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Report
修斗 2000.1.14 プロフェッショナル修斗 後楽園大会 (サステイン主催)
R.E.A.D. (Real Evolution Acute Deification) 〜2000 SHOOTO〜
"UM CAMINHO PARA O CAMPEAO" チャンピオンへの道

 
メインイベント ミドル級 5分3R 
× 中尾受太郎
(シューティングジム大阪)
判定0-3
27-30
27-30
27-30
レイ・クーパー
(ジーザス・イズ・ロード)

燃えよ、受太郎!


 
ある意味、中尾受太郎はそつのない闘いをする選手である。
引き込み中心の寝技、深追いしないカウンタ−狙いの打撃。
クレバ−で出過ぎない、省力スタイルが板についている。
負けが込むこともないが、そのかわり爆発的な強さを見せるわけでもない。
そのあたりの”控えめさ”が、桜井速人との強力な鍔迫り合いで押しきられた原因でもあった。

しかし、受太郎の実力は本来こんなものではない。
かつてVTJ97のオ−プニングマッチを飾った、スティ−ブ・ネルソンとの緊張感溢れる闘いや、北沢での郷野との凌ぎあいを思い起こしていただきたい。ここ一番という時に、あれだけのファイトを繰り広げられるポテンシャルが彼にはあるのだ。

ただそれがコンスタントには出ない。
妙なところでの取りこぼしがあったり、対戦相手の勢いの押しきられて気持ちが付いていかなかったりすると、途端に”そつのなさ”や”ひかえめさ”が顔を出す。


ある意味で勝負に執着が薄いのかもしれない。
後輩である桜井や、若い加藤の後塵を拝するポジションに落ち着いている現在もどこふく風と言った風情で、焦りや渇きはまったく感じられない。

しかし、そんな受太郎に久々のメインの重責が任せられることになった。
カ−ロス・ニュ−トンの欠場によるくりあがり当選とは言え、ミドル王座決定戦であった桜井速人との対決以来、約1年半ぶりの後楽園メインである。

久々に静かに燃える受太郎を見たい。
きっと、この日後楽園に足を運んだファンはそんな思いを胸に抱いていたのではなかっただろうか。


1R受太郎がハイキックを出したところでコーナーに押し込まれる。最初のテイクダウンはレイ・クーパー。ボディとヘッドへのパンチを連打するクーパー。積極的だ。対する受太郎も下からすかさず三角締め狙い。その後、密着したまま膠着で終了。
2Rもテイクダウンはレイ・クーパー。このままパンチ→足を奪おうとするが、ここは逃れる受太郎。残り1分を切ったあたりで下から三角締めを仕掛ける受太郎、が失敗。
3R 3度目のテイクダウンは、やはりクーパー。テイクダウン後、コツコツと細かいパンチを打ちこむクーパーに、受太郎が疲労の表情。ガードポジションの受太郎の上から強引にパンチを打ちこむクーパー。力がある。この状態のまま、何もできずにタイムアウト。


実は、受太郎は前日40度近い高熱のため、あわや欠場のピンチに見舞われた。にもかかわらず、受太郎は出場する事を選んだ。

コンディションとの闘い、それが試合に近ければ近いほど、ある種精神力の争いとなる。

しかし、あえてメインであるという重責を自ら任じ、受けて立った受太郎の心では、その闘いが静かに繰り広げられていたのだろう。結果的にはほとんどと言っていいほど本領を発揮せずに、メインイベントを閉じてしまった受太郎ではあるが、その心のなかで繰り広げられた苦しい闘いは、期せずして、受太郎の”折れない心”を立証することとなった。

これまでメンタル部分での”妙な物分かりのよさ”が指摘されてきた受太郎にとって、大きな革命となったはずだ。客席からはそれと見えなくても、この闘いを避けなかった事実は賞賛に価する。

次回は客席からもその背中に炎が立ち上るような「燃える受太郎」が見られる事を期待したい。(もちろん体温のせいじゃなくてね(笑))

(井田英登・藤間敦子)



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レポート:藤間敦子・井田英登 写真:薮本直美

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