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(レポ&写真) [PRIDE GP] 6.26 さいたま:日本人全滅。ミルコ完勝

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE GRAND PRIX 2005 2nd ROUND"
2005年6月26日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ  観衆・45,102人(超満員)

  レポート:井田英登  写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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◆ PRIDEミドル級GP 2回戦

第2試合 1R10分+2,3R5分
○マウリシオ・ショーグン(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
×アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
判定3-0 (大橋=ショーグン/三宅=ショーグン/ヒューム=ショーグン)


 GP二回戦のオープニングは、ブラジル二大チームの因縁の激突。ラフながら伸び盛りのショーグンとベテラン業師ホジェリオの個人レベルでの対象の妙としても見逃せないカードとなった。ショーグン6戦、ホジェリオ7戦、共に黒星なしで迎えた激突でもある。
 大振りな左右フックで前に出るショーグンと、ガードの間からショートジャブを的確に当てていくホジェリオ。打撃一つにも両者のタイプの違いが伺える。リングサイドにはこれから試合を控えているはずのヴァンダレイがつく。この辺りチーム同士の戦いと言う構図が明確だ。
 グラウンド状態のホジェリオに得意のフットスタンプを見舞うショーグンだが、足を跳ね上げて防ぐホジェリオ。スタンドに戻ればクロスカウンターの左のフックでショーグンをふらつかせ、すかさず腕十字に引き込むなど序盤は、ホジェリオのペースで進み始める。
 だが若いショーグンはめげない突進力がワンサイドゲームを許さない。インサイドからジャンプするように放つパンチ、転がされてのカメ状態で頭を四点ヒザを狙われても、馬力でひっくり返す展開が見られる。だがホジェリオが仕掛けた必殺の三角締めをかいくぐって、袈裟固めから顔面にヒザをぶち込んで行くエグい攻めで切り返すショーグン。
 2R、ショーグンのパンチをかいくぐって胴タックルに入ったホジェリオ。しかし倒れ際に入れ替えて上のポジションを奪うショーグン。アリ猪木状態はブレイクとなるが、すぐクリンチからのテイクダウンで同じ状態へ。ショーグンはここで踏みつけを繰り出すが、ホジェリオは足を掛けてはね飛ばし決定打にならない。一方、細かく下からの三角を狙って行くホジェリオのサブミッション攻撃も、また同じようにすり抜けられて不発。両者共に、お互いのフィニッシュホールドには徹底した警戒があり、ギリギリの攻防が繰り返される中最終ラウンドへ。絡んだ時のカットか、若干、ホジェリオの目尻に流血が見える。
 組付きから引き込んだホジェリオに、不完全なニーインザベリーからパンチを落として行くショーグン。ブレイクを得て、また確実にショートフックを当てていったホジェリオだが、ショーグンのカウンターの左一発がクリーンンヒット。ふらつくホジェリオ。すかさずグラウンド状態のホジェリオを踏みつけにいくショーグン。畳み掛けたいショーグンだが、下になったホジェリオは巧妙に蹴り離しを使って回復の時間を稼ぐ。
 残り一分スタンドに戻った両者は、ふらつきながらパンチを放って行く。バックを取ったホジェリオがグラウンドに持ち込むが、上を取り返すホジェリオ。共に力を出し切った風情でゴングを聞いた。
 結果は3Rに差をつけたショーグンに軍配が上がった。

第3試合 1R10分+2,3R5分
×イゴール・ボブチャンチン(ウクライナ/フリー)
○アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)
1R 1'20" タップアウト (フロントチョークスリーパー)


 いきなり飛びヒザの奇襲をしかけたアリスター。ファーストコンタクトは強烈なフックの応酬から、ヒザでの崩し合いとなる。先にテイクダウンを奪ったアリスターはサイドポジションを奪う。カメになったボブチャンチンの首をとってそのまま立ち上がり、身長差を活かしたフロントチョークで勝負を決めてしまった。
 アリスターは試合後、アローナ×桜庭の勝者とやりたいと発言。「昔桜庭にサインをもらったことがあるんだ。アローナとは03年のGPで対戦が決まりながら、アローナの怪我で試合ができなかったから」と説明。結局アローナが勝ち上がったが、残り2人がどちらもシュートボクセのため、アローナ戦は決勝までお預けとなることが確実だ。
 

第7試合 1R10分+2,3R5分
×桜庭和志(日本/高田道場)
○ヒカルド・アローナ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
2R 終了時 TKO (タオル投入)

