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Report

kick 新日本キックボクシング協会 "SPEED KINGS" 3月26日 後楽園ホール
第12試合 セミファイナル フェザー級/5回戦 
× 日本フェザー級王者
小野寺力
(藤本)
3R1分11秒

KO
タイ国フェザー級
ペットボーライ・チューワッタナ
(タイ)

5月大会でラジャダムナン・フェザー級の同級王者、ムアンファーレッグ・ギャットウィチャンとの対戦が決定している小野寺。ここまで4連勝、タイ人に対しても得意のパンチからローへのコンビネーションが通用していることで自信を持ってきている。

今回の相手はノーランカーのペットボーライ。地方のリングではセミやメインの常連で、ラジャやルンピニーのリングにも何度か上がっている。98年6月に鷹山をパンチでKOしているハードパンチャーではあるが、同じパンチャー同士、噛み合うのでは、という楽観的な見方が支配的だった。

互いにローで牽制の後ペットボーライが強い左ストレートから左ミドル。さらに左を打ち付けると小野寺早くも一瞬たじろぐ。しかし気を取り直した小野寺、ペットボーライの右ミドルと右ハイに左フックで応戦、さらに強烈なワンツー。ペットボーライ負けじと右のパンチで圧力をかけるが小野寺右ローからパンチのコンビネーション、いづれもヒットさせる。ペットボーライも小野寺のミドルに右肘を合わせるなど、両者単発だが強烈なアタックで互いにペースを握らせまいとしている様子。どちらが勝つにしてもKO決着、ペットボーライの強さを認識した観客もリング内に漂うきな臭い空気を感じ取り始める。

2R、ジャブの差し合いから小野寺右ロー、ペットボーライは右フックから右ミドル。小野寺のローは効果的にヒットするのだが、予想以上にペットボーライの左右フックが速く、強い為に次第にリング内はタイ人のペースに支配されてしまう。右フックにはなんとか左を合わせた小野寺だが、続くワンツーがヒットすると思わず後退。いつのまにかペットボーライを中心にを小野寺が廻るという図式が出来上がってしまった。小野寺ローの後ペットボーライの右に小野寺左フックから右のフックをヒットさせるがお構いなしにタイ人が前進してプレッシャーをかけるとなんと足を使って後ずさりする小野寺。小野寺をロープに追いつめるとボディから右ストレートを連打。小野寺必死にボディとローで抵抗しようとするがその間合いをつぶして左右パンチからミドル。ピンチに陥るがここはなんとか小野寺ゴングに救われる。

3R、明らかに決めに来ているペットボーライの猛攻。右ミドルからワンツーに小野寺力無く後退、さらに右ストレートで大きくバランスを崩す。小野寺必死に反撃、パンチからロー、さらに左フックをヒットさせるが勢いにのったタイ人はロープに押し込むとラウンド開始1分、右ストレートを顔面にヒット、小野寺ダウン。まだダメージの残る小野寺に右ハイから右ストレートでダウンを追加。さらに左フックで3つ目のダウンと同時に小野寺のセコンドからタオルが投入され、試合終了となった。試合後、なかなか立ち上がらない小野寺を見て担架が運び込まれたが本人はそれを拒否、自力で歩いてリングを後にした。

小野寺、初のKO負け。これまでパンチでダウンを奪われることはあるにはあったが、ここまで完璧に打ち負けたのは初めてではなかっただろうか。体格差もあったし、必要以上に深刻になることはないかも知れないが、パンチとローのコンビネーションで勝利を上げ始めた矢先だけにムエタイ初遭遇以来の大きな壁に当たったとも言えるかもしれない。もう一つ心配されるのは連戦から来るダメージ。前回1分たらずで終わった藤藪戦だが、ダウンを奪われたのも事実なのだ。
なかなか控え室から出てこなかった小野寺だが、「やる前は(パンチャー同士で)噛み合うと思ったけど、相手が一枚上だった。パンチが大振りになってしまった。2回目のダウンで目が見えづらくなって、3回目は覚えていない。未熟すぎる」とさばさばとした表情で語った。
ノーランカーにKO負けした後に迎えるラジャのチャンピオンとの一戦。対戦したペットボーライ自身は「ムアンファーレグはパンチの得意なタイプではないのでやっとみないと分からない」と楽観的に分析したが、大方はそうは見ないだろう。ひとつの現実を突きつけられたキック界のエースは、この大きすぎるハードルをクリアすることが出来るか。

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レポート:新小田哲 写真:薮本直美


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