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Report

新日本キックボクシング協会 "The Star Fleet"
5月27日(日) 東京・後楽園ホール

セミファイナル 62kg契約/5回戦 
日本ライト級王者
石井宏樹
(藤本)
判定3-0

50-47,50-46,50-45
同級3位
井場洋貴
(治政館)
×

ライト級王者石井宏樹が同級ランカー井場洋貴と対戦。石井がテクニックで翻弄するかと思われたこの試合は、意外にも両者真っ向勝負の喧嘩ファイトとなる。井場のパンチを石井がもらう場面も見られたが、スピードと手数の差は断然で、結局石井が大差の判定勝利を収め完勝した。

石井は前回3月大会でムエタイ選手ソンコム・ギアッヌクンにダウンを奪われて完敗している。一方の井場は昨年5月横浜大会以来の日本のリング(花村繁幸に5R判定勝ち)。
公式戦も昨年11月に韓国で1RKO勝ちして以来だが、硬質なパンチとローキックを武器に、引く事を知らない好戦的なファイタータイプ。

1Rからいきなりガチガチの打ち合いが展開される。オープン気味の左ジャブから右ローを飛ばす"石井スペシャル"を炸裂させる石井。持ち前の高速フットワークを温存して正面から打ち合い、ハンドスピードにものを言わせて次々とヒット。しかし井場も左右のローとストレートで対抗。どちらも互いのパンチをもらうことなどお構いなし。

相打ちが続く中、さすがにスピードで勝る石井の攻撃がヒットする場面が全体的に目立ち、3Rには石井のパンチで井場が目尻をカット。さらに石井はハイキック、肘で攻め立て結局大勢が変わることなく試合終了。判定の結果を待つまでもなく石井の勝利は明白だった。石井はこれで19戦12勝(3KO)4敗3分。普段のスマートな戦いぶりを脱ぎ捨て、いつになく攻撃的だった石井。昨年5月から1年でここまで1勝2敗2分と結果がついてこなかっただけにもしかしたらモデルチェンジを図っているのかもしれない。

最大5ポイント差を付けた完勝にケチをつけるつもりは毛頭ないのだが、これからもっと上を目指すだろう石井に一つ苦言を呈するとしたら、それはイマジネーションの欠如という点。左からローへのコンビネーションは確かに見事の一言なのだが、それ一辺倒に頼り切っているようだと戦いの幅を自ら狭める事になるような気がしてならない。確かにスピードと当てるタイミングは国内レベルではずば抜けているが、そこからもう一歩抜け出して欲しい。石井の試合はラウンドごとに見ると山場はあるのだが試合全般を通してみると意外に平板な試合が多い。状況に応じた攻撃バリエーションの厚みのなさというのはある意味致命的で、例えば全日本の小林聡との差はそこにあると思う。国内レベルでは無敵でも、その上のレベルの相手と戦ったときにそれが通用しないとなると急に戦術がレベルダウンしてしまう。昨年12月、そして今年3月の試合がそのいい例だ。

今は殻を脱ぎ捨てる一歩手前、そう期待しよう。
敗れた井場は18戦11勝(8KO)6敗1分。勇敢なファイトぶりは評価出来るが、石井相手には戦いが正直すぎた。試合枯れが気になるが、キャリアを積んだ次回に期待。

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レポート:新小田哲  写真:薮本直美

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