※試合終了後の検証の結果、2Rにアローナが桜庭の傷口に指を入れる行為が確認されたため、アローナにイエローカード1(ギャラ-10%)のペナルティが課された。

 この数年怪我に泣かされ続けて来た桜庭だが、このトーナメントでは絶好調宣言を連発、復調を強調する。安定した実力で判定勝利を重ねて来たアローナは、まさにその試金石となりうる一戦。彼がここでどういう勝負を見せるかで、トーナメント自体の成否が問われるといっても過言ではない。
 前回「PRIDE新入生」を標榜、小学生コスプレを見せた桜庭。今回は武田鉄矢(海援隊)の歌う「贈る言葉」をイントロに、学生服を着込み、花道を自転車で進む“3年B組”中学生パフォーマンスで入場してくる。

 左ミドルから入った桜庭。左フック右アッパーの変則的な連打で飛び込んで行くコンビも桜庭独特のもの。しかしこれを受け止めてヒザを浴びせるアローナ。さらにタックルに来た桜庭をガブって潰し、4Pヒザを見まう。この日のスペシャリティはヒザと考えているのかもしれない。
 ハイを見舞ったアローナだが、これは空を切り、桜庭は潜り込んでテイクダウン。サイドからパウンドを浴びせる。確かにこの反射速度を見ていると、調子は悪くない。
 左右を振って出たアローナ。右がヒット。右右右の連打。桜庭もアッパーを返すが、クリーンヒットはアローナのもの。桜庭が組み付いて来た所を、逆にファイアーマンズキャリー気味に強引に持ち上げてテイクダウンするアローナ。素早く立ち、また大振りのパンチから組み付きにいく桜庭だが、カウンターのショートジャブを浴びてしまう。ロープ際に追い込まれた桜庭はさらにパンチを浴びてダウン。転がりながら、アローナの足にタックルに行く桜庭だが、ガブったアローナは桜庭の首をフロントチョーク的に釣り上げて、顔面にヒザを飛ばす。ヒザをついて正座状態の桜庭は、頭を手でガードしながら我慢一途。
 脇をくぐって立ちにいく桜庭。フロントチョークへ移行しようとしたアローナを押し込んで、上のポジションを奪いかえす桜庭。すかさず下からアームロックを狙うアローナ。上半身を回り込んで反対の腕を十字に決めようとした桜庭だが、これはすっぽ抜けて失敗。スタンドに戻った。桜庭の左耳から出血があり、ここでドクターチェックが入る。
 再開後、桜庭は低い片足タックル。受け止めて起こしたアローナは、桜庭をコーナーに押し込む。ヒザの飛ばし合いとなったところでゴング。

 2R、桜庭は先手として内股への左ロー二発。ハイを返したアローナの股を潜ってタックルを仕掛ける桜庭。しかし、これをすり抜けたアローナはさらに顔面を狙ってもう一発ハイをぶち込んでくる。際の反応の早さ、迷いの無さではやはりアローナが上回る印象がある。
 タックルを仕掛ける桜庭。アローナの右ローがカウンターで顔面に飛ぶ。蹴り足をそのまま掴んだ桜庭だが、振り払うと再度顔面に蹴りをぶち込むアローナ。つま先辺りが顔面に入った鈍い音が響く。そのまま押し倒して上になるアローナ。あっという間に桜庭の左目が腫れ上がるのがわかる。ここで再度ドクターチェック。
 続行となるが、桜庭の左目は青く腫れ上がって視野はほとんどない様子だ。ガード状態からの再開。ターンしてカメになった桜庭に、容赦なくアローナの4Pヒザがぶち込まれる。すり抜けようとする桜庭の首をがっちり抱え込んだアローナ。また頭部を片手でガードする桜庭。立とうとした桜庭にハイキックを飛ばし、再度フロンントチョークに押さえ込んだアローナは、また4Pヒザで容赦なく攻め込む。

 ここでラウンド終了のゴングとなるが、桜庭は顔面を朱に染める大流血状態。立ち上がることもできずヒザを抱えた桜庭の姿に、コーナーから白タオルが投入される。両目を遮光器土偶のように腫らした桜庭。先のドクターチェックの段階で既に試合を止めても良かったのではないかという気はしないではない。二度目の4Pヒザの連打の段階でも、もう少し早く止めることは可能であった気がする。運営サイドの桜庭に対する過剰な期待が、試合停止のタイミングを見誤らせたとは思いたくはないが…。

