BoutReview
記事検索 by google
news

(レポ&写真) [パンクラス] 8.31 両国:近藤×バーネット、10周年飾る激戦に

パンクラス "Sammy Presents PANCRASE 2003 HYBRID TOUR 旗揚げ10周年記念大会"
2003年8月31日(日) 東京・両国国技館  観衆:10500人(満員)

 ◆日本テレビで9/4(木) 25:33-26:26放送 / スカパー!PPVで9/14まで連日再放送中

  レポート:石動龍(近藤戦)、BOX-T(菊田戦・三崎戦)、
       古谷わか(鈴木戦・佐々木戦)、井原芳徳(國奥戦・渋谷戦)
  写真:井田英登  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・パンクラススレッド]

メインイベント 第10代無差別級王者決定戦 5分3R
×近藤有己(パンクラスism/1位)
○ジョシュ・バーネット(米国/新日本プロレスリング/7位)
3R 3'26" チョークスリーパー
※バーネットが新王者に


 パンクラス10周年記念大会のメインイベントは近藤有己と元UFCヘビー級王者にして新日本プロレスからの刺客であるジョシュ・バーネットによる無差別級タイトルマッチ。体重差20キロ以上という体格のハンデがあり、かつてUFCライトヘビー級タイトルマッチでティト・オーティスに敗れていることもあって、近藤の絶対的不利が予想される。近藤は奇跡を起こし、ベルトの流出を防ぐことはできるか。

 ゴングと同時に近藤が前に出て、左ローを放つ。ジョシュは組み付いてコーナーに押し込み、ボディにヒザを打ち込んでいく。近藤はヒザや肩パンチで反撃し、もらったジョシュはニヤリと笑って近藤の耳元で何かをささやく。近藤は表情を変えずにジョシュを突き放し、パンチの打ち合いを挑む。ジョシュもパンチを返すが、近藤は全てかわして左フックや右ストレートをジョシュの顔面に叩き込む。ジョシュが再び距離を詰め、近藤をコーナーに押し付けたところで1R終了。

 2Rも打撃戦を挑む近藤だが、ジョシュは片足タックルから近藤を押し込み、サバ折り気味に強引にテイクダウン。さらに体格差を利用してあっさり近藤の足を越え、マウントポジションを奪取。上からパンチを連打する。絶体絶命のピンチに陥った近藤だが、落ち着いてパンチをガード。タイミングを計ってのブリッジでジョシュを浮かし、もぐって立ち上がることに成功する。すぐさまパンチで突進する近藤だが、組み付かれて再び倒され、マウントを奪われてしまう。ジョシュはパンチを落としていくが近藤も守り、2R終了。

 3R、やはり打撃で前に出る近藤だが、ジョシュは応じずに組み付いて近藤を引き倒す。ハーフガードのポジションから近藤は立ち上がるが、後ろについたジョシュはジャーマンスープレックスで投げ飛ばす。ジョシュは肩から落ちた近藤を続けてジャーマンで投げ、今度は頭をマットに叩きつける。

 大きなダメージを受けたかに見えた近藤だが、平然と立ってパンチを放つ。ジョシュもタックルを仕掛け、近藤の足を引いてテイクダウン。ジョシュは下から足関節を狙う近藤をパスしてマウントを奪うと、パンチを連打する。さらに近藤が嫌がって後ろを向いたところで首に手をかけ、スリーパーホールドでタップを奪った。

 両者の死闘は「プロレス」と「(試合としての)真剣勝負」の相反する看板を掲げたパンクラスの、10年間の集大成と呼ぶべきものではないだろうか。大会前はプロレス的な舌戦で期待感をあおり、リング上ではジョシュのジャーマンや体格差をもろともせず真っ向勝負を挑んだ近藤など、「魅せる」真剣勝負を展開する。「記念興行をお祭りにするつもりは無く、10年間の区切りとしてのイベントを見せたかった」と試合後に尾崎允実パンクラス社長が語ったとおり、「総合格闘技」ではなく「パンクラス」としての価値観が確立された日として、「10周年記念興行」はファンの間に記憶されていくだろう。

