[キングダム]入江、パンクラス稲垣に勝利/11.21後楽園レポ&写真
キングダム・エルガイツ "The Road to bankrupt or yoyogi 第10戦 〜ターニングポイント〜" 11月21日(水)東京・後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真:井田英登
▼入江キングダム初の後楽園大会は観衆2000人(主催者発表)を集め、アマチュア7試合を含む全17試合が行われた。会場正面にはスクリーンを設置し試合前に選手紹介映像を流し、アマチュア戦後は10人ほどのダンサーによるダンスバトルも披露され、オリジナルな演出も多彩。メインではエース入江秀忠(写真)がパンクラスの稲垣を撃破し、アンダーカードでも今成正和、太田和博、鬼木貴典といった逸材が活躍。興行的にはおおむね成功に終わったといえよう。 だが選手の入場テーマを何度も流し間違ったり、パンフレットに契約体重や試合時間を明記していなかったりと、全体的に素人臭い興行だった感も否めない。来年1月には北沢タウンホール大会、5月1日には後楽園ホール大会を予定しており、これらの興行では問題点が改善されることを期待したい。
メインイベント キングダム vs. パンクラス キングダムルール 15分1本勝負 ○入江秀忠(キングダム・エルガイツ) ×稲垣克臣(パンクラス大阪) エクストラポイント4-0
パンクラスのテーマ曲で稲垣が入場し、対抗戦ムードが一気に高まる。対する入江は尾崎豊の曲をバックに、白いタオルを頭にかぶったまま入場。レフェリーはリングスなどでもお馴染み平直行が務める。 序盤稲垣が組み倒そうとするが入江は付き合わず引き込み。稲垣はハーフガードとなるがなかなかパスガードできない。スタンドに戻るとまもなく入江が足をかけテイクダウン。ハーフガードからあっさりパスガードしエクストラポイント1を獲得する。その後も入江がパスガードでポイントを稼ぐ。試合後稲垣が入江について「(体重差は)そんなに無いと思いますがすごく重く感じました」と語ったとおり、入江の相撲仕込みの腰の強さは健在だ。 だが団体の大一番・後楽園大会の準備に追われ、昼間はサラリーマンもしている入江にとって、15分1本勝負、膠着ブレイクのあるこのルールはキツい。残り5分のところでスタミナ切れが露呈する。スタンドで隙を見せてしまい、稲垣の起死回生の打撃技にヒヤリとする場面もあった。それでもグラウンドに持ち込めばパスガードでポイントを積み重ね、差し合いでの膝蹴りで稲垣を苦しめる。終盤は入江の疲労もピークに達し自分から寝転んでパンクラスファンからブーイングを浴びたが(すぐにレフェリーが立たせた)、なんとか時間切れに持ち込み大差のポイント差で勝利。キングダムの看板を守りきった。
試合後入江はマイクを持ち、後楽園ホールの隣・東京ドームで念願のヒクソン・グレイシー戦を実現させる準備があると発表。「スポンサーに対するプレゼンテーションが成功し、他にもいくつか問題をクリアすれば実現できる。秘策もあります」と吠えた。またパンクラスに逆上陸する意志も示し、近藤有己とヒクソン戦を賭けて戦うことも提案した。この日は東京ドームでアメリカの人気アイドルグループ・バックストリートボーイズのライブが行われていたが、格闘技界のバックストリートを歩んできた入江が東京ドームで戦う日が来るのか? 入江の発言は誇大妄想じみている感も拭えないが、今後の動きには注目していきたい。
一方敗れた稲垣。「パンクラスの代表として上がるので『それなりの試合をして勝ってもらわなければ困る』と(パンクラス関係者に)言われた。こういう試合は『一生懸命やればいい』『満足できればいい』という物でもないので、その言葉が頭にくっついてますね」「(ルールの違いに戸惑ったか?という質問に)相手をコントロールして押さえ込むのはルールに関らず基本的なこと。相手がポジションを取ったのだから、技術面での負けを認めるしかない」と落胆の色を隠せない様子だった。しかし欠場明けの8月の高橋戦でほとんど本領を発揮できないまま敗れた稲垣が、今回は最後まであきらめず意地を見せ戦い抜いたことは評価に値する。体力的には入江を上回っており、終盤には一発の打撃で逆転できそうなチャンスもあった。敗れはしたものの、稲垣にとってもターニングポイントとなる一戦だったように思う。
