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(レポ&写真) [パンクラス] 7.25 後楽園:北岡、殊勲の一本勝ち

パンクラス "Sammy Presents PANCRASE 2004 BRAVE TOUR"
2004年7月25日(日) 東京・後楽園ホール

  レポート&写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板スレッド]

【DAY TIME】 観衆:2,180人(満員)

第5試合 ヘビー級 5分2R
×野地竜太(パンクラスMEGATON)
○コブス・ハイサマン(南アフリカ/スティーブズジム)
1R 0'12" KO (右フック)


 野地はゴング早々、右フックを振りながらハイサマンの懐に入り込み、首相撲からの膝蹴りを連発。さっそく主導権を握ったかに思われた。だがハイサマンは一瞬距離ができた隙を突き、右ショートフックを野地のこめかみに炸裂。野地は前のめりで倒れ、しばらく立ち上がれなかった。
 「一撃」と「秒殺」。皮肉にも極真とパンクラスの代名詞を二つとも逆の形で体現してしまった野地。試合の記憶が無く、医務室ではうわ言のように「悔しい、悔しい」とつぶやいていたという。パンクラスの尾崎允実社長は「この試合では総合格闘家としての実力を判断するのは難しい。次の試合を見たい」と今後に期待をかけた。
 一方のハイサマンは練習仲間のグッドリッジとノルキヤとともに大喜び。「興奮していて内容は覚えていない。こんなに早く終るなんて…」と勝った本人も驚いていたが、この一撃勝利はキック7戦無敗5KO勝ちの賜物。33歳と遅咲きながら、今後の大舞台での活躍が期待される。

セミファイナル vsチーム・グレイシー中堅戦 ウェルター級 5分3R
○北岡 悟(パンクラスism/4位)
×カート・ぺリグリーノ(アメリカ/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
2R 0'34" フロントチョーク


 ぺリグリーノはPRIDE武士道4で三島と激戦を繰り広げたマーカス・アウレリロに、グラップリングマッチで勝利したことのある実力者。タックルで北岡を豪快に抱え上げテイクダウンすると、北岡の足関狙いを潰し、バックに回り込んでスリーパーを狙う。速攻でいきなりその強さを見せつける。
 だが北岡には心強い味方が付いている。セコンドの近藤有己だ。近藤からは「大丈夫。凌げるから」といった声が飛ぶ。北岡はスリーパーを防御しガード、スタンドに戻すと、今度はぺリグリーノの投げを潰して逆に上になることに成功する。足を一本抜き、もう一本足を抜いてパスガードをしようとすると、ぺリグリーノは綺麗にスイープ。いったん立ち上がって踏みつけを狙うと、今度は北岡が足を捕まえ足関を狙う。ぺリグリーノが足関をほどいてハーフになったところで1Rが終了。

 パンクラスマットで、ここまで柔術的な攻防が繰り広げられることは珍しいが、その中に足関を中心としたパンクラスismらしいムーブも絶妙にブレンドされていた。ハイブリッドレスリングの新たな進化形が、この1Rに凝縮されていたような気がする。
 濃密な内容の1Rの後、決着は突然訪れる。ぺリグリーノがタックルで近付くと、北岡はすぐに両腕で首を抱えてギロチンに。北岡の必殺技だ。北岡は引き込んで首を絞り上げると、ぺリグリーノはタップ。無名の強豪から大金星をあげた瞬間だった。
 北岡は両腕ギロチンを以前から多用していた。だがなかなかそれで一本が取れず、判定の試合が続き低迷していた。5月の後楽園大会の第1試合で、ようやくこの技で一本勝ちをおさめることができた。そしてやっと会社から与えられたチャンスをものにしての一本も、この両腕ギロチン。少し大げさかもしれないが、1Rにハイブリッドレスリングの新たな進化形が凝縮されていたのに対し、2Rには北岡の約4年のパンクラシストとしての苦労が凝縮されていたと言えるかもしれない。

 涙を浮かべながらマイクを持った北岡。「先日個人的に悲しい出来事があったんですけど、近藤さんたちのおかげで勝つことができました。日本人ならお盆は近藤さん(のシウバ戦)を応援してください。11月のNKホールで試合をしたいです。交通の便が悪いですけど、皆さん見に来て下さい」とアピール。人情の厚さに軽い毒舌も混ざった、北岡らしいアピールだった。


メインイベント vsチーム・グレイシー大将戦 ライトヘビー級 5分3R
×佐々木有生(パンクラスGRABAKA/7位)
○ファービオ・レオポルド(ブラジル/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
判定0-2 (梅木28-29/岡本30-30/松宮28-29)


