第1試合 トーナメント一回戦 |
○ |
中村 和裕 |
セコンド:長南亮、横井宏考、他男性1名 |
× |
ケビン・ランデルマン |
セコンド:マーク・コールマン、他??? |
3R(10/5/5) |
判定 3-0 |
※ 以前から、高速タックルや力強いポジショニングで勝負どころに持ち込むまでの強さを持ちながら、
フィニッシュさせるまでに至らないというランデルマンの決め手の甘さを露呈した一戦であった。
彼の所属するハンマーハウスではその欠点を克服するために柔術のトレーニングを取り入れていたが、
いまだにその成果は見られていない。
逆に中村は下の苦しい状態から肩固めのような姿勢を見せ、
あたかも攻めているかのように錯覚させる技術でイエローカードを一枚で済ませている。
この手は師匠の吉田もシウバ戦で使っていたことから道場で一緒に身につけたものだろうと思われる。
中村はランデルマンの力に圧されるシーンもあったが、
常に一本を狙い続け勝利を期待させる場面もあったため、結果、中村優勢の判定が下った。 |
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第2試合 トーナメント一回戦 |
○ |
ヒカルド・アローナ |
セコンド:マリオ・スペーヒー、ムリーロ・ブスタマンチ、他外国人1名 |
× |
ディーン・リスター |
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3R(10/5/5) |
判定 3-0 |
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第3試合 トーナメント一回戦 |
× |
近藤 有己 |
セコンド:伊藤崇文、北岡悟、田代勝久 |
○ |
イゴール・ボブチャンチン |
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3R(10/5/5) |
判定 3-0 |
※ 互いの得意とするパンチでどのように勝負を決するかが見物となった一戦。
2月のPRIDE.29では同門の高橋義生をロシアンフック一閃で倒されているだけに「勝つパンクラス」を全国に見せつけたい近藤。
それに対し、ミドル級の体重に体を絞り、新たなる戦場で活路を見出したいボブチャンチン。
試合は以外な展開を見せ、スタンドでの攻防よりグラウンドでの攻防比率が高く、
その分体幹の強さで勝るボブチャンチンが更に5キロの体重さを味方に近藤を圧倒する。
なんとか立ち上がって一発勝負に持ち込みたい近藤であったが、
ボブチャンチンの成長したボディーコントロールもあってなかなか立たせてもらえない。
その間、近藤は下からスィープ、腕ひしぎ、三角絞めをかけるも全て逃れられ、
ボブチャンチンは巧みなコンビネーションでパウンドを加え続ける。
終始、有効な攻撃をさせずに有利なポジションで攻撃を展開したボブチャンチンが文句なしの判定勝ちを収めた。
と同時に世界の壁の高さを証明し、ストップ・ザ・シウバの一番手に名乗りを上げた。 |
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第4試合 トーナメント一回戦 |
× |
ビクトー・ベウフォート |
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○ |
アリスター・オーフレイム |
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3R(10/5/5) 1R 9:36 |
フロントネックロック |
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第5試合 トーナメント一回戦 |
○ |
アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ |
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× |
ダン・ヘンダーソン |
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3R(10/5/5) 1R 8:05 |
腕ひしぎ十字固め |
※ 総合のリングで永きに渡り高い実績を示しながら、
地味さの拭えない試合でいまいち実績に見合った評価をされていないホジェリオが、その実力の高さを知らしめた。 |
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第6試合 トーナメント一回戦 |
○ |
桜庭 和志 |
セコンド:今村雄介、他男性2名 |
× |
ユン・ドンシク |
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3R(10/5/5) 1R 0:38 |
KO パンチ連打 |
※ 総合参戦表明から間もないユン・ドンシクのデビュー戦。
総合のリングでは打撃勝負となった時、どこまで対応できるかが勝負の鍵となる。
オールラウンドファイターの桜庭は5年前のグランプリでホイス相手に90分戦った通り、
打撃戦に持ち込めばユンの光明を消し去ることができるだろうと思われた。
10ヶ月ぶりの実戦となる桜庭は、初心に帰るという所信表明の表れかランドセルに給食袋をぶら下げ、
