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Report

全日本キックボクシング連盟「CROSS FIRE-II」
2001年4月6日(金) 東京・後楽園ホール

第7試合 セミファイナル 58kg契約/5回戦 
× 全日本フェザー級2位
立嶋篤史
(RIKI)
5R1分10秒

KO
全日本フェザー級3位
大月晴明
(REX JAPAN)

 昨年9月に遠藤に判定負け、12月にはタイ人とドロー。どちらも精彩を欠き、引退の2文字も囁かれるようになって久しい立嶋も、ついにデビュー13年、60試合目を迎えた。ガウンには60の文字が大きく縫い込まれている。一つの節目となる試合に込めた思いは何か?注目が集まる。対する大月はデビューからわずか1年半。1月のフェザー級王座決定戦は直前の怪我でやむなく欠場しており、今回が復帰戦となる。だがそれまでは6戦6勝5KOと破竹の勢いを見せており、落日のカリスマと正反対。そして今回の試合も、その勢いの差がそのまま反映されるような結果となった。

 序盤から大月が活きのよい攻めで立嶋を苦しめる。コーナーに詰めてのパンチとミドル、的確な右ボディブロー。だが立嶋は変わらぬステップと表情で、攻めのチャンスを伺いながらひたすら受け続ける。そして3Rには大月の左肘を喰らうと、後ろに倒れ込むような形でついにダウン。なんとか立ち上がるが、パンチが空を切ってしまう。

 しかし、攻め疲れを見せた大月にすかさず右肘、右ストレートを連続ヒットさせ反撃。これまで空振りのたびに起こっていた観客の溜め息が、一気に大歓声へと転換した。4Rにはロー中心にヒットさせ、大逆転の予感も。だが勝負の女神は時代の流れを逆流させることを許さなかった。4R後半から大月がミドルキックで形勢を立て直すと、最終ラウンドにアッパーの連打でノックダウン。立嶋は大量に鼻血を出しマット上に座り込んだまま立ち上がれなかった。

 大喜びの大月を背に、頭にタオルをかぶり座り込んだままの立嶋。ようやく立ち上がると主催者席からマイクを受け取る。何を話すのか?観衆が固唾を呑んで見守るが、立嶋は小声で「ありがとうございました」と囁くのみで、マイクを返すと四方に礼をしてリングを降りた。しばらく控室にこもってからインタビュースペースに移動するが、記者陣に質問を投げ掛けられてもなかなか言葉を返せず「ごめんなさい」と話しただけで控室に戻ってしまった。口から出したくても出せない、のど元まで来てとどまっている引退の二文字に、立嶋は苦しんでいるかの様子だった。

 一方「神様のような存在」と讚える立嶋に勝った大月は「信じられない。何百回もビデオを見てきた立嶋選手に勝てるなんて。できれば何度でも闘いたい。肘は凄く効いた。世代交代なんて、まだまだですよ」と興奮を押さえきれない様子だった。


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レポート:井原芳徳  写真:菊地奈々子

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