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(レポ&写真) [DEEP] 12.2 後楽園:今成、吉朗極めフェザー級王者に

DEEP事務局 "インパクトコーポレーションPresents DEEP 22 IMPACT"
2005年12月2日(金) 東京・後楽園ホール

  レポート:徳永 崇  写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


■ DEEPフェザー級(65kg)初代王者決定トーナメント

第4試合 準決勝(1) 5分3R
○今成正和(チームROKEN)
×マイク・ブラウン(アメリカ/アメリカン・トップチーム)
2R 3'38" タップアウト (アンクルホールド)


 今成はノーガードから二段蹴りで牽制する。タックルに行くがブラウンはがぶり、スピニングチョークの様に回転してサイドを奪取。コツコツとボディにパンチを落とすが、今成は体を跳ね上げて一気に腕十字。ブラウンは腕を抜いてスタンドに戻る。その後は今成が引き込み、ブラウンが細かいパウンドを落とす展開が続き、1R終了のゴングが鳴る。
 2Rも同様の展開が続き、ブラウンの手堅い攻めに苦しむ今成。だが中盤のブレイク後、二段蹴りから飛び込み、一瞬で足に絡みつく。ブラウンは足を抜こうと回転するが、今成は足首を一気にひねり、ブラウンは悶絶しながらタップアウト。今成が“足関十段”の異名にふさわしい切れ味を見せつけて逆転勝利を収め、決勝に駒を進めた。

第5試合 準決勝(2) 5分3R
○前田吉朗(パンクラス稲垣組)
×ムアンファーレッグ・ギャットウィチアン(タイ/チュワタナジム)
1R 2'26" KO (サッカーボールキック)


 前田はゴング直後に飛びヒザで距離をつめ、タックルでテイクダウン。左右のパウンドを連打すると、ムアンファーレッグは防戦一方に。寝技の経験不足が明らかなムアンファーレッグは必死で抱きつき、下からパンチを返す。前田は立ち上がるスキを与えない非情の攻めで、さらにパウンドを乱打。最後は下からパンチを返したムアンファーレッグの顔面を蹴り飛ばし、豪快にノックアウトした。無傷で勝利を収めた前田は足早にリングを下り、決勝への集中を感じさせた。
 

第6試合 リザーブマッチ 5分3R
○山崎 剛(GRABAKA)
×松下剛士(MB3z)
2R 4'44" タップアウト (腕ひしぎ十字固め)


 スピードで上回る松下は山崎のローに合わせて飛び込み、ワンツーをヒット。打撃戦を避けてタックルに行く山崎だが、松下は切ってスタンドへ。その後もグラウンドに持ち込もうとする山崎のタックルを松下が切り、スタンドで攻める展開が続く。
 2Rに入っても、松下が頭を振りながらプレッシャーをかける。活路を見いだせない山崎だが、中盤にバックを狙った松下を振り落とし、初めて上を奪取。寝技のテクニックで上回る山崎はねちっこくパスガードし、サイドポジション。さらにアームロックでキャッチを奪うと、流れるように腕十字をがっちり極め、松下はタップアウト。山崎が唯一のチャンスを確実にものにし、勝負強さを見せつけた。
 

第11試合 決勝 5分3R
×前田吉朗(パンクラス稲垣組)
○今成正和(チームROKEN)
3R 1'31" タップアウト (アンクルホールド)

※今成が王者に

 鉄砲のような破壊力を備えた前田の打撃と、日本刀のような切れ味を備えた今成の関節技。ともに一撃必殺の武器を持つ両者は前回の対戦で、緊張感のある間合いを保ったまま時間切れを迎えた。
 決勝のリングには、前回同様のひりひりとした空気が漂う。前蹴りで突き放す前田の足に、今成が絡みつく。前田はジャンプしながら足を抜き、猪木アリ状態へ。ブレイク後も今成は前田の足下に滑り込もうとするが、前田は足を取らせずにパンチを落とす。今成も下から蹴りを突き上げて反撃し、執拗に足を狙っていく。スタンドに戻ると、前田が両手を上げ、「蹴ってこい」とばかりに挑発。今成は付き合わず、パンチに合わせて滑り込むが、前田は間合いを取って足を取らせない。前田がパウンドを落とし、1R終了。

