(レポ&写真) [K-1 MAX] 2.4 埼玉:魔裟斗判定勝ち。佐藤開幕戦進出
FEG "エステティックTBC K-1 WORLD MAX 2006 日本代表決定トーナメント" 2006年2月4日(土) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ 観衆:13,927人(満員札止め)
レポート&写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
◆スーパーファイト
第9試合 3分3R(延長1R) ○魔裟斗(シルバーウルフ/MAX '03 世界王者) ×イアン・シャファー(オーストラリア/リングス・オーストラリア) 判定3-0 (朝武30-27/岡林30-27/大成30-28)
魔裟斗が登場するだけで場内は黄色い歓声。他の試合とは全く違う空間となる。1R、魔裟斗は距離を保ち時計回りでステップしながら右ローを着実に当て続ける。シャファーは回し蹴りやローも使うが、パンチを振り回す攻撃中心。魔裟斗の鋭いローをもらってもなかなか動きが落ちない。 3Rになると魔裟斗は「蹴っている自分の足が痛くなった」といい、右ロー以外にもテンカオ等の他の技も多く使い始めるが、タフなシャファーをKOどころから1度もダウンを奪えず。マイクを渡されたが「倒せなかった」と苦笑いを浮かべていた。
◆魔裟斗「今日は勝ったけど全然うれしくないですね。2連戦で精神的にキツかったんで、とりあえず1〜2週間遊んで、4月に向けて気合いを入れ直します。(日本代表戦を制した佐藤嘉洋について)優勝は予想通り。(戦う可能性は?)これまで試合を見たことがなくて、決勝だけ見ましたけど、まだ早いですね。明確にスタイルが見えたんで。『あー、なるほどね』って」
第6試合 3分3R(延長1R) ○ブアカーオ・ポー・プラムック(タイ/ポー・プラムックジム/MAX '04 世界王者) ×マイク・ザンビディス(ギリシャ/メガジム) 判定3-0 (御座岡30-28/シャルリー30-29/朝武30-29)
ザンビディスの素早い右フックが空を切れば、ブアカーオも鋭く伸びのある左ミドルをお返し。互いに手数は少ないものの、日本代表トーナメントの2倍速かとさえ思えるようなハイスピードな技の応酬に会場がどよめく。 2Rになるとブアカーオの左ミドルのヒット数が増加。ザンビティスの右腕と脇腹が赤くなる。3Rもブアカーオがミドルで攻め続け、疲れたザンビディスがスリップする場面も数度あり、力の差を見せつける終盤戦となった。
第1試合 3分3R(延長1R) ○レミギウス・モリカビュチス(リトアニア/リングス・リトアニア/ZST-GP2王者) ×我龍真吾(ファイティングマスター/J-NETWORKウェルター級王者) 1R 0'08" KO (左飛び膝蹴り)
開始早々、レミーガがパンチの連打で我龍を後ろに下がらせると、我龍のアゴに飛び膝をクリーンヒット。我龍は大の字に倒れ込んだ。 8秒KO勝ちは96年5月に宮本正明がアイアン・ロニー戦で記録した13秒を塗り替えるK-1新記録。谷川貞治K-1イベントプロデューサーはレミーガの開幕戦出場「当確」を明言した。
◆日本代表決定トーナメント
第2試合 一回戦(1) 3分3R(延長1R) ×安廣一哉(正道会館/MAX世界一決定トーナメント'05 リザーバー) ○HAYATΦ(FUTURE_TRIBE/UKF世界Sウェルター級王者) 判定0-3 (朝武28-30/岡林29-30/大成27-29)
1Rから右フックが何度も交錯するスリリングなパンチ戦。2R、HAYATΦが右左のフックの連打で安廣をひるませると、パンチラッシュで何度もダウン寸前まで追い込む。3Rになっても倒しきれなかったが、左膝蹴りを当てるなどして、安廣に反撃の糸口を与えず完勝した。
第3試合 一回戦(2) 3分3R(延長1R) ○TATSUJI(アイアンアックス/R.I.S.E. DoAトーナメント'05王者) ×山本優弥(青春塾/全日本キック・ウェルター級1位) 2R 2'47" TKO (ドクターストップ:右肩の脱臼)
TATSUJIが接近戦になるたびパンチの連打をうまく当て主導権。優弥はその度にクリンチし、レフェリーから何度も注意を受け、2Rには注意より1段上の警告を受ける。直後から打ち合いに応じたが、右肩を脱臼しドクターチェック。「できるよ!」と涙ながらに絶叫したが、右腕がブランとした状態のためストップがかかってしまった。優弥は去年6月のK-1ジャパンGP広島大会の濱崎一輝戦でも右肩を脱臼しており、同じ箇所を痛めたこととなる。