 ベルトを巻き涙を流したジョシュは、リングを降りるとPPV放送席で解説をしていたヘビー級王者の高橋義生に歩み寄り握手。近くにいた尾崎社長は決断を保留したが、バーネットの初防衛戦の相手が高橋となるのは確実だろう。舞台は10.13アルティメットクラッシュかパンクラス11.30両国大会が予想される。ジョシュは近藤戦で「お前はもう死んでいる」の決めゼリフを現実のものとした。だがその瞬間から、10周年以降のパンクラスの歴史は、もう始まっている。



セミファイナル ライトヘビー級 5分3R
○菊田早苗(パンクラスGRABAKA/王者)
×エルヴィス・シノシック(オーストラリア/マチャド・ブラジリアン柔術)
判定3-0 (30-26,30-27,30-27)


 ゴング早々、いきなりシノシックが大きなミドルを放つも、菊田はそれを冷静にキャッチしテイクダウン。シノシックは下から腕十字に行くが、逆に菊田にサイドポジションをとられる。菊田は大股でエルビスをまたいでマウントを取り、肩固めに入る。シノシックはなんとか一旦外すが、再び肩固めに捕まる。完璧に極まったかに見えた途端、シノシックがブリッジで反転し脱出。シノシックは下から菊田の顔面を蹴り上げると、菊田が「打って来い」とばかりに両手を左右に広げた所で1R終了。
 2R。シノシックは右拳を回すフェイントから、右ストレートをヒットさせる。菊田は後ろに倒れ込み、猪木アリ状態へ。しかし、間合いを詰めて来たシノシックの両足首を、後ろ手にそれぞれ両手で掴み、自分の両足でシノシックの腰を押して引き倒すと、上を取り返す。そして、菊田がサイドに回ろうとすると、シノシックはそれに合わせてカメの体勢になり、素早く前転し膝十字を見せる。菊田はそれを外し、ハーフガードの状態からストレートアームバー、アームロックを仕掛ける。なんとか脱出したシノシックに、菊田が上からパンチを落とした所でゴング。
 3Rも1R同様、またもやシノシックが大きなミドルキックを放つが、今度は菊田はそれをかい潜り、またもやアッサリとテイクダウン。菊田はインサイドガードから、中腰の状態でパンチを淡々と落としていく。下から殴ってくるシノシックの左腕を取り、菊田はアームロックで絞り上げる。しかしシノシックも力点を巧みにずらし極めさせない。菊田はマウントに移行するも決め手に欠き、観客は「決めてくれ〜!」と悲痛な叫びを上げるが無情のゴング。菊田は「クソッ!」と言いながらマウスピースをマットに叩きつけた。大会終了後になってもイライラした様子で廊下を歩いていた菊田が印象的だった。

◆菊田「GRABAKAで僕が一番駄目」
「シノシックはあきらめないし強かった。逃げ方やディフェンスが完璧で、やっぱりテクニシャンで甘くなかった。腕を極められそうになってるのに平気な顔をしてたのでムキになってしまった。ペースを切り替えるべきだった。上を取られた時、データがないので、どうしようかとヒヤッとしたけど、殴りに来てくれたので足をすくう事が出来た。
(GRABAKA勢について?) 僕が一番駄目。郷野の試合はともかく、他の選手は頑張った。一本じゃないと難しい。 折角、お客さんが来てくれたのに・・・。3日ぐらい休まないと、今は何も出てきません。とにかく一本で勝ちたかった。」



第6試合 ミドル級 5分3R
×國奥麒樹真(パンクラスism/2位)
○クラウスレイ・グレイシー(ブラジル/ハウフ・グレイシー柔術アカデミー)
判定0-3 (28-30,29-30,28-30)


