(レポ&写真) [J-NETWORK] 1.21 後楽園:新田判定勝ち。大高大奮闘
J-NETWORK "GO! GO! J-NET '05 - volcano -" 2005年1月21日(金) 東京・後楽園ホール
レポート:永田遼太郎(TURBΦ×大高戦)、井原芳徳(その他) 写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
※サバイバルマッチ1は3分3R・延長1Rマストシステム
第8試合 3rdメイン フェザー級 肘無し 3分5R ○TURBΦ(FUTURE_TRIBE ver. OJ/前NKBフェザー級王者) ×大高一郎(山木/MA日本フェザー級王者) 判定3-0 (山中50-48/和田50-47/シーナ50-48)
この試合は大高の頑張りにつきると言ってもいい。 正直、大高一郎の名を聞いてもよほどのキックファンでなければピンとこないはず。それも仕方ない。大高は昨秋、MAキックのフェザー級の新王者になったばかり。対するTURBΦは桜井洋平らとも激闘を繰り広げたNKBの元王者。大高本人も「実績も知名度もあっちの方が上」と評したが、現役王者の大高が青コーナーに配されたのにもそんな背景があったのかもしれない。 だが赤コーナーになったTURBΦの気持ちも青コーナーだった。「NKBの王者になった時もナンバーワンになった感じではなかった。だから王者対決というよりは赤コーナーだったけど僕の方が挑戦するって気持ちの方が強かった」と語る。他団体の強い選手と戦いたい、そして真のナンバーワンになりたいという思いがあるからこそ、あえてフリーになって新たな挑戦の場を求めていった。 そんな二人の想いがクロスすれば好勝負にならないわけがない。
試合前からゾクゾクするような緊張感がリング上を支配した。 この日、大高のセコンドに付いた山木ジムの先輩、泉や辻から「硬くなるな。喧嘩だ、喧嘩」と盛んに声が飛ぶ。それは大高もわかっていた。「MAの王者である以上、MAを代表してリングに上がるんだ」それはいつにもまして気合の入った表情で開始のゴングが鳴るのを待つ姿を見れば明らかだった。山梨から駆けつけリングサイドでこの試合を見守ったMAキックの宮川理事長もそんな大高の姿を見て頼もしく感じたにちがいない。それくらいこの日の大高のオーラはリング下まで伝わってきていた。 そんな雰囲気の中、開始のゴングが鳴った。スタートから大高が飛ばしていく。技術ではやや分があるTURBΦを相手に気持ちいいほど積極的に得意のパンチを使って前に出る。 これにTURBΦも応戦する。勢いに乗らせないとばかりに細かいカウンターを大高の顔面に合わせ、チャンスと見るやインファイトに出て激しい打ち合いも仕掛けていく。両者の主導権争いが激しく展開された。
しかし3ラウンド、大高に不運が襲い掛かる。偶然のバッティングで左の眉尻をカットしてしまったのだ。そこをすかさずTURBΦが狙い撃ちする。大高の左頬はみるみると紫色に変色し傷口はさらに広がり左目の視界が完全に遮られる状態となった。 これでかなりの劣勢に立たされた大高だったがここから脅威の粘りを発揮する。これには主導権を握りかけたはずのTURBΦもさすがに驚いた。「前半は自分のペースで戦えたのに後半は相手の気迫に圧され逆に前に出られるシーンも多かった」とTURBΦ自ら認めるほど大高の一発はいつ試合をひっくり返してもおかしくないものだった。 しかしTURBΦはこれに慌てない。3月のIKUSAで予定されている「IKUSA GP JUDGEMENT GAME」に弾みをつけるためにも、ここで負けてなどいられない。さらに容赦ない攻撃が大高の顔面を襲う。
そして試合は終わった。結果は判定でTURBΦが勝利をものにした。しかし大高も破れはしたもののMAの王者として恥ずかしくない戦いぶりを見せた。もう大高一郎を知らないなんて言わせない。少なくともこの日会場に集まった多くの人々に彼の姿は大きなインパクトを与えたはずだ。
