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Report

BATTLE GENESIS Vol.6 9月5日 後楽園ホール

第5試合 リングスルール 1R10分/2R5分
村浜 武洋
(大阪プロレス)
1R 7'13"

アームロック
ガブリエル・リムレイ
(アメリカ/ミレティッチ・マーシャルアーツ・センター)
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 阪プロレス所属・・・という肩書きで登場したかつてのシュートボクシングの王者、村浜。しかし、セコンドについていたのは、スペル・デルフィンではなく、実兄の村浜天晴。先の修斗、横浜文化体育館大会で対戦相手を飛び膝蹴り一発でKOしたばかりだ。兄のツキが弟に回って来るか。
 対するリムレイは、若干21歳の若手選手。パット・ミレティッチに師事してはいるが、NHB戦績は未だアマチュアのみである。キックでは圧倒的なキャリアを誇るが、NHBは実質はじめての村浜。NHBの戦績はあるものの、プロ・デビューに近いリムレイ。
 どちらに転ぶか。

 村浜の体重は70kg弱にまで上がっている。身長は163cmだから、かなりパンプアップされた印象。フェザー級時代の面影は薄い。
 その村浜が、身長173cmのスレンダーなリムレイに向かって突進していく。リーチの差はありありなのだが、流石元王者、懐に飛び込んでどんどんとパンチを当てていく。そしてそのまま組んだかと思うと、なんと自分から首投げ狙い。潰されて逆にテイクダウンされるのだが、きちんとガードを取る。上体を起こして思い切りボディパンチを落として来るリムレイ。しかし、数発落とす合間に、村浜が足をこじ入れて突き放す。スタンド再開。またパンチから組んで投げを狙う村浜。
 予想外の展開である。
 シュートボクシングは、確かに、スタンドでの投げがあるルールだ。だが、それにしても、ここまで積極的に投げにいくには、相当の自信、「グラウンドで取られない」という確信が必要である。兄の教えがいいのか、大阪に総合の練習相手がいるのか。ともかくポジショニングとサブミッションの基本を習得して来たことは確かだ。

 その後も村浜の組んで投げにいくという姿勢は続く。
 とはいえリムレイも打撃の選手に投げられ、上を取られては洒落にならない。首投げは潰し、一本背負い狙いはバックを取る。だが、そこから、ボディ・パンチ以外の攻めが見せられない。何せパンチを打てば突き放されて猪木・アリ状態になるし、パスに行こうとして折角サイドに回っても、またハーフに戻されてしまう。思いの外、村浜のディフェンスが堅い。
 それでも一本背負い狙いを崩してバックからスリーパー狙いに入るリムレイ。だが、身長の差がかえって仇となったか、亀で首をすくめた村浜を攻めきれない。腕もとれずに逃げられてしまう。
 再度、村浜の背負い。また潰すリムレイ。
 上にのっていくが、今度は村浜が下から腕を取りに行く。そして、なんと、そのまま上体を持ち上げながら、アームロックをがっちりと極めてしまう。
 平レフェリー、チェックしてストップ。

 「前田さん、スタッフのみなさん、何よりファンのみなさんのおかげで、一年半ぶりに格闘技の世界に戻ってこれました!」 試合後、思いのたけをぶつけるように村浜がマイク・アピールを行う。
 キックの世界から出ていって、総合の世界に戻ってきた村浜。
 その身体と身につけた技術から見て、決して生半可な参戦というわけではない。二つ目の世界でどこまで進んでいくことができるか。
 一旦は頂点を取った男の再チャレンジはまだ始まったばかりだ。

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レポート:山名尚志  

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