第8試合 1R10分+2,3R5分
○ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/PRIDEミドル級王者)
×中村和裕(日本/吉田道場)
1R 5'26" KO (マウントパンチ)


 タオルを頭に被って表情を隠し、青ジャケットの二枚重ねで花道を歩んで来た中村。締まった表情には、向かう所敵なし状態のヴァンダレイに立ち向かう意気は十分に感じられる。二枚目の肌身に着た方のジャケットの袖が短く切られているのは、彼のオリジナルとも言える工夫だ。空手家同様パンチが振りやすい事と、袖を取られない利点がある。
 大胆に右ローを蹴り込んで行く中村。右のロングフックを振って行く時の、足もとのぐらつきが気になる。やはり若干警戒気味で、距離が遠いのか。
 組み合っては襟を取られてコーナーに振り回され、右のロシアンフックにはカウンターのショートを合わせられる。やはりヴァンダレイのほうは格上の余裕だ。中村が遮二無二組みに行った所を、再びショートの右を合わせられ、バランスを崩してグラウンドへ。猪木アリ状態から、いきなり踏みつけに来られるが、中村はよく見て蹴り足に胴タックルを決めて引き込んだのはお見事。

 だがスタンドに戻ればやはりパンチの精度がモノを言う。中村はジャケットを脱ぎ捨てた瞬間、ヴァンダレイが繰り出した左がヒット。崩れた中村の顔面にパンチを落として行き、最後はマウントパンチ連打。力の抜けた中村の様子を見て、レフェリーが試合を止めた。
 中村のチャレンジャー精神は垣間みられた試合だったが、技術的にも体力的にも格の違いが見せつけられた試合だったといえるだろう。
 かくて、PRIDE-GP2005決勝ラウンドは、日本人の居ないベスト4対決となった。

◆中村「冷静に行こうと思ったけど、3分過ぎで熱くなってしまったのが敗因です。(袖を切ったのは?)吉田さんとの試合を見て、シウバが袖車の防御が完璧なので。あと(長袖だと)打撃も出しにくいんで。(半袖の道衣を着ながらずっと練習していた?)そうですね。一つ秘策があったんですけど、向こうのディフェンスがうまくて。(3分で熱くなったということだが、着ながら練習すれば熱くなることは想定できたのでは?)ていうよりか、今まで戦った選手の中でもシウバ選手のプレッシャーが強かったです。なかなかペースが握れないで。(途中で脱ごうと思ったのは?)パンチが肩で引っかかって出しにくいなって。(脱いだところを狙われたって感じはなかった?)それよりか、シウバ選手の圧力に押されましたね。(パンチが引っかかるというのは?)引っかかって腕が伸びきらないです」
 



◆ ワンマッチ

第4試合 ワンマッチ 1R10分+2,3R5分
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ)
×イブラギム・マゴメドフ(ロシア/レッド・デビル)
1R 3'53" KO (左ミドルキック)


 今大会の最大の目玉として期待されたヒョードルvsミルコとの対戦は、結局ヒョードルの拳の怪我で回避。代わってマッチメイクされたのが、ヒョードルのチームメイトであるマゴメドフとのカード。ミルコにすれば、セコンドに付いたヒョードルに圧倒的なパフォーマンスを見せつけて、今度こそ頂上対決を実現させたいところだろう。
 両者距離を見て左へ回る展開から、マゴメドフが早い右を振り回してみせる。開始一分ようやくミルコが左右のパンチを見せて前に出る。右ロー、左ミドル、ハイと鞘を払ったミルコだったが、まだ距離が浅いか、決定的なダメージを与える事が出来ない。距離の微妙な狂いを測り直すように左ストレートを放ち、顔面を捉えたミルコ。さらに距離を測り合うように数発のパンチが交錯したあと、ガード下の脇腹へスピードの乗った左ミドルをぶち込んだミルコ。この一撃に、一瞬遅れてマゴメドフはダウン。そのまま立ち上がることなく試合を終わった。
 試合後マイクを握ったミルコは、テレビ解説席の高田延彦PRIDE統轄本部長を呼び上げ、この場でのヒョードル戦決定を迫るアピールする。高田本部長はこの要請を請けて、ヒョードルをリングに呼び上げる。チャンピオンベルトを肩に載せたヒョードルとミルコがリング上に並び立つ。ヒョードルはこの挑戦を受諾し、8/28のGP決勝戦での両者のタイトルマッチが正式に決定した。