胸には平仮名で大きく書かれた「さくらば」のネームをつけ、
20年以上前のものと思われる阪神タイガースの帽子を被るといういでたちで花道に現れた。
おちゃらけた入場曲と格好ではあったが意外にも表情は硬く、緊張感を漂わせていた。
試合が始まるとユンは打撃で桜庭に対する構えを見せると、
付け焼刃ながら基本に忠実なワンツーを2度桜庭の顔面に見舞い驚かせる。
しかしその後、ユンのパンチを簡単に見切った桜庭がパンチラッシュを繰り出し、いともあっさりとTKO勝利をものにした。
レフェリーの試合の止め方が早いとも思ったが、倒れて何もしなかったユンの反応はお粗末そのもので、
レフェリーの対処も仕方がないことであったと言える。 |
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第7試合 トーナメント一回戦 |
× |
クイントン“ランペイジ”ジャクソン |
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○ |
マウリシオ・ショーグン |
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3R(10/5/5) 1R 4:47 |
KO 打撃の連打 |
※ PRIDEミドル級でシウバに次ぐ2番手の実績を誇るジャクソン。
それに対するはPRIDEで最近4試合全てをえげつない打撃でKO勝利を奪い続けてきたマウリシオ・ショーグン。
潜在能力では同門のヴァンダレイ・シウバをも上回ると評価する声もあり、それを証明するかのような試合であった。
ムエタイ仕込みの打撃ラッシュはシュート・ボクセの18番ではあるが、
かでもトリッキーな打撃モーションと圧力でジャクソンを寄せ付けないショーグン。
さらには怪力ジャクソンを向こうに回し、首相撲から強烈な膝蹴りを打ち込み、ジャクソンの左肋骨を折ってしまう。
勝利をつかむのが難しい展開の上、あばらの折れたジャクソンは戦意を喪失。
ショーグンは、まるで去年のグランプリで台風の目となったセルゲイ・ハリトーノフを思わせる存在となった。 |
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第8試合 トーナメント一回戦 |
○ |
ヴァンダレイ・シウバ |
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× |
吉田 秀彦 |
セコンド:高坂剛、長南亮、他外国人1名 |
3R(10/5/5) |
判定 2-1 |
※ 2年前の好勝負再び、合間見える二人の王者。
かたや柔道王、かたやPRIDEミドル級絶対王者。
ギを着るかも知れないと心理戦でジャブを放っていたシウバが入場シーン、
柔術着で身を固め周囲を脅かせる。だが予想通りギを脱いで、91キロ台に絞った筋肉の鎧をあらわにする。
同じく厳しい減量を乗り越え、髭をたくわえた精悍な表情で挑む吉田。
吉田にとって勝機を見出す戦法はただ一つしかない。
それはシウバの打撃に付き合わず、足へのタックルではなく組み付いて柔道特有のテイクダウン方法で倒し、
サイド、マウントポジションを奪い関節、絞め技で勝つ、その一点だけだ。
打撃に付き合えばミルコとも互角に打ち合ったシウバの思うツボで、足へのタックルは切られる可能性が高く、その後の膝蹴りが恐い。
仮に足タックルからガードポジションに移行したとしても、そこからシバを攻めるのは至難である。
それを理解していたシウバの戦略が最終ラウンドで発揮された。
シウバの打撃の間合いに入らず、いかに距離を詰め抱きつくかがポイントとなる吉田を嘲笑うかのように、
打ち上げのインローキックで牽制するシウバ。
そのローキックに成す術をなくしてしまう吉田、ただローをくらうのみ。
ついに倒された吉田は、シウバの恐るべき顔面踏み付けを受け止め、なんと足関節を奪いに行く。残り時間は50秒!
それから逃れようとするシウバの首が吉田の左脇に近づくと吉田はフロントスリーパーをかける。しかし残り30秒しかない、極められるか!?
完全に極まっているのか、胴着で隠れて見えないシウバの状況。
時間は一秒ごとに1秒、そして1秒と時を刻む。
吉田の腕はシウバの首にしっかり入っているのか?それともシウバが耐えているのか?
全く状況のわからないまま30秒が無情にも過ぎると、
マジックショーが成功したかのようにシウバがにこやかな表情で胴着の陰から顔を出した。
最大のチャンスを極めきることができなかった吉田だったが己の力を最大限発揮できた感慨からか表情は晴れ晴れとしたもので、
シウバとシウバ陣営、吉田陣営みながその好勝負にスポーツマンとしての爽やかを寄せ合っていた。
判定ではなんと、一人が吉田に優勢を挙げ、吉田が戸惑いの驚きを見せる場面もあったが、
その後は順当にシウバが判定勝利宣告を受ける。
PRIDEではたびたびこうした不可解な判定が下されたり、
明らかに勝者が判っているような試合でもこのように分かれた判定決着があったりする。
こうしたスプリットデシジョンは、判定を盛り上げるために演出という名のヤラセでやっているのではないかと訝しく思ってしまう程だ。
せっかくの好勝負や選手の努力を打ち消してしまいかねない、こうした判定はどうにか改善して欲しい。 |
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