(レポ&写真) [全日本キック] 6.11 後楽園:元気、ワンロップとドロー
全日本キックボクシング連盟 "Triumph(トライアンフ)" 2006年6月11日(日) 東京・後楽園ホール 観衆:1740人(超満員)
レポート&写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
第8試合 Wメイン(2) フェザー級 3分5R △山本元気(DEION GYM/全日本フェザー級1位) △ワンロップ・ウィラサクレック(タイ/M-1バンタム級王者) 判定1-0 (豊永50-50/和田50-50/朝武50-49) ※当初発表の判定1-0 (豊永50-50/和田49-49/朝武49-48)から訂正
真弘が敗れ、小林がリベンジした。日タイ3番勝負の真打ちは元気だ。小林の後に元気が登場することに違和感を持つ観客は一人もいないだろう。対日本人7連勝のワンロップをマットに沈められるのは元気の右拳しかない。ワンロップが試合前の儀式の踊り(ワイクー)をリング上で舞っている最中も、ファンの期待がじわじわと元気の全身に注ぎ込まれるているかのようだ。 最初から元気は仕掛ける。左右のフック、右ミドルを当てるが、ワンロップも前蹴り、左ミドル、ハイ、肘を返す。攻撃の威力、スピード、そして両者の一瞬一瞬の判断と駆け引き。全てが一級品だ。そして多少の強打をもらってもひるまない両者の精神と肉体も驚異的。会場西側の席を赤く塗り尽くしたウィラサクレックの大応援団と、残りの客席を埋め尽くす観客の歓声と悲鳴が入れ替わり交互に鳴り響き、リングを中心に渦を巻く。
最大の山場は3R。元気が右ボディを効かせた後、左右のフックでワンロップをひるませる。ワンロップは腰が落ち、一瞬ロープに座るような格好。ダウンを宣告されても不思議ではなかったが、その前後のワンロップの肘で、元気は右眉尻を深くカットしていた。 ドクターチェックの後、辛うじて再開。ワンロップが左ハイを当てるが元気は倒れない。終盤には左フックでワンロップを再びぐらつかせる。インターバル中、『塗る』というより『乗せる』という表現が正しいぐらい、傷口を大量のワセリンで塞ぐ元気陣営。ウィラサクレックの応援団からは、「塗り過ぎだ」との非難が飛ぶ。 それでも血は止まらない。元気は顔を真っ赤に染めたまま、パンチでワンロップを倒しにかかる。ジャブをきっかけに何度もロープに詰めるが、ワンロップは巧妙に逃げてハイ、ミドルを返す。
3Rまでとは対照的に、4R以降は単調な攻防に終始。とはいえワンロップはこれまで6試合、3R以内に試合を終わらせている選手。まだ23歳で、日本で試合をした3年間にも成長していることを考え合わせれば、元気が4R以降も戦い続けられていることはとんでもないことだ。 判定はドロー。1Rは元気、3Rはワンロップが取っと思われる。だが、ラウンドごとの採点という枠を取払い、3Rの元気のパンチをダウンと取らなかったこと、元気にドクターストップがかからなかったこと、この2点を相殺すれば、ドローという決着は納得できる。 元気は傷の治療のためノーコメント。ワンロップは判定に不満を示したが、ここがタイでは無いこと、そして元気の強さを認め、再戦は拒まなかった。この二人の戦いの最終ラウンドはまだ訪れていない。
(編集部注:試合の3日後、元気選手は所属のDEIONジムで記者会見を行い、試合を振り返りました。[→記事] )
第7試合 Wメイン(1) 62.5kg契約 3分5R ○小林 聡(藤原ジム/WKA世界ムエタイ・ライト級王者) ×ヨードクングライ・ノーンカムジム(タイ/元ルンピニー・バンタム級6位・現ライト級) 1R 2'20" KO (左ボディブロー)
開始早々、回し蹴りを見せた小林。右ローにつなぐコンビネーション等でリズム良く攻め、相手の左ハイ、左ローを防いだ後、右ボディを一撃。最後はうずくまった相手のボディに目掛け、腰の入った左を叩き込みKO勝ちをおさめた。 3月に敗れた相手へのリベンジに成功した小林は雄叫びをあげ、セコンドに抱きつき、「野良犬」と書かれた額を掲げて大喜び。マイクを持つと、秋にデビュー15周年を迎えるにあたり、タイのチャンピオンとの対戦を希望し「ユー、アー、ネクスト!」と叫んだ。実現の舞台は9月のタイ遠征か? 今後の進展に期待したい。
第6試合 Wセミ(2) 57.5kg契約 サドンデスマッチ ×山本真弘(藤原ジム/全日本フェザー級王者) ○ダーラタイ・ペッパヤッタイ(タイ/フェザー級) 判定0-3 (朝武28-30/野口29-30/29-30)
真弘はダーラタイを何度もロープ際に追いつめるものの、動きが読まれ、打ち終わり等に右ミドルを何度も叩き込まれてしまう。結局最後まで打開の糸口を見いだせなかった。
第5試合 Wセミ(1) 54kg契約 サドンデスマッチ ○藤原あらし(S.V.G./全日本バンタム級王者) ×チェ・ジンスン(韓国/IKMF韓国バンタム級王者) 判定3-0 (和田30-27/朝武30-27/野口30-28)
力一杯右ストレートを振り回すジンスンに対し、あらしは左ミドルを着実に当て続け主導権をキープ。ハイ、ロー、ストレートも絡め、多彩な技で圧倒。7月の真王杯での健闘を誓った。
第4試合 スーパーウェルター級 サドンデスマッチ ○望月竜介(U.W.F.スネークピットジャパン/全日本スーパーウェルター級3位) ×MAD☆BULL(韓国/国際キックボクシング連盟ミドル級王者) 判定3-0 (豊永28-24/朝武28-24/和田28-24)
1R、望月が右フックでダウンを奪い、圧勝ムードだったが、王者になっただけありMAD☆BULLは蹴りを上下に打ち分けられるキックボクサーに成長。2Rには右フックでダウンを奪い返す。その後は2R、3Rに望月が右ストレートで1ダウンずつ奪い、終わってみれば圧勝だったが、MAD☆BULLの打たれ強さと一撃の怖さの方が印象に残る試合だった。
第3試合 ライト級 3分3R △HIROAKI(峯心会) △加門政志(士心館) 判定1-0 (30-29/30-30/30-30)
第2試合 ライト級 3分3R ○濱島康大(はまっこムエタイジム) ×田中信二(大村道場) 判定3-0 (30-28/30-29/30-28)
第1試合 ライト級 3分3R ×鈴木真治(藤原ジム) ○野間一暢(JMC横浜GYM) 判定0-2 (29-29/29-30/29-30)
オープニングファイト ウェルター級 3分3R ○宮越宗一郎(藤原ジム) ×平 航(REX JAPAN) 2R 2'39" KO (右ストレート)
Last Update : 06/14 12:04
|