セミファイナル グラップリングバウト -68kg契約 10分1本勝負 ×今成正和(キングダム・エルガイツ) ○バレット・ヨシダ(アメリカ/グラップリング・アンリミテッド) 3'43" レフェリーストップ(チョークスリーパー)
2001アブダビコンバット-65kg級準優勝、コンテンダーズライト級トーナメント優勝の強豪バレットに、“足関十段”今成がどこまで通用するかマニアの注目を集めた一戦。序盤バレットが引き込んだところ、今成が足関を狙おうとする場面があったが失敗。今成はガードポジションとなり、バレットの仕掛けにも足を効かせてなかなかパスガードをさせない。しかし3分過ぎ、バレットがついにパスガード成功。ここからの動きは素早く、今成のバックを取りスリーパーにつかまえる。今成は最後までタップしなかったが、バレットとの実力差がまざまざと見せ付けられた瞬間だった。敗れはしたものの今成はまだ伸び盛り。国内外で群雄割拠のライト級のグラップリング戦線で今後も注目を浴び続けるだろう。
※この間にプロレスの特別試合(第2次UWFルール)藤原喜明(プロフェッショナルレスリング藤原組)対 荒井修(国際プロレス青葉道場)が行われ、藤原組長の華麗な脇固めに客席が湧いた。
第3試合 U系柔術オフィシャルマッチ -75kg契約 5分1本勝負 △稲野岳(キングダム・エルガイツ) △アンドレ・カリオカ(マリオ柔術) 延長5分 レフェリー判定
稲野がカリオカをコーナーに押し込んで差し合いの展開が続く退屈な内容に。客席からはブーイングが飛び交った。稲野は「面白い試合ができなくて反省している。ポイントが多い投げを狙っていた(投げは3点。ちなみにパスガードは1点)。タックルを切られてからの展開ができないのが欠点。もっと練習して出直します」とガックリ。
第2試合 スーパーヘビー級 -120kg契約 10分1本勝負 ○石井淳(キングダム超人) ×岩崎隆勇(EAGLE) タイム不明 KO(パンチ)
第4回タイタンファイト優勝の石井がコーナーに押し込んでの膝、立ったままのフロントチョークでプロレスラー岩崎のスタミナを奪い、最後はサイドポジションからのパンチ連打で勝利した。
第1試合 ミドル級ランキング戦 -75kg契約 10分1本勝負 ×小池秀信(チームGRABAKA) ○太田和博(真武館) 2'42" レフェリーストップ(小池の左肩脱きゅうによる)
太田は九州の名門・真武館主催の全日本格闘技選手権大会中量級優勝の実績を持つ隠れた強豪。的確なローで小池を追い詰めフロントチョークに捕まえると、99年のTHE WARS 5で見せたキャプチュード気味の投げを今回も披露。グラウンドになってもフロントチョークの体勢のままだったが、突然太田はフロントチョークを外し勝ち名乗り。なんと投げ技で小池が左肩を脱きゅうしていたことが判明し、レフェリーが試合をストップした。
ヘビー級(-95kg)5分1本勝負 ○栗原強(入江部屋) ×池田賢治(武蔵村山格闘技道場) 延長3分 エクストラポイント1:0(本戦エクストラポイント1:1) 本戦で両者パスガードで1ポイントずつ取り延長へ。終了間際パスガードに成功した栗原が勝利。
クルーザー級(-85kg)5分1本勝負 ○鬼木貴典(キングダム北九州) ×安藤雅生(JWA) ロストポイント0:-1 鬼木(写真)は北九州出身。キングダムが春に福岡で開催した公開オーディションに参加したものの入江らにコテンパンにやられたことで改心し、28歳ながら上京し聖蹟桜ヶ丘のキングダム道場で特訓してきたという苦労人だ。ルックスもアンコ型、刺青、坊主頭と迫力があり、入場から睨みを効かせる姿は貫録たっぷり。試合では下になった安藤から腕十字を狙われてもマットに叩き付けたり、前蹴り一発でダウンを奪ったりと豪快さを発揮。キングダムのクルーザー級のエースとして今後の活躍が楽しみだ。
ミドル級(-75kg)5分1本勝負 ×内藤宏治(超人倶楽部) ○並木光生(超人倶楽部) エクストラポイント0:2
ライト級(-65kg)5分1本勝負 ○岩村篤(入江部屋) ×広瀬和哉(IMNグラップリング) 3'05" 肩固め 岩村がテイクダウン、腕十字でポイントを稼ぎ、最後は肩固めで一本
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Last Update : 11/24 04:19
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