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(レポ&写真) [パンクラス] 2.28 後楽園:北岡・ウマハノフが判定勝ち

ワールドパンクラスクリエイト "PANCRASE 2007 RISING TOUR"
2007年2月28日(水) 東京・後楽園ホール

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

  [テレビ放映] スカイ・A sports+ 3/7(水)22:50〜24:50(初回放送)、3/10(土)20:00〜22:00(再放送)



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第7試合 メインイベント ウェルター級 5分3R
○北岡 悟(パンクラスism/2位)
×グスタボ・PC(ブラジル/マカコ・ゴールド・チーム)
判定3-0 (和田29-28/岡本30-29/梅木30-29)


 米国の新興格闘技大会・ボードッグ(BodogFight)と提携した07年のパンクラス。ボードッグが送り込むブラジル人、ロシアのスペツナズ軍団が個性を放ち、新たな“ハイブリッド”が起こっている。そんな中、メインで新鋭・グスタボ・PCを下した北岡は「パンクラスNo.1の選手として、星を取り戻したい」と表明。パンクラシストが3年以上勝てていないPRIDE参戦を熱望した。

 試合は1R序盤、PCが北岡をコーナーに押し込むと、北岡は胴に両足を絡めてギロチンチョークの体勢に。そのままグラウンドに引き込むと極まり、いきなり一本のチャンスを得る。ややポイントがずれたようで、フィニッシュには至らなかったものの、北岡はマウントからトップに移行すると次はアキレス腱固め。最後は下から腕を狙うPCにパウンドを当てる等、流れるような攻めで常に主導権を握る。

 2Rもタックルで上になると、再びアキレスへ。ところがPCは防いでマウントを取ると、腕十字でチャンス。北岡は防いだが、下からPCはパンチと腕十字狙いで攻め続ける。和田良覚ジャッジはこのラウンドをPCに付け、他2名は10-10だったようだ。
 最終ラウンド、PCのハイキックと膝蹴りを浴びた北岡だが、果敢にタックルを試み上に。またもアキレスを狙い、スタンドでもギロチンをまた狙うが、いずれも読まれているようだ。同じくギロチンを得意とするPCもギロチンを狙う場面も。
 互いに高いレベルでの寝技の攻防を繰り広げ、観客を魅了するが、フィニッシュにつなげられず試合終了。1Rのポイントを確実に取った北岡が、柔術黒帯の未知の強豪から白星を得て、対外国人無敗記録を7に伸ばした。

 マイクを持った北岡は「世界の強豪に勝った僕も、世界の強豪だと思います。パンクラスはボードッグと提携しました。でも僕が上がりたいリングは、PRIDEです。世界最高峰のリングのPRIDEライト級GP目指して頑張ります」と表明した。試合終了は10時頃だったが、残っていた観客は暖かい拍手を送った。
 バックステージでは「UFCで活躍しているペリグリーノや、それに近い位置のコンディットにも勝っている」と話し、PRIDEにふさわしい実績を積んで来たことをアピール。パンクラスではウェルター級王者の石毛大蔵とコンディットの王座戦が夏前に計画されていることを明かし、「仕方が無いけど、宙ぶらりんになるのは嫌。一番戦いたい所で戦いたい」「近藤さんがスペーヒーに勝ってから3年、パンクラスの選手はあのリングで1勝もしていない。パンクラスNo.1の選手として、星を取り戻したい。かつてパンクラスのリングにあったものがあっちのリングにある。輝きのかけらを取り戻したい」とPRIDE参戦希望の理由を語った。
 パンクラスの尾崎允実社長は「ボードックとの提携で『PRIDEとの関係は大丈夫なんですか?』と一番心配していたのは北岡ですが、PRIDEとの関係は今までと同じです。北岡がPRIDEに出たいのならそういう風に僕は動くし、もしボードッグに北岡が戦いたい相手がいればボードッグと話をします。北岡に限らず、パンクラスは柔軟に行きたい。もちろん、ボードッグとの交流提携が一番重要であることに変わりはありません」とコメント。北岡のPRIDE参戦をバックアップする姿勢を示した。

 
第6試合 セミファイナル 無差別級 5分3R
×伊藤崇文(パンクラスism/ライト級2位)
○ウマハノフ・アルトゥール(ロシア/SKアブソリュート・ロシア/ライト級3位)
判定0-3 (大薮27-30/廣戸27-30/岡本28-30)


 試合前、宮田充リングアナがリングイン。「当日来日のウマハノフが計量で69.75kgを記録し、ライト級の69kg未満まで落とせず、本来なら失格となりますが、伊藤の戦闘意志により、無差別級に変更となりました」と説明すると、場内が拍手と歓声に包まれる。期待のウマハノフはピンク・フロイドの「吹けよ風、呼べよ嵐」に乗って登場。大ベテラン・伊藤もいつもに増して悲壮感で満ちている。まるでGRABAKAがパンクラスに参戦を始めた頃のような緊張感がリングを包む。
 開始しばらく、伊藤がジャブを出しながら様子をうかがう。ウマハノフはリング中央でノーガード。何もしていないが、ヒョードルやミルコに似た殺気とプレッシャーを放っている。その時場内が笑いに包まれた観客の野次に「いいぞ、ウマハノフ!」というのがあったが、立っているだけで金になる彼の存在感を端的に現していると思う。

