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NJKF "MILLENNIUM WARS 5"
2000年7月7日(金) 東京・後楽園ホール

第5試合 ライト級/5回戦 
NJKFライト級4位
笛吹丈太郎
(大和)
3R2分38秒

ノーコンテスト
NJKFライト級7位
野崎勇治
(東京北星)

 相性が悪いというのはこういう現れ方をするものだろうか。

 笛吹は”右ストレートヒッター”。当たればKOといってもいいだろう。1月大会でライト級実力者のソムチャーイ高津を1RKOで破り、パンチの強さを見せつける。対して野崎は、1年ぶりに登場した3月大会で松本竜大(名古屋JKF)を判定で破り、ランキング入り。笛吹が29歳、野崎は28歳。”遅れてきた実力者”の初対決は、1Rに偶然のバッティングで笛吹が失神したためノーコンテストとなった。その再戦が組まれたわけだが、まさかと思うような再度のノーコンテスト。

 1Rは、ローで牽制する展開から始まった。中盤野崎のヒジにより、笛吹が瞼をカット。ストップには至らなかったが、野崎にも早期決戦を狙う様子がうかがえる。しかしその直後笛吹の右アッパーがヒット、続けてストレート。右が来ると予想できても、ガードしきれない。このあたりが笛吹の強さだ。野崎はロー、そして左と対抗し、拮抗した展開。2R以降も野崎が足を使いながらローから切り崩しにかかる。笛吹もコンビネーションを使い確実にパンチを当ててくる。野崎は密着してヒザ、ヒジで優勢を取りたいところだが、笛吹はローに合わせて右ストレートを打ってくる。距離が詰まらない。その中で笛吹のパンチがヒットする場面が目についてくる。だが、はっきりとした優勢を取ることができない。
 これは最終ラウンドのスタミナ勝負になるかもしれない。しかし、試合が中盤にさしかかった頃、あっけなくその場面は訪れた。
 3R、笛吹が右ボディを出したときに踏み込んだ野崎とバッティング。笛吹が膝から後ろに倒れ込む。レフェリーが試合を止めドクターチェックが入る。立ち上がろうとする笛吹は「やる」とアピールするが、試合を続行できる状態でないのは明らかだった。ノーコンテストがコールされた。

 野崎のほうにバッティングのダメージがほとんど見られないことから、おそらく野崎の頭部が下方から笛吹の額に当たってしまったと想像される。笛吹のようなパンチ型の選手は頭の振りまでを生かして強いパンチを打つため、ダメージを受けないように常に顎をきっちり引いておくことは難しい。バッティングの場面では意外な脆さを露出してしまった笛吹だがさりとてダメージ防止ばかりを優先させてはKOになるようなパンチは打てない。驚異の”右”は、諸刃の剣でもある。
「パンチのディフェンスの問題でもありますから・・・」と笛吹自身は反省していた。確かに10月にタイのプラサーンチャイとの対戦が内定していることを考えると、パンチのディフェンスは必須だろう。課題が浮き上がった形になる。
 そういう意味でも、再々戦はしばらく時間を置いてからのほうがいいだろう。
 野崎も「しばらく再戦はいい。タイトルマッチで当たって決着をつければ」とお互い別の上位ランカーと当たってみれば、今日見られなかった試合の結末は自然と浮かんでくるに違いない。そしてそれを実際に確かめるのは、野崎が言うようにタイトルマッチの日でも遅くはない。

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レポート:薮本直美  写真:菊池奈々子

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