これからますますキック界のボーダレス化が進んでいくことだろう。しかし大事なのは負けてメンツがどうこうじゃない。こうした熱い戦いをファンに提供しアピールしていくことだ。この試合はTURBΦと大高がその模範を示してくれた。この一歩はかなり大きい。今こそK-1だけがキックボクシングじゃないということを業界全体でファンにアピールするチャンスだと思う。あとはファンがそこに乗っかってくれさえすればいい。まだキックの会場に足を運んだことがない格闘技ファンにも告げたい。「今、キックを見ないでどうする」と。
◆TURBΦ「大高選手は半端ない根性でしたね。最初は自分が前に出ていたと思っていたんですけど、最後は向こうの気迫に完全に押されてましたね。決して下がらない印象をもちました。(大高選手のカットは)バッティングですね。リングでも言いましたがKO出来なかったのが心残りです。 (3月のIKUSAに向けては)パンチを打ち続ける練習をしています。リングが小さいので、足を使わないで近い距離で戦う練習です。(それは今日に生かせましたか?)今日は足を使っちゃいましたね(笑)次は3月のIKUSAに出る予定なんですが、言われたのが昨年の11月で、11月の試合から次が3月だと間が空きすぎちゃうので、今日試合を組んでもらいました。この前、山口(元気)さんと(サムライ祭りのスーパーエキシビジョンで戦った後)「IKUSA GPの決勝で当たろうな」って約束したんで。」
◆大高「正直、チャンピオンって言っても向こうの方が実績も上なんで挑戦させてもらって光栄でした。MAのチャンピオンっていってもベルトにこだわっているつもりはないんですが、今日はいい意味でMAの顔として試合に臨めたとはおもいます。 僕の顔を見てもらえば判るとおり技術は向こうの方が数段上でした。当て勘と言うかパンチを当ててくるのが凄く上手な選手です。僕は意地だけで最後まで前に出てプレッシャーを与え続けました。ただ今日は日本のトップクラスと戦って自分の力を再確認出来たんで、またここからが始まりだと思います。決してこのままじゃ終わりません。今日の悔しさを忘れずに、もう一度這い上がって来たいと思います。」
第10試合 5thメイン ミドル級 肘無し サバイバルマッチ1 ○新田明臣(バンゲリングベイ/IKUSA -U70戦王) ×ニック・ヒョード(アメリカ/和術慧舟會総本部) 判定3-0 (少30-27/山中30-26/和田30-27) ※3Rにヒョードが右ローで1ダウン
新田明臣が後楽園ホールに帰って来た。IKUSAの試合同様、喜納昌吉の「花」と「サンバ・デ・ジャネイロ」の2曲に乗って登場。多くの団体の選手が上り、「キックフェスティバル」とでも呼べる雰囲気となった今大会の最後にぴったりの入場パフォーマンスだ。 1R、新田は左ボディ、左ハイを当てる等早くも優勢。K-1 MAX再上陸を目指す新田は「パンチを出せるようなスタイルにニコラス(・ペタス)さんに変えてもらっている最中」だといい、その変化が少し伺える。 だが左足のじん帯を痛めていたため、途中から蹴りが右ばかりに。右ミドル、右ローを何発も当てるが、攻めがやや単調になってしまう。3Rには右ローでダウンを奪うが、もう一歩のところで倒しきれず、KO勝利をおさめることができなかった。 マイクを持った新田は「来月のK-1 MAXに向けてアピールしたかったけど、アピールにならなかったですね。まあ人生長いんで、人生谷あり山あり障子に目有りってことで、許してください」と彼らしくジョークを交えつつもファンに不完全燃焼の試合内容を詫びた。
第9試合 4thメイン 58.5kg契約 3分5R ×砂田将祈(M-FACTORY/J-NETフェザー級王者) ○前田尚紀(藤原/全日本キックフェザー級1位) 5R 1'20" TKO (ドクターストップ:肘による眉間のカット)
1R終盤、前田が左アッパーからのパンチラッシュで砂田をダウン気味にスリップさせ優勢。砂田はゴングに救われる。その後、砂田は右ロー、右ミドルを当て、前田は右ローを当てほぼ互角の展開に戻る。しかし小林聡のアドバイスを聞きながら的確に当て続けるうちに、砂田の足が止まり始め、前田優勢に。パンチの連打で砂田を追い詰める。砂田は眉間をカットし5R開始前ドクターチェックを受ける。5Rも前田が攻めると、砂田の傷口が広がりドクターストップとなった。勝った前田だがきっちり倒せなかったせいもありこの日も無念の様子。リングアナウンサーからマイクを要求されても断り、足早にリングを降りた。
