99.12.5 K-1 GP'99 決勝 東京ド−ム |
第8試合 スーパーファイト 3分5R | |||||||
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メジロの大砲不発
56戦50勝4敗2分31KO。あの格闘技王国オランダでこのキャリアこの戦績。現在ピーター・アーツが籍を置き、名匠アンドレ・マナートがコーチを務めるメジロジム所属。ここまで材料が揃えば当然ハリー・ホーフトには「またまた新たな逸材がK-1のリングに登場」という期待を抱かない方がおかしい。
これを迎え撃つ相手となるのが、K-1きっての二枚目、勝ちに対するこだわりとプライドの高さには定評のあるステファン・レコだ。大阪の開幕戦でサム・グレコ相手に接戦を演じながら、ローブローの減点のためにドームでのトーナメント出場の道を閉ざされてしまったレコは、ワンマッチのためのキャラクター兼トーナメントのリザーブ選手という位置づけで初めての東京ドームでの試合を迎えることとなった。
196cm96.0kgという体格のホーフトは、上背が高く細身のタイプ。それでいてやや腰高で上体を高く位置するファイティング・ポーズから、ちょっとジャビット・バイラミを彷彿させる。ハイキックの時に上体を反らせるような姿勢から、リーチ差を利用して相手の制空圏の外側から射程の長い蹴り技で試合を組み立てていくタイプであることが予想できた。
レコは取りあえずこのラウンドは相手を測るかのように、静かな立ち上がりを見せる。普段通りの小刻みで軽やかなステップだ。このラウンドはまずは静かにこのままの展開で終始するかと思われたのだが、試合開始後2分を過ぎたあたりでレコの身体がクルッと一回転、次の瞬間にはホーフトが腹部を押さえてリング上に倒れて苦しんでいた。右後ろ回し蹴り一閃。ホーフトはものの見事にレバーを蹴り込まれ、10ラウンドの鐘を聞くまで立ち上がることもできなかった。
「本戦の方に出たかったので、気持ちとしては歯痒い思いもある。来年は是非とも本戦の方に出たいと思っている。西暦2000年のK-1チャンピオンになりたいね。」大阪のグレコ戦でも、あのまま試合が続けばきっと勝てたと信じている、という自信家のレコは、これからも今までどおりのトレーニングを続けて捲土重来を図る考えのようだ。
レイ・セフォーらと共にK-1第二世代を代表するファイターとなりつつあるレコだが、この点ではミルコ・フィリポビッチに先を越されてしまった印象もある。更に昨年のK-1開幕戦で敗れたセフォーやスイスで接戦を演じながら1ダウンを喫して勝利を奪われたアンディ・フグ、今年いわくを呼んだグレコとのリベンジ・マッチも楽しみなカードだ。これに対して、実力を発揮する前にあっけなく黒星を付けられてしまった恰好のホーフト。「スタート時点では自分の動きが出来ていて良かったと思うんだが、ああいう攻撃があるとは全く予期してなかった。それでディフェンスが間に合わなかった。」
「レコ選手に限らず、K-1に出てくる選手はみんな強い選手だと思う。トーナメントの8名を見ていてもそう思う。しかしもしオファーがかかるなら、是非とも来年はトーナメントに参加したいと思っている。」その強い8名とも互角に戦う自信はありますか?「無論だ。」
ホーフトの実力には未だ未知数の部分も多く、それだけに彼がトーナメント予選から参戦してくれば今日の敗戦が単なる不運なのかどうかもハッキリしてくるだろう。ホーフトの「自信」が本物かどうか、再度試される日もそう遠からずやってくるに違いない。
(高田 敏洋)
▲ 結果一覧
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取材:高田敏洋、中村直子 写真:井田英登 |
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