 國奥の右フックに合わせ、タックルでテイクダウンを狙うクラウスレイ。3度目で倒す事に成功すると、一旦立ち上がって顔面の踏み付けを狙うなど、総合格闘技初戦とは思えない適応力を発揮する。
 2Rはパンチを中心とした打撃戦に。國奥の得意分野だが、クラウスレイもムエタイ選手のステファニー夫人直伝のテクニックで応戦。左フックで國奥を一瞬ふらつかせると、隙を逃さず組み倒して一気にマウントポジションを奪ってみせる。國奥はブリッジで脱出を試みるも、クラウスレイはマウントをキープする。
 3R、ばん回を狙う國奥はカウンターの右ストレートやショートアッパーを当てるが、クラウスレイはなかなかひるまない。ここでクラウスレイがマウスピースを吐き出したためブレイク。装着し直しリスタートとなると、一気に試合が動く。
 2分頃、クラウスレイの右ストレートが、國奥の右の眉を切り裂き大流血。國奥ピンチ。だがドクターチェックで傷が浅いと判断され、試合はなんとか再開する。後のない國奥は、右目を血でふさがれながらも積極果敢に攻め、パンチで一発逆転を狙いに行く。國奥の傷口を深めたいクラウスレイもパンチで応戦。互いに一歩も引かない打撃戦となり、会場は大いに盛り上がる。國奥は再度ドクターチェックを受けた後も、血で視界をふさがれるが、一歩も引かないまま打撃戦を繰り広げ試合終了。
 ジャッジは文句無しでクラウスレイを評価。結果は黒星だが、國奥にとって大きな経験となる試合だったことは間違いない。中学校卒業後、パンクラスの前身の藤原組時代から、船木や鈴木らと行動を共にしてきた國奥。その10年の間の成長ぶりを感じさせる好勝負だった。クラウスレイもグレイシーの血をひく男らしく、隙を逃さない勝負強さを発揮した。ミドル級王者・ネイサン・マーコートとのテクニック戦も見てみたい。



※休憩明けの第6試合の前、パンクラスの元エース、船木誠勝パンクラス顧問がリングイン。「これから出る近藤、菊田、國奥には、PRIDE、世界もっとどんどん出て行って欲しいと思います。これからはもっとシビアな目でパンクラスを見て下さい。悪いと思ったら悪い、良いと思ったら良い、素直にぶつけてください。これからのパンクラスのためになると思います」と挨拶した。



第5試合 キャッチレスリング 5分2R
○鈴木みのる(パンクラスMISSION)
×飯塚高史(新日本プロレスリング)
判定3-0 (20-19,20-19,20-19)


 パンクラスを名実ともに牽引してきた鈴木みのる。自身のプロレスデビュー戦の相手である飯塚高史をパンクラスマットで迎え撃つ。中西、成瀬、田中、ジョシュ、新日本の面々を従えてリングインする飯塚、黒のスパッツにベアフットだ。一方、鈴木はタオルをかぶりガウンにパンクラスのロゴを背負ってリングイン。会場は沸く。試合前、会場中の“気”をつかむように両手を大きく天に伸ばす姿が印象的だ。
 1R。手の取り合い。鈴木は巧みなフェイントで飯塚を翻弄。額、顔へとタッチを散らし、なかなか手をとらせない。3分過ぎ、手四つから鈴木が飯塚の右手をとり、飯塚は左腕を鈴木の首にまわし押し合い。ほどけてはこのポジションの繰り返しでゴング。
 2R、組み手相撲から足をかけマウントを奪った鈴木、鮮やかにサイドへ移行するも一度離れ、猪木・アリ状態へ。飯塚の足にヒザを押し付けプレッシャーをかけ、絶妙のタイミングで足をとり鮮やかにアキレスを固めてみせる。ヒートする会場。しかしロープ際だったためブレイク。再び上のポジションを獲った鈴木が、腹固めを狙う中でゴングが鳴り響き判定へ。
 3-0で鈴木の勝利。試合後マイクをとり解説席の獣神サンダーライガーを挑発。鈴木みのるここにありを10周年のリングでアピールした。観客にはこのキャッチの試合がどのように映っただろうか? 「昔を思い出した」と回顧的になりながらも「このままでは終われない。白黒はっきりつけたい」と飯塚の心に火をつけた試合。パンクラス、そしてプロレスのルーツといえるキャッチレスリングの緊張感と楽しみ、新しい試みを取り入れながらより広くアピールするのもまた鈴木の任務=MISSIONといえよう。

