これまで対日本人無敗の日本バンタム級王者、菊地剛介が同級5位のランカー、小川和宏に敗れるという番狂わせが起こった。
菊地は昨年のラジャ遠征で敗れはしたが切れのある動きを披露。冴えない試合続きだった昨年後半のスランプから脱したかに見えた。
序盤、菊地のワンツー、ローが小気味よく小川をとらえる。小川は自分の最大にして唯一の攻撃である首相撲に持ち込みたいが菊地のスピードが小川のそれを上回り小川は自分の距離で戦うことが出来ない。小川はなんとか最小限のダメージで凌ぐものの前半2Rは完全に菊地ペースだった。
3Rに入り、小川のしつこい前進が功を奏し、ようやく首相撲に持ち込むが菊地もガード、膝蹴りを返す。菊地いつのまにか鼻出血。
4R、突如菊地が失速する。これまでも終盤ガス欠を起こすことはしばしばあった菊地だが、今回はいきなり動きが止まってしまった。小川これを見逃さず首相撲に捕らえ膝蹴りの連打。なされるがままの菊地、なんとか距離をとってハイ、右ストレートで反撃を試みるが小川に再び捕まり、5Rになると菊地はガードするのが精一杯。あきらかな劣勢のまま終了のゴングを聞いた。
結局、小川のこの終盤の攻勢がものを言って僅差ながらジャッジは小川を支持。菊地に日本人選手としては初めての黒星を与える結果となった。
控室に戻るなり、小川は住込みで世話をしてもらっているというジムのマネージャーに「今日はうまいもの食わせてやるからな」という祝福の言葉を投げかけられた。
「(ジムメイトである)武田さんにいい形でつなげました」と控えめながらその勝利の喜びを語る一方で、「膝蹴りしか出来ないから、パンチや蹴りで倒せるようになるのが今後の課題」と反省も忘れなかった。
一方ショックの色が隠せない様子の菊地は「なにも話したくない」とコメントを拒否。今回前半の動きがいつになくよかっただけに4Rの突然の失速が気になる。かわりにトレーナーが「年末年始はいつも通り練習していた。コンディションも悪くなかった」と体調不良は否定したが・・・。
ここ数年、日本王者が同じ契約体重で日本人選手に負けるというシーンは目にしたことがなかっただけに、ある意味小野寺が負けた以上のショッキングな試合だった。
パンフレットによると、3月大会で菊地は飛見立久を挑戦者にタイトルマッチを行うことが決定しているようだが、今回の負けを引きずり、再び不甲斐無い姿を晒すようだと王座陥落は十分ありうる。逆にこれをカンフル剤として一層の奮起を望みたいのだが、果たしてバンタム級に地殻変動は起こるのか。
菊地はこれで19戦14勝(4KO)3敗2分。これで一気にトップ・コンテンダーに駆け上がりそうな予感もする小川の戦績は10戦7勝(4KO)1敗2分。
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