第5試合 1R10分+2,3R5分
○田村潔司(日本/U-FILE CAMP)
×瀧本 誠(日本/吉田道場)
判定3-0 (小林=田村/足立=田村/ヒューム=田村)


 一昨年のGP一回戦の吉田戦に続いて、またもや柔道アスリートとの対戦に臨む事となった田村潔司。一方昨年末の男祭りでのデビュー戦では、判定勝利こそ手にしたものの「総合格闘技を舐めてました」発言を残し、総合転向の厳しさを実感したシドニーオリンピック金メダリスト滝本。共に、この一戦ではその真価が問われる厳しいマッチメイクとなった。
 左ローから入った田村。安易にタックルを狙ってくる滝本をステップでかわし、再びローをぶちこむ田村。なんとか組み付いてテイクダウンに持ち込んだ滝本だが、田村は素早く立ち上がってしまう。
 組み付いてロープに押し込んだ滝本だが、ブレイクがかかる前に両者は離れる。田村は滝本の顔面にショートフックを打ち込み、ローでダメージを重ねて行く。意地になった滝本がワンツーで飛び出してくるが、ことごとくそれは宙を切る。田村はいたぶるようにインローアウトローを滝本の右足にぶち込んでふらつかせる。
 前蹴り、ハイとまるで闘牛士のように間遠に、一発一発を効かせるように滝本に打撃オンリーの攻撃を仕掛けて行く田村。田村の残酷な一面を感じさせるなぶり殺し的な攻撃だ。
 滝本は既にこの段階で相当息が上がっているのが判る。田村の前蹴りのタイミングに合わせて組み付き、コーナーに押し込んで足を払うが、素早く立たれてブレイク。
 再び間合いを取りながら、単発の左ローを重ねていく田村。テンポのいい技の攻防というより、相手の出方を伺う異種格闘技戦的な重苦しい空気感が続く。田村の前蹴りをとって押し倒した滝本だが、押さえ込む前にパンチを放とうとしたために、あっさり立たれてしまう。やはりまだ総合のセオリーが肉体化していない感がある。

 2R、右のインローをオープンニングに、また田村のプレッシャーがかかる。滝本の振り回した左右のパンチをかいくぐって胴タックルにいく田村だが、ここは倒さないままブレイク。またローと左右のフックで、じわじわ滝本を追い込んで行く田村。
 滝本がパンチを放っても、がっちりガードを固めて受け流し、またローを叩き込む田村。まるで吉田戦の再現のような展開だ。田村の左パンチが、滝本の顔面にクリーンヒット。瞬間反転身体を折る滝本だが、畳み込まない田村。打撃の力量的には明らかに田村の打撃が勝っている。にもかかわらず“とどめ”を刺そうという意志が見えない。まるで、一個一個の攻撃の効きを相手と、そして客席に誇示するような、奇妙な間を持って進展して行く試合。これが田村なりの“プロレス観”から生み出される試合運びなのか。

 最終ラウンド、左をアゴに叩き込んだ田村。その間合いに合わせて浴びせかけるように胴タックルを仕掛ける滝本。コーナーまでもつれた両者だが、田村はこれを受け止め、道着を引き回してパンチを放つ。
 スタンドに戻ると、いきなり光景が代わる。まるで打撃の初心者相手にスパーをしているかのように、滝本の振り回してくるパンチ連打をガードだけで受け流して下がる田村。その勢いで押し倒してしまう滝本。
 ガードで滝本の下になった田村。ギロチン風に粗頸部でアゴを押さえ込む滝本。まるで吉田戦のフィニッシュを彷佛とさせるような防戦状態の田村。滝本には袖車と言う引き出しが無い。瞬間のアリ猪木状態からパンチを落とした滝本。その一撃でもらったか、田村の鼻から血が一条流れるが、ここでゴング。

 試合後、セコンドについていた吉田と握手し言葉を交わした田村。そしてマイクを握り「今日は内容がイマイチだったんですけど、勝ちをもらいました。今少し吉田さんと話したんですが、吉田道場とU-FILEで対抗戦をやりませんかと提案しました。大将同士で「吉田vs田村」をお願いします」とアピール。トーナメントの真っ最中にぶち上げられた対抗戦の提案。若干唐突な印象に客席は戸惑い気味だったが、田村の執念が吉田に届くかは、今後のPRIDEを占う上で一つの注目点となっていくだろう。