◆鈴木「自分のプロレスを証明するために戦い続ける」
「(試合を終えて)1R目は少し様子を見ようと。どういうタイプかわからなかったので。2Rでのアキレス腱固めはロープ際でなければあそこまで反転していたので極まっていたと思う。(飯塚は)思っていた以上に、体力、バランス、力もあった。解説席のライガーの声が途中で耳に聞こえて来て…。茶化すことしかできなくて何も知らないようだったので。自分は飯塚よりも短いタイムで負けたくせに…。
 おかげさまでパンクラス、10年経ちました。24,5歳の我ままな若造の集団が、いまや世界中で認知されるようになった。この10年間、皆でここまで頑張ってきて良かったと思う。
(新日でのデビュー戦の相手である飯塚選手と戦って感慨深いものは?)やっぱり一本とりたかった。勝つためにリングに上がっているから。僕らはそのためにリングに上がって、にくくもない相手と睨み合って相手を傷つけてのし上がって行くためにやっているのだから。だから勝ちたかった。
(飯塚選手と新日のリングでプロレス決着は?)今度こそ『まいった』と言わせます。飯塚選手だけではなく敵はいっぱいいるので。坂口さんのせいで自分のアピールも途中でひっくり返されてしまったけれど(新日の会長。現役復帰をアピールした)。どんどん戦って自分達が勝つ、それが自分達が生きている証ですから。ライガー、いつでもぶち壊してやる。
(今、一番戦いたい相手は?)ライオンのマークつけてるやつ全員です。前に出てこない、後ろにいる奴らもぶちのめしてやりたいです。
(新日本はどういう相手?)敵です。自分のプロレスが正しい、自分が何のために生きているのか、自分のしたいプロレスはこうなんだ、と証明するために戦い続ける、そのための敵です。これからもパンクラスのことをよろしくお願いします。」

◆飯塚「パンクラスのリングで、昔をちょっと思い出しました」
「(パンクラスのリングに上がった感想は?)緊張感がありました。そして昔をちょっと思い出しました。(リング上で交わした言葉は?)またやろうと。オレもこのままでは終わらせたくないし、またアイツとやって勝ちたいし。向こうも納得したと思う。(鈴木選手は新日本のマットで白黒つけたいと言っていますが?)はい、いいですよ。自分はどこのマットでも構わないです。(1R終わって感じたことは?)膠着してたんで。2R目かなと。
(デビュー戦の相手だったが?)こうしてまた一緒に戦うということは考えられなかった、とくにパンクラスのリングで。それが実現できたというのが感慨深い気がした。ただ、試合は勝つことが一番、それができなかったのは悔しいし、次は勝ちたい。いい経験になった。」



第4試合 ライトヘビー級 5分3R
○郷野聡寛(パンクラスGRABAKA/3位)
×ニルソン・デ・カストロ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー/4位)
1R 0'29" 反則 (ローブロー)


 開始早々、カストロの左ローが郷野の股間に直撃。郷野は「あー、うー」とうめき声をあげるほどダメージが甚大で、過換気症候群と診断されドクターストップがかかった。郷野は担架にかつがれ病院に直行した。



第3試合 無差別級 5分3R
○佐々木有生(パンクラスGRABAKA/ライトヘビー級7位)
×ヒース・シムズ(米国/チーム・クエスト)
判定3-0 (30-27,30-28,30-27)