第7試合 2ndメイン スーパーライト級 サバイバルマッチ1 ×喜入 衆(ソーチタラダ渋谷/J-NETスーパーライト級王者) ○チャイディー力(タイ/M-TOONG/元ラジャダムナン認定フェザー級王者) 判定0-2 (松本29-29/山中29-30/少28-29)
喜入は足を使って上下のコンビネーションを仕掛けていくが、チャイディーの強烈なパンチとプレッシャーの前に完全に手数を止められ苦戦する。中でも強烈だったのはチャイディーのボディーブロー。再三その餌食になるが1度もダウンせず、3Rには時折パンチを当て耐え抜いた。
第6試合 1stメイン 68kg契約 3分5R ×我龍真吾(ファイティングマスター/元新日本キック日本ライト級王者) ○ゲンナロン・ウィラサクレック(タイ/BBTVウェルター級2位・元WBF豪州ウェルター級王者) 判定0-3 (小川48-50/和田49-50/シーナ48-49)
我龍がパンチの連打で喧嘩腰に倒しにかかると、ゲンナロンは右肘を振り回し隙を突く。すると次第に我龍はゲンナロンからの距離が遠くなり、近づこうとしても左ミドルを浴びてしまい劣勢に。大きなダメージは被らなかったが、最後まで攻められないまま終了のゴングを聞いた。
第5試合 ヘビー級 サバイバルマッチ1 ×長谷川康也(アクティブJ/J-NETヘビー級1位) ○百瀬竜徳(TARGET) 判定0-3 (28-30/28-30/28-30) 立ち上がりは静かだったが、1R終盤に百瀬が右ストレートをきっかけに長谷川をダウン寸前まで追い込む。2Rは長谷川が右フックで百瀬をダウン気味にスリップさせたが、終盤またも百瀬が反撃。3Rは百瀬がローを効かせて長谷川の動きを止め、文句無しの判定勝ちをおさめた。
第4試合 ライト級 サバイバルマッチ1 ○小宮由紀博(レグルス池袋/J-NETライト級4位) ×村山トモキ(AJジム) 判定3-0 (30-27/30-28/30-28) ※2R村山が右ハイで1ダウン
J-NET対全日本、期待のホープ対決となったこのカード。昨年、グライガンワーンに勝ち自信もついた感さえする小宮が自分の距離を終始キープし、村山に攻略の糸口すら与えない。2Rにダウンを奪い、手数でも上回り完勝した。
第3試合 バンタム級 サバイバルマッチ1 ×大原清和(レグルス池袋ジム/J-NETバンタム級3位) ○KENT(湘南格闘倶楽部/J-NETバンタム級4位) 判定0-2 (29-30/30-30/29-30)
鋭い蹴りを当てる場面の多かったKENTが僅差の判定勝ち。大原も何度もKENTをコーナーに追いつめパンチを放ったが、クリーンヒットの数が少なかった。
第2試合 59kg契約 サバイバルマッチ1 ×笠原 淳(SKVアラビア/J-NETフェザー級5位) ○梅下湧暉(U-FILE CAMP/元MA日本フェザー級1位) 判定0-3 (29-30/29-30/29-30)
ムエタイスタイル同士のテクニカルな対決。僅差の内容となったが、3Rになると笠原は左目尻をカット。梅下が手数で上回り、後楽園で久々の勝ち名乗りを受けた。
第1試合 73kg契約 3分3R ○寒川直喜(バンゲリングベイ/J-NETミドル級2位) ×藤元洋次(武勇大洲) 3R 2'52" KO (右ハイキック)
寒川がパンチとローのコンビで主導権を握り続け、3R、顔面への膝蹴りでダウンを奪う。あとは藤元の反撃をかわし続け、終了間際に右ハイをアゴにクリーンヒット。藤元は担架で運ばれるほどのダメージだった。寒川は2/11のニューヨークのコンバット・アット・ザ・キャピタルに向け幸先の良い一勝をあげた。
フレッシュマンファイト第2試合 ライト級 3分3R ×田中信二(O-DJ) ○大原幸雄(パレストラ古河) 2R 0'48" KO (右ストレート)
フレッシュマンファイト第1試合 58kg契約 3分3R ×下東勇真(ソーチタラダ渋谷) ○秋山 優(パレストラ古河) 1R 2'04" KO (3ダウン:パンチ連打)
Last Update : 01/24 12:04
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