第4試合 一回戦(3) 3分3R(延長1R) ×大東 旭(チーム・クラウド/元WBC世界スーパーウェルター級5位) ○上山龍紀(TEAM Kings/元DEEPミドル級(83kg)王者) 判定0-3 (朝武28-30/黒住28-30/シャルリー29-30)
上山が須藤元気にも近いトリッキーな動きをしつつ、左ローを当て続ける。大東がパンチで突進してくれば、組み付いて膝を顔面に当てる。3Rにはその攻撃で相手の鼻血を誘いドクターチェックに。大きなダメージを与える攻めは無かったが、主導権を維持した上山が準決勝に駒を進めた。
第5試合 一回戦(4) 3分3R(延長1R) ○佐藤嘉洋(フルキャスト/ 元WPKC世界ムエタイSウェルター級王者) ×新田明臣(バンゲリングベイ/MAX日本代表決定トーナメント'05 2位) 判定3-0 (朝武30-28/大城30-29/シャルリー30-27)
試合はローの打ち合いと、佐藤が組み付いて膝を当てる展開の繰り返し。クリンチが多く、佐藤には3回、新田にも1回レフェリーから注意が出される。3Rには佐藤の前蹴りで新田が吹き飛ぶ場面もあり、後半戦の主導権を維持した佐藤に軍配が上がった。
第7試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R) ×HAYATΦ(FUTURE_TRIBE/UKF世界Sウェルター級王者) ○TATSUJI(アイアンアックス/R.I.S.E. DoAトーナメント'05王者) 判定0-3 (朝武26-30/岡林26-30/大成26-30) ※3R右ローキックでHAYATΦに1ダウン
TATSUJIが一回戦同様、1Rから回転の早いパンチの連打を当て主導権。一回戦で体力を消耗させられたHAYATΦは、クリンチが多く攻め手に欠き、2Rには警告をもらってしまう。3R開始早々こそ左右のパンチの連打を当てたが、すぐさまTATSUJIがパンチで反撃。コーナーに詰めてのパンチと右ローの連打でダウンを奪い、勝負を決定づけた。
第8試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R) ×上山龍紀(TEAM Kings/元DEEPミドル級(83kg)王者) ○佐藤嘉洋(フルキャスト/ 元WPKC世界ムエタイSウェルター級王者) 1R 終了時 TKO (ドクターストップ:右膝じん帯損傷)
佐藤が膝、ロー、右ストレートを単発ながらも当て続け主導権。上山はクリンチが多くレフェリーから注意を宣告される。2Rのゴングが鳴ろうとしたところ、上山が右膝じん帯損傷でドクターストップとなり、試合は突然幕を閉じた。
第10試合 決勝 3分3R(最大延長2R) ×TATSUJI(アイアンアックス/R.I.S.E. DoAトーナメント'05王者) ○佐藤嘉洋(フルキャスト/ 元WPKC世界ムエタイSウェルター級王者) 判定0-3 (朝武28-30/御座岡28-30/大成28-30) ※佐藤が初優勝
蹴りの佐藤に対し、TATSUJIは距離を詰めてのパンチの連打で1Rは主導権。佐藤はクリンチが多く、2Rにはまたも注意1をもらうが、膝とローを当て続けるうちに、TATSUJIの動きが落ちてくる。 3Rも同様の攻めでTATSUJIにほとんど何もさせず。終盤にはローでバランスを崩させたあと、コーナーにもたれたTATSUJIの顔面に前蹴りをクリーンヒット。2、3Rのポイントを取り、下馬評通りトーナメントを制した。
優勝賞金500万円は大学時代の奨学金返済と、ライブドア事件で数十万円損したという株式投資に使うという佐藤。「他の選手のファンの方も、ほんのちょっとだけ僕を応援してください」と試合後マイクアピールしたが、魔裟斗らが上げてきた「K-1 MAX株」の配当の恩恵に浴する時期は過ぎた。私生活での赤字が清算され、MAX2年度目に突入する4月の開幕戦大会からは、「佐藤嘉洋株」にファンがチケット代という形で投資し、MAXの株価もアップさせる選手に脱皮することを期待したい。谷川プロデューサーは佐藤を「MAXのシュルト」と評するが、佐藤はまだK-1でKO勝ちどころかダウンも奪えていない。シュルトのような抜群の破壊力を得られるかどうかが、今後の佐藤の株価変動のポイントとなると思う。
リザーブファイト 3分3R(延長1R) ×白虎(Ranger品川ジム/前NKBウェルター級王者) ○白須康仁(花澤ジム/MA日本キック・ウェルター級王者) 判定0-3 (岡林29-30/市瀬28-30/スリック29-30)
白須がインローを効かせつつ、左右のストレートを当て続け判定勝ち。白虎も打ち合いでパンチを当てたが、クリーンヒット数で差が付いた。
Last Update : 02/05 14:59
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