 2R序盤、引き込んだ今成が腕十字を仕掛け、キャッチがコールされる。前田は今成を持ち上げ、2連続のバスターで脱出。パウンドを落とし、ローを放つ。今成は自ら転がり、滑り込み、徹底的に足を狙っていくが、前田は深追いしない。前田のパウンドで今成の顔が徐々に赤くなり、2Rが終わる。

 インターバルで、前田に疲れは見られないが、今成の顔には蓄積したダメージの色が浮かぶ。両者ともここまで決定的な攻撃はないが、極まらなければ効果がない今成と、クリーンヒットでなくてもある程度のダメージを与えられる前田の、両者の武器の違いが表情に表れる。
 迎えた最終ラウンド。ともにガードを下ろし、お見合いを続ける両者の姿に、会場から笑いが漏れる。

 一進一退の流れを変えようと、ともに勝負をかけたか、ここまでかみ合わなかった両者が、ついに相手の領域に踏み込む。先に突っ込んだのは今成。ここまで打撃戦を避けていたが、ミドル、バックブローで前に出る。前田は冷静にさばき、クリーンヒットは受けない。中盤になり、1〜2R同様、今成が自ら寝転ぶ。今成に呼応するかのように、ここまで寝技に付き合わず、スタンドを要求していた前田が、ガードに体を預ける。パウンドを連打し、今成がオモプラッタ気味に上下を入れ替えようとすると、一気に三角絞めの体制へ。下からがっちりと締め上げ、勝負あったかに思われたが、今成は腕をはって徐々にスペースを広げ、何とか脱出。次の瞬間、あっという間に前田の足首をひねり上げ、激闘に幕を下ろした。

 ゴングの瞬間、リングには練習仲間がなだれ込み、チャンピオンを祝福。足を壊された前田も這って今成に近づき、声をかけた。エキシビジョンのように華麗な技が飛び交った試合は、観客を酔わせ、ホールに“十段”コールが鳴り響いた。
 陽の当たらない格闘人生を歩んできた今成。キングダム時代のバレット・ヨシダ戦での一本負け、ZSTグラップリングトーナメントの1回戦負け、PRIDE武士道のヨアキム・ハンセン戦でのKO負け。誰もが実力を認めながら、ここ一番の試合では敗れ続けてきた。

 絶対の武器を磨き上げて完成させた、自ら下になって徹底して関節を狙うスタイル。パウンド全盛の現在ではリスクが高すぎ、同じ戦術を選べる選手はほとんどいないだろう。今成という異能の選手の戴冠は、今後の総合シーンを必ずや活性化させてくれるはずだ。

◆今成「疲れました。体が痛いです。(準決勝のブラウンは)力が強かったですね。負けると思いました。終わってクタクタでした。(前田は?)3度目はもう無いです。(前回との違いは?)対策が凄く練られてて。僕は何もやらなかったですね。(ここでブラウンが通りかかり「You are Leglock Machine」と叫ぶ)マシンだって(笑)。(ブラウンが「アンクルだと思って抜こうと思ったら、膝に痛みが来てビックリした」と話していたが)膝が鳴ってましたね。僕も解らないです。神様が降りてきたんじゃないですか?(試合が終わって泣いた今成選手は初めて見たが?)そうですね。恥ずかしいですね。最近勝ててなかったんで。(王者として今後は?)なるべくタイトルマッチをしないように(笑)」

※吉朗は練習の時点でで左膝を痛め、試合でも右足を痛めたため、病院に直行しノーコメント。


第10試合 76kg契約 5分3R
○帯谷信弘(木口道場レスリング教室)
×ミルトン・ヴィエイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
判定3-0