 試合は伊藤のタックルから一気に動く。かわしたウマハノフはバックを制し続けパウンドと膝。一発一発の重みに場内からどよめきが起こる。亀の状態から伊藤は膝十字やアームロックを狙うが失敗。顔を腫らし劣勢だが、ラウンド終了のゴングが鳴るとスクッと立ってコーナーに戻り、強気の姿勢だ。
 2Rも伊藤はタックルに失敗。バックを取ったウマハノフは、宮崎戦のフィニッシュのジャーマンスープレックスを狙う。ところが伊藤は片足を引っ掛けて防ぐと、潜り込んで膝十字。UWF直系の返し技を試み観客を驚かせるが、ヒョードルばりのパウンドの連打を浴びまたも劣勢に。ところが伊藤は防いでスタンドに戻してみせると場内は歓声。伊藤のパンクラシストの“一分”を見せる。

 だが裏を返せば、試合直前に来日したウマハノフは調整不良で、技術的にもまだ発展途上であることの現れでもある。破壊力やスピードを十分出し切れているとは言い難い。亀の伊藤にパウンドを当てるまではいいが、次のポジションや極めにつなげたり、ルールを活かしてサッカーボールキックを放つといった攻めが無い。
 3R、伊藤は掟破りともいえるジャーマンを狙い、またも観客を驚かせるが失敗。ウマハノフは右ハイキックやギロチンを仕掛けるが、まだ精度が低い。攻勢は維持したものの、KO/一本には至らず、日本では初めての判定勝ちとなった。

 試合後の伊藤は、いつものように涙目で、観客に深々と頭を下げる。だが尾崎社長に声をかける様子は、いつもとどこかが違う。尾崎社長によると、伊藤は「もう満足だ」というニュアンスの言葉を話したという。バックステージでも伊藤は「向こうの現実が強くて、僕の現実が弱かった」「100%出して負けた」「次のことはわかりません」「今のところ正直言うと立つ気はありません」と話し、引退を示唆した。会社側とは今後話し合いが行われる。

第5試合 ヘビー級 王座次期挑戦者決定戦 5分3R
×水野竜也(U-FILE CAMP登戸)
○チアゴ・シウバ(ブラジル/マカコ・ゴールド・チーム)
1R 4'29" KO (サッカーボールキック)


 チアゴのジャーマンをロープを掴んで防ぐ反則を犯し、口頭注意を受ける場面もあった水野だが、打撃戦では左ミドル、右フック、右アッパーを的確に当て先手。とはいえ一発の重さではやはりチアゴが上。パンチの打ち合いから流れを引き寄せると、膝蹴りも駆使し一気に攻め、最後は水野がダウンしたところ、シュートボクセ仕込みのサッカーボールキックで豪快にKO勝ちした。
 まだ荒さが目立つものの、“第二のヴァンダレイ”としての素質を感じさせるファイトを見せてくれたチアゴ。試合後のマイクは通訳が「PRIDEのリングに上がれて光栄です」と誤訳してブーイングを浴びる一幕もあったが、「ベルトを取りに戻って来る」と約束。“士道館のミルコ”ヘビー級王者・アルボーシャス・タイガーとの次戦が楽しみだ。

第4試合 ミドル級 5分2R
○佐藤光留(パンクラスism/2位)
×藤井陸平(和術慧舟會RJW)
判定2-0 (和田20-20/梅木20-19/大薮20-19)


 光留がタックルと首投げで再三テイクダウンを奪うが、その先のチャンスに欠く。2R終盤の膝十字も失敗。勝利は得たものの、相手の藤井を讃えると足早にリングを去った。

第3試合 ミドル級 5分2R
○渡辺大介(パンクラスism)
×岩見谷智義(高田道場)
2R 0'58" ギブアップ (フロントチョークスリーパー)


 1R、渡辺はバックを奪われる等グラウンドで劣勢だったが、2R、タックルに合わせギロチンを極め逆転勝ち。怪我を乗り越え、復帰戦を白星で飾った。

第2試合 ウェルター級 5分2R
×小路伸亮(KILLER BEE)
○ヨシロックT(和術慧舟會A-3)
2R 2'06" KO (スタンドでの膝蹴り)


 1R、小路のクリンチアッパーと膝蹴りで押され気味だったヨシロック。だが2R、小路のタックルを潰してバックを取ると、立ち上がり際に膝。最後も膝でマットに沈めた。

第1試合 フェザー級 5分2R
△浅野倫久(KILLER BEE)
△柳澤雅樹(PPT)
判定0-1 (大薮19-20/梅木19-19/廣戸19-19)


 浅野が的確に左ローを当て、柳澤の引き込んでからの攻めも防いだが、1Rにローブローの反則により減点1。この失点が響きドローに終わった。

◆ネオブラッド・トーナメント・フェザー級予選

決勝 5分1R(延長3分1R)
×廣瀬 勲(ストライプル)
○田中康友(SKアブソリュート)
1R 判定0-2
※田中がトーナメント本戦出場権獲得

準決勝(2) 5分1R(延長3分1R)
×佐藤将光(坂口道場)
○田中康友(SKアブソリュート)
1R 判定0-2

準決勝(1) 5分1R(延長3分1R)
○廣瀬 勲(ストライプル)
×佐々木亮太(B-CLUB)
延長R 判定3-0

一回戦(4) 5分1R(延長3分1R)
○田中康友(SKアブソリュート)
×内山重行(GRABAKAジム)
1R 判定2-1

一回戦(3) 5分1R(延長3分1R)
○佐藤将光(坂口道場)
×本田智昭(KILLER BEE)
延長R 判定3-0

一回戦(2) 5分1R(延長3分1R)
×杉島大輔(和術慧舟會東京本部)
○佐々木亮太(B-CLUB)
1R 判定0-3
          
一回戦(1) 5分1R(延長3分1R)
×戸澤真澄美(GRABAKAジム)
○廣瀬 勲(ストライプル)
1R 判定0-3

Last Update : 03/02 14:36

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