 1R、佐々木が差し合いを制して上になるが、レオポルドの三角絞めでピンチ。腕を挟み入れて防御したものの、その後はアリ猪木状態とインサイドガードを繰り返し、攻め手を欠いてしまう。2Rも先に佐々木がテイクダウンに成功するが、レオポルドはすぐにスイープ&マウント。佐々木はガードに戻すものの、なかなかチャンスをつかめない。
 だがレオポルドはガス欠。佐々木はまたもテイクダウンすると、今度はパスガードに成功し、すかさずアームロックを狙う。これはレオポルドに外されてしまい、そのままタイムアップとなるが、佐々木が流れをつかんだ。

 3Rもハイ、ロー、ストレートで優位に試合を運ぶ佐々木。だがポイントで差をつけられる攻撃にはなかなか至らない。レオポルドも底力を発揮。強引にグラウンドに持ち込むと、佐々木の下からの腕十字や足関狙いを防御すると、終了間際には肩固めで大きなチャンスをつかむ。佐々木はかろうじてゴングに救われる格好に。
 結局、岡本サブレフェリーのみポイント差をつけなかったが、1、3Rに関節技でチャンスをつかんだレオポルドを2者が支持。佐々木は僅差で勝利を逃してしまった。

第6試合 vsチーム・グレイシー先鋒戦 ミドル級 5分3R
×三浦広光(パンクラスMEGATON-TOKIN)
○ジョー・ダース(アメリカ/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
3R 4'56" ギブアップ (スタンドのパンチ連打)


 三浦がデビュー戦とは思えない技術と気迫でダースを圧倒。1R序盤から右フックでダースをダウン気味に吹き飛ばし、グラウンドになってもパウンドで積極的に攻める。2、3Rも優位に試合を運んだが、3Rにはスタミナ切れ。インサイドガードで膠着し、残り30秒でブレイクがかかると、終了間際にダースの右ハイをもらってしまう。最後はパンチラッシュを浴び、逆転負けとなってしまった。慣れないルールでスタミナ配分ができず、終盤に集中力とスタミナを切らしてしまったのが敗因だが、三浦の強さは十分に伝わる試合だった。次戦が楽しみだ。

第4試合 ネオブラッド・トーナメント・ライト級 準決勝 5分2R
○大場裕司(P'sLAB東京)
×山田崇太郎(TEAM JUNKY)
判定3-0 (松宮20-19/廣戸20-19/岡本20-18)

第3試合 ネオブラッド・トーナメント・ライト級 準決勝 5分2R
×宮田卓郎(名古屋ブラジリアン柔術クラブ)
○NUKINPO!(P'sLAB東京)
3R 判定0-3 (松宮9-10/廣戸9-10/岡本9-10) ※マストシステム
2R 判定1-1 (松宮20-19/廣戸19-19/岡本19-20)

第2試合 ネオブラッド・トーナメント・フェザー級 準決勝 5分2R
×田上洋平(HYBRID WRESTLING武∞限)
○山本 篤(KILLER BEE)
判定3-0 (岡本18-20/廣戸18-20/梅木18-20)

第1試合 ネオブラッド・トーナメント・フェザー級準決勝 5分2R
○藤本直治(パンクラス稲垣組)
×出見世雅之(和術慧舟會GODS)
判定2-0 (岡本20-19/廣戸20-19/梅木20-20)


【NIGHT TIME】 観衆:2,200人(満員)

メインイベント vsチーム・クエスト大将戦 ミドル級 5分3R
○三崎和雄(パンクラスGRABAKA/3位/2001年ネオブラ優勝)
×エド・ハーマン(アメリカ/チーム・クエスト)
2R 3'31" 肩固め


 1R、三崎のローキックを抱えてハーマンがテイクダウンし上に。肘打ち気味のパウンドで、三崎の右目の下を腫らす。だが三崎も下から腕十字を狙うなど応戦。1Rは五分のまま終了する。
 片目の視界のふさがった三崎だったが、右のパンチを数発当て、タックルで初テイクダウンに成功。少し攻めあぐねたが、一旦立ち上がってアリ猪木状態にすると、再び上に乗ってハーフガードに。さらにサイド、マウントと移行。ハーマンが肩を上げてもがくと、頭の下に腕をスルリと忍び込ませて肩固めへ。サイドポジションに戻して一気に絞り上げ、見事一本勝ちをおさめた。
◆三崎「1R意気込み過ぎて、練習してきたことが出せなかったです。相手のリーチが予想以上に長くて、リズムがつかめませんでした。相手の上からのパンチも肘まで入っていましたね。(アルメイダが返上したミドル級ベルトを目指す?)今は考えていません。アルメイダにリベンジしたかったので。ベルトが欲しいというのは無いですね」