 男性人気が異常に高い帯谷に、満員の会場から野太い声援が飛ぶ。
 開始早々帯谷はタックルで飛び込むと、ミルトンはフロントチョークを合わせる。帯谷は落ち着いて首を抜き、一気にマウントへ。パウンドを落とすが、ミルトンもハーフに戻して耐える。さらにパウンドを落とすが、ミルトンは不安定な体制から潜り、鮮やかにスイープ。テクニシャンぶりを見せるが、帯谷はすぐに立ち上がりスタンドへ。ミルトンはパンチにカウンターでタックルを合わせるが、腰の重い帯谷はがっちり受け止めて倒れない。リーチで劣る帯谷は遠い間合いから左フックで飛び込む。フックでミルトンのアゴが跳ね上がり、1R終了のゴング。

 2R開始直後、ミルトンが飛びヒザで奇襲を仕掛ける。アゴにもらった帯谷はぐらつき、ミルトンは一気にバックを奪取。首に腕を絡ませ、帯谷は絶体絶命の窮地に陥る。しばらく耐えた帯谷は執拗なチョーク狙いをしのぎ、反転してマウントポジションへ。帯谷はさらに反転するとミルトンは腕十字に行くが、帯谷は冷静に腕を抜いて上になることに成功。顔を真っ赤にした帯谷は、猪木アリ状態から踏みつけ、ローで攻め立てる。さらにサイドからお返しとばかりに腕十字を狙う帯谷だが、ミルトンも腕をキープしてしのぐ。帯谷はオモプラッタに移行して攻めるが、ミルトンもディフェンスして2R終了。

 3Rに入ると、帯谷の勢いが加速。強烈なボディ、左フックを打ち込み、ミルトンは苦し紛れにタックル。帯谷はつぶしてパウンドを放ち、徐々にミルトンの動きが鈍る。残り1分で上になった帯谷は、パンチと踏みつけのラッシュで攻め立て、ミルトンがノックアウト寸前になったところで試合終了のゴング。難敵を退けた帯谷はマイクを取って涙し、2月大会でのタイトル挑戦を表明した。

◆帯谷(マイクアピール)「平日ですけど、たくさんのお客さんに見に来てもらえて、選手としては一番嬉しいです。(涙で言葉をつまらせる)1つのことだけじゃなくて、いろんなことがあって今こうしてリングに立ってます。色んな仲間に支えてもらってようやくリングに立つことができました。フューチャーファイトから言った通りに飛び級無しでやってきて、もうやる人は1人しかいません。来年2月に(三島★ド根性ノ助の持つDEEPライト級)タイトルマッチお願いします。今日は判定ですいませんでした。自分の兄貴分(五味隆典)が年末にマッハ選手とタイトルマッチをやります。そちらの方もチームで応援よろしくお願いします」

第9試合 83kg契約 5分2R
△滑川康仁(Team M・A・D)
△リー・ジョンホ(韓国/CMA KOREA 正進ジム)
判定1-0


 リーが回転力のあるパンチで前に出る。滑川はパンチを返しながらタックルに行くが、腰の強いリーは倒れない。リーのワンツーが度々滑川のアゴをとらえ、1R終了。2Rに入り、滑川のローでリーの足が流れる。リーのワンツーも滑川をとらえるが、ともに大きなダメージは与えられない。残り1分で滑川がトップをとり、ガードのリーにパウンドを打ち込む。リーは組み付いて強打を許さず、そのまま試合終了のゴング。両者ともに決定打は無く、ドローは妥当な裁定だろう。

第8試合 76kg契約 5分2R
×中村大介(U-FILE CAMP.com)
○長谷川秀彦(SKアブソリュート)
判定0-3


 中村が飛びヒザで突進。長谷川はさばいて組み付き、外掛けでテイクダウンを狙うが、中村が反転してトップを奪取。下になった長谷川は足を狙い、スタンドへ。その後、中村の投げをつぶした長谷川が、バックを奪取。足を4の字にがっちりと交差し、パンチを浴びせる。終盤には腕十字を仕掛けるが、中村がこらえて1R終了。2Rも長谷川が優位なポジションをキープし、判定勝ちを収めた。

