その二人が揃ってミドルに転向してから郷野の対戦相手は外人が続いた。しかし、パワ−に勝る外人選手を敵に回すと不思議なぐらい、郷野の輝きは失せた。打ちあって相手を倒すことなく、寝技でも一本を奪えない。何となく闘い、何となく押さえ込まれ、大きなダメ−ジを負うこともないまま、何となく敗れ去る戦績が重ねられるようになった。試合もそうした戦績にしたがって間遠になり、今や彼を天才児と呼ぶ人は居ない。

一方対するラリー・パパドポロスは王者エリック・パーソン、1位カーロス・ニュートンに続くランキング第2位。現在35歳の彼は総合格闘家としてもベテランの域に達しているが、その寝技とポジション取りのテクニックは全く年齢を感じさせない。ラリパパにとって次なる狙いはチャンピオンの座。今回は打倒エリックまでの第1段階として、1位の対カーロス・ニュートン戦が予定されていた。しかし、カーロス負傷による欠場のため、急遽、対戦相手の変更に抜擢されたのが郷野聡寛である。AUS修斗の先駆者でもあり、「修斗の発展を心から願う」と語るラリパパはこの試合を放棄しなかった。郷野にとって、97年に一度敗れたラリパパへのリベンジマッチと位置づけることもできる。


1Rはニュートラルコーナーでのヒザ合戦。最初に押し込んだラリパパがローブロー気味の膝蹴りで郷野を攻める。ニュートラルコーナーで、「やられたらやり返す」的な攻め合いが続くが、若干ラリパパが有利。しかし双方とも致命的なダメージを与えられず1R終了。 2Rニュートラルコーナーに押し込んだ郷野が最初のテイクダウンを仕掛けるが、ここは差されてラリパパがテイクダウン。バックを奪ったままパンチの連打からスリーパーの体勢…しかしこれは郷野が返してトップポジション。ガードを越え、一瞬腕十字のチャンス、と思いきやラリパパのロックを越えられない。
3R再びニュートラルコーナー。すべてのラウンドがこのパターンだ。その後、郷野がこの試合初のテイクダウンに成功。マウントからバックを取り、今度こそ、と思いきやまたもやラリパパが逃げ切る。3Rは3回のテイクダウンを奪った郷野であったが、その先につなげることができず終了のゴング。判定1-0によるドローとなった。

リベンジはもちろん、またも郷野は結果を残すことが出来なかった。天才児の憂鬱まだまだ晴れそうにもない。



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レポート:藤間敦子・井田英登 写真:薮本直美

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