セミファイナル vsチーム・クエスト中堅戦 ライトヘビー級 5分3R
○山宮恵一郎(パンクラスGRABAKA/8位/1997年ネオブラ優勝)
×チェール・シェノン(アメリカ/チーム・クエスト)
判定2-0 (梅木29-28/松宮29-27/廣戸29-29)
※3Rシェノンにロープつかみによりイエローカード減点1


 1R、シェノンのマウントパンチを浴びてしまう山宮。しかりブリッジで脱出すると、立ち上がり際にはGRABAKAらしくサッカーボールキックも放ってみせる。2Rにはコーナーに押し込み、郷野ばりの肩パンチを出す場面も。攻めきれなかったものの、2Rだけで元レスリング北米選手権優勝者のシェノンを2度タックルでテイクダウンしており、自分の得意部分にGRABAKAの技術をうまくミックスしている感がある。3R、シェノンはこの試合2度目のローブローを放ち減点1。終盤は山宮がストレートパンチの連打で優勢のまま試合終了。減点にも救われ、山宮が接戦を制した。
◆山宮「自分の気持ちの弱さもあって、練習してきたことの半分も出せませんでした。反省材料は多いけど、結果的に勝てたので一歩前進できたと思います」

第5試合 vsチーム・クエスト先鋒戦 ウェルター級 5分3R
×伊藤崇文(パンクラスism/2位/1995年ネオブラ優勝)
○ヒース・シムズ(アメリカ/チーム・クエスト/8位)
1R 3'35" TKO (レフェリーストップ:右ストレート後のグラウンドパンチ)


 サウスポーの体勢から細かく動いてローを狙う伊藤に対し、シムズは接近戦になると何度も右のパンチを当て優位に。クエストお得意のクリンチアッパーを繰り出す場面も。最後は組み付いた伊藤を押しつぶし、伊藤の起き上がり際にコーナーに追い詰め、右ストレート一撃。倒れた伊藤にさらにパンチを落としたところでレフェリーが試合をストップした。伊藤はリング上で顔をクシャクシャにして涙を流し、四方にお辞儀をしてリングを後にした。

第4試合 ネオブラッド・トーナメント・ライト級 決勝 5分2R
○大場裕司(P'sLAB東京)
×NUKINPO!(P'sLAB東京)
1R 2'35" KO (タックルのカウンターの膝蹴り)
※大場が優勝。ネオブラMVPを獲得


 最初のNUKINPO!のタックルには倒された大場だったが、膠着ブレイクがかかると、再びタックルで飛び込んできたNUKINPO!に見事カウンターの膝をクリーンヒットさせ、KO勝ちで優勝をもぎ取った。NUKINPO!はしばらく立ちああがれず。同門対決とは思えない、壮絶な決着だった。
 37歳の大場は一回戦終了後、体力消耗が激しかったのか、セコンドの背中に担がれて舞台裏から控室に戻っていた。だが夜の部では集中力の高さを発揮し、チャンスをものに。熟年ネオブラッド王者の今後の活躍が楽しみだ。

第3試合 ネオブラッド・トーナメント・フェザー級 決勝 5分2R
×藤本直治(パンクラス稲垣組)
○山本 篤(KILLER BEE)
判定0-3 (廣戸18-20/松宮17-20/岡本19-20)
※山本が優勝


 山本が準決勝同様、持ち前のレスリング力で相手を圧倒。1R終盤にはマウントパンチの連打でKO寸前まで追い込む。2Rもジャーマンスープレックスで藤本を投げ飛ばすなど主導権をキープし、余裕の優勝を果たした。
 試合後には昨年覇者で藤本の同僚・前田吉朗との対戦権がパンクラスより与えられた。もし実現すれば好勝負確実だ。

第2試合 ウェルター級 5分2R
△門馬秀貴(A-3)
△野沢洋之(STAND)
判定0-0 (廣戸20-20/大薮20-20/梅木20-20)

 野沢がギロチン、門馬がハーフガードからのアームロックでチャンスを得るが、差がつかずドロー。

第1試合 スーパーヘビー級 5分2R
○太子郎(パンクラスMEGATON)
×米屋利展(AACC)
1R 0'15" KO (スタンドパンチ連打)

 開始早々、太子郎が右フックを当てると、あとは相撲の張り手のラッシュで米屋をノックアウト。デビュー戦を白星で飾った。

パンクラスゲート フェザー級 5分2R
△植村“ジャック”雄介
△畑 大樹(TEAM KIBA)
時間切れ

Last Update : 08/15

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