第7試合 92kg契約 5分2R
○佐々木有生(GRABAKA)
×タカ・クノウ(チーム太田章)
1R 2'20" KO (右ストレート)


 元自衛隊員の逆輸入ファイター。木村政彦以来50年ぶりに黒帯の柔術家から一本を奪った男。“生ける伝説”と呼ぶにふさわしいクノウは、ジャンボ鶴田のテーマで入場。修斗、パンクラスで数々の強豪と対戦し、長く総合のメインシーンで活躍する佐々木が迎え撃つ。
 距離を取ってステップするクノウに、佐々木がロー、ミドルを飛ばす。クノウが佐々木のローをキャッチすると、佐々木はスリップ気味に尻もちをつく。クノウは佐々木の足を振って、一気にパスガード。寝技に定評のある佐々木を上回り、実力の片鱗を見せる。佐々木は反転して立ち上がり、スタンドへ。クノウがパンチで佐々木をロープ際につめるが、佐々木の右ストレートがクノウのアゴをとらえる。距離をとったクノウだが、セコンドの「効いてるよ!」の声に後押しされた佐々木は距離をつめ、右ストレートで突進。前のめりに崩れたクノウを見て、レフリーが試合を止めた。

◆佐々木「(3月以来の試合ですが)ちょっと硬かったですね。最初と最後のストレートだけ、伸びがあってよかったです。パンチはだいぶよくなったと思います。大みそかに菊田さんとボビーの試合があるんで、勝っていい形でつなげたい気持ちがあって、凄いプレッシャーはありましたね。(次の試合は?)ずうずうしいかもしれないですし、やれる資格があるかどうかわからないですけど、自分にとってキーポイントだったのが美濃輪さんの試合だったなと。やれるところまで来いというんだったら行きます。ムリーロ・ブスタマンチとかダン・ヘンダーソンとかかっこいいなと思うし、強い人とやってみたいですね。」

第3試合 78kg契約 5分2R
○藤沼弘秀(荒武者総合格闘術)
×関 直喜(RISEファイトクラブ)
2R 1'40" KO (左フック)


 藤沼が左右のフックでプレッシャーをかけると関もパンチを返し、真っ向勝負の打撃戦へ。両者ともパンチを当てるが、次第に一発の重みで上回る藤沼が上回り、関がぐらつく場面が目立ち始める。ラウンド中盤に藤沼のフックがあごをとらえ、関がダウン気味にタックルに行く。藤沼はタックルを切り、パウンドを乱打。関は何とかスタンドに戻し、フラフラになりながらもボディへヒザを返すなど反撃。藤沼はアッパー、フックのパンチのコンビネーションで攻めたてるが、関を倒しきれずに1R終了。2Rに入っても藤沼が前に出るが、関はボディへのヒザを中心に反撃。藤沼の体がくの字に折れ、動きが鈍る。口を開き、苦しそうな藤沼だが、距離が離れたところで左フックを関の顔面にたたき込む。関は前のめりにダウンし、レフリーが試合を止めた。

第2試合 73kg契約 5分2R
△梅田恒介(R-GYM)
△ジェイソン・チェンバース(アメリカ/10thプラネット柔術)
判定1-0


 梅田が何度もテイクダウンを奪うが、チェンバースの守りが堅くその先の攻めが無く、その度にブレイクがかかる。結局その展開のまま変わらずドローに。チェンバースのセコンドにはエディ・ブラボーがついていた。

第1試合 93kg契約 5分2R
×栗原 強(チームROKEN)
○ゲガール・ムサシ(オランダ/ジュロージンジム)
1R 0'10" KO (顔面への膝蹴り)


 開始早々、組み付こうとした栗原の頭をムサシが下げると、膝を一発叩き込みあっさりノックアウト。

フューチャーファイト 70kg契約 5分2R
○相馬幸生(高田道場)
×松田真吾(DOBUITA)
1R 3'12" タップアウト (チョークスリーパー)

Last Update : 12/04 14:33

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