第6試合 1R10分+2,3R5分
○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
×パウエル・ナツラ(ポーランド/高田道場)
1R 8'38" KO (マウントパンチ)


 大会前ナツラからだされたジャケットマッチ提案を一蹴したノゲイラ。312戦無敗を誇る柔道金メダリストが相手とはいえ、総合の世界での実績は自分が上という意識も強いだろう。
 ナツラも入場時こそ高田道場の銘を入れたジャケット着用だったが、これを脱いでスパッツ姿になってリングに立つ。この日35歳の誕生日を迎えたルーキーは、自ら右のパンチを振って組み付いて行く。ノゲイラが引き込んでグラウンドへ。腕を取らせておいて下からのリバーサルに成功したノゲイラだが、ナツラも足でノゲイラの腰を浮かせてリバーサル。再度上のポジションを取り返す。
 インサイドガードになったナツラは、胸に頭を当て、ノールックでのパウンドを当てるなど、総合の基礎的ムーブは既にある程度身につけている観がある。アリ猪木で立ったナツラだが、追って立とうとしたノゲイラに対し、首をフロントにとって覆いかぶさる。これは極らず、ノゲイラは首を抜くが、グラウンドでは両者の拮抗が感じられる。
 ブレイク。ミドルを放ち、すかさず突っかけて組みにいったナツラだが、コーナーの際で押しつぶしてテイクダウンを奪うノゲイラ。ハーフから細かくパンチを落とし、ナツラの密着を許さないノゲイラ。パスしてサイドポジションを奪うと、ギロチン気味に肘で嫌がらせ。首を取ってカメ状態にすると、4Pヒザを数発ぶち込んで行くノゲイラ。
 しかしここで立ち上がってピンチを脱したナツラ。テイクダウンに成功したものの、ナツラのスタミナが若干落ちたのを見定めたかノゲイラは攻めだるま状態で、素早くリバーサル。パスしてマウントポジションを奪うとパンチ連打を浴びせる
 なかなかの適応性は見せたものの、ナツラはデビュー戦を飾る事が出来なかった。

第1試合 1R10分+2,3R5分
○セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア/ロシアン・トップチーム)
×ペドロ・ヒーゾ(ブラジル/ファス・バーリトゥード)
1R 2'02" KO (サッカーボールキック)


 かつてUFCでケビン・ランデルマンとも王座を競い合ったストライカー、ペドロ・ヒーゾが遂にPRIDEに登場する事になった。既にUFCでもトップ戦線から外れた印象がある現在、若干登場が遅過ぎた感もあるが、舞台を変える事でリフレッシュが期待される部分もある。
 両者リング中央で額をこすり合うオープニングに歓声が湧く。むしろパンチのシュアさではハルトーノフに利がある観もある。ヒーゾのローのカウンターに左ストレートを打ち込んだハリトーノフ。そのままマットに覆いかぶさってグラウンドへ。
 ブレイクを経てスタンドに戻った両者だが、ハリトーノフはストレート連打で、ヒーゾを圧倒。アゴへの一発で焦点が怪しくなったヒーゾに連打を浴びせて行くハリトーノフ。ガードの下がったアゴにヒザをぶち込むと、ヒーゾが腰を落とす。その顔面に容赦なくキックを飛ばし、さらにパンチを落とすハリトーノフ。レフェリーが飛び込んで、あっけなく勝負は終了。
 ピーター・アーツのスパーリングパートナーとして名を売ったUFC最強ストライカーのヒーゾだが、この日はその片鱗も見せる事無くPRIDEマットに散った。



 

◆ 小池百合子環境大臣がアピール
 休憩前、小池百合子環境大臣がリングインし、地球温暖化防止キャンペーン「チーム・マイナス6%」のアピールを行った。今大会では会場の空調の温度を1度上げる、配布のビラに再生紙が利用するといった所でキャンペーンに貢献していた。

◆ 西島洋介がファンに挨拶

 休憩明けのリング上には、先日PRIDE参戦が発表された元WBFクルーザー級王者西島洋介が登場。久々のリングという事もあってか、テレ笑いを浮かべ、少し言葉に詰まった様子を見せる。ついにはカンニングペーパーを取り出して「最強を目指して…」と読みあげかけるが、自らダメだし。「総合を練習して頑張ります」と一言だけ語り、リングを降りた。

Last Update : 06/27 22:49

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