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Report
 
パンクラス 99.10.25 後楽園ホール "1999 BREAKTHROUGH TOUR"

第5試合 パンクラチオンマッチ 15分1本勝負
東京
菊田早苗
 
15分
ドロー
アメリカ
トラビス・フルトン
 
  つての菊田は、試合が膠着することが多く、常にファンからブーイングを浴びていた時期もあった。実力は誰もが認めるところであるのだが、安全圏から出ない戦い方をしていたからだ。しかし、パンクラスに入団後はすっきりとした決着をつけて、そのイメージを払拭してきた。 
 
 相手のフルトンはちょうど1年前の10月にもパンクラスに参戦しているが、今回は彼にとってなじみの深い、ノールール系の試合である。なにしろ、若干22歳でフルトンのキャリアは80戦を数える。ノールール界の「アイアンマン」として名が知れており、UFC出場も果たしている。菊田はパンクラス内でこそ3連勝中だが、ノールールでは9月のエディ・ミリス戦が初勝利。実績ではフルトンに一歩を譲る。それだけに、この試合は菊田の実力をアピールする絶好の機会であったのだが・・・。 
 
  この日のフルトンは防御に徹し、攻める姿勢が見られなかった。菊田にテイクダウンされた勢いを利用し、グラウンドで上を取り返すところまでは良かったが、その後はインサイドガードで動かない。こうなると、菊田と言えどなかなか攻められない。ようやくスイープでポジションを入れ替え、マウントを奪うが、それでもフルトンの鉄壁のディフェンスは崩せなかった。 
 
 膠着の原因は確かにフルトンにあったかもしれない。しかし、実績で上回るフルトンが「負けないための戦い」を選択したのは当然のことであって、挑戦者の立場である菊田にこそ危険を冒す戦い方が求められていたのではないか。菊田が勝負をかけたのは、終盤でのフロントチョークのみで、あとは安全な戦い方に終始した。 
 
  パンクラスでの菊田の相手は、正直言って危険な戦いをしなくとも勝てるレベルの相手ばかりだった。だが、今後、パンクラスでトップを目指すなら、そうしたリスクを負うことも必要になってくるだろう。菊田には、本当の意味での変化が求められている。  
 

次の試合 :6. 美濃輪育久 vs エイドリアン・セラーノ
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レポート:慈村 ゆんた カメラ:井田英登・茂木康子
 

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