「ケガをしていても練習ができていなくても、やる(戦う)という自分の意志・覚悟を試してみたかった。」
 立ってよし寝てよし、GRABAKA屈指のオールダウンダー、佐々木の今回の試合は自己との戦いとなった。対戦相手は突然の変更、チーム・クエストから送り込まれたアマレスエリートのヒース・シムズ。1R、様子見に徹したようにスタンドでの見合いに終始する両者。佐々木が得意のハイ、ミドルを散らすも空を切る。シムズも佐々木の蹴りに合わせてパンチを繰り出すが、お互い決定打にかけるままゴング。
 2R、佐々木の放つ左フックにシムズはバランスを崩す。シムズをすかさずガブる佐々木。下から粘り腰で佐々木の左腿をつかんで離さないシムズ。いよいよグラウンドへ移行か?と思いきやブレイク。再びスタンドでの展開へ。
 残り時間わずかなところで、コーナーでの差し合いからで膝、ミドルでシムズのバランスを崩しテイクダウン。マウントポジションに持ち込んだ佐々木が上からパンチの雨を降らせる。カメになり嫌がるシムズを逃がさずにサイドへ移行し、パンチのラッシュの中でゴング。会場からはため息がもれる。
 3R、ダメージが大きくフラフラになりながらも、ついぞやタックルでテイクダウンを奪うシムズだったが、佐々木のガードに攻めあぐね猪木・アリ状態になりブレイク。再びスタンドから、両者ハイ、ミドルと散らすもタイムアップ。打撃、ポジションで終始優位にたった佐々木が3-0で勝利をもぎとった。不完全燃焼の感は否めないが、歩くのもままならないほどボロボロの身体でリングに上がり、「やる(戦う)という自分の意志・覚悟」でもぎとった白星。明日からの佐々木にとって大きな意味合いを持つに違いない。



第2試合 ミドル級 5分3R
×三崎和雄(パンクラスGRABAKA/3位)
○ヒカルド・アルメイダ(米国/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
判定0-2 (29-30,30-30,29-30)


 三崎は鬼気迫る雰囲気を発散し、ヘビーなダンスナンバーに合わせて左右にステップを踏みながら入場。そのムードで観客の興奮も高まる。
 三崎はジャブ、アルメイダはローでけん制しあう。三崎はローをキャッチしてテイクダウン。猪木アリ状態へ。足を取らせないようにグルグルと回すアルメイダに手を焼いた三崎は、足蹴り、遠い間合いからの顔面パンチ2発、更に顔面キック等、的確な打撃を浴びせる。
 アルメイダも負けじと、下から足の裏で三崎の顔面に蹴りを入れ素早く立ち上がる。三崎はすぐに胴タックルでコーナーへ押し込み膝蹴りを見せる。しかしバランスを崩し両者が倒れ込んだところで、アルメイダがすかさずバックを取る。さあこれから、という所でゴングが鳴る。
 2Rも1R開始直後同様、三崎はジャブ、アルメイダはローでけん制しあう。アルメイダが胴タックルを仕掛け、逆に三崎が持ち上げバスター気味にテイクダウン。更に小さく持ち上げてアルメイダをリングに叩きつける。アルメイダが下から脱出。スタンドに戻ると、三崎の鋭いパンチが顔面にヒット。しかし、アルメイダはそのままタックルに行き、テイクダウン。下になった三崎がパンチを入れると、アルメイダがキレたようにパンチの雨を降らせ
始めた所で2R終了。
 3R。開始のゴングが鳴る直前、アルメイダは「アッー」と雄叫びを上げ気合を入れる。しかし、開始直後にレフリーがアルメイダのグローブを直す為にタイムストップが掛かり、機先を削がれてしまう。再開後、アルメイダが片足タックルでテイクダウン。そして、インサイドガードの状態のまま、アルメイダは立ち上がり、仁王立ちで三崎を見下ろす。そこから、倒れ込むように、上から両手を組んで鉄槌を落とす。
 しかしその際にもがいた三崎の膝がアルメイダの右眉に当り出血。ドクターチェックが入る。その際もアルメイダは雄叫びを上げ、観客に続行をアピール。ほどなく再開され、アルメイダが上からのパウンド攻撃。それに対し、三崎の足が一瞬三角の体勢に入るも、すぐに外される。「ラスト30セコンド」のコールに促されるように、アルメイダは慌てたように立ち上がり、両手の鉄槌を入れるが、試合終了。両者は健闘を称えあった。
 前半は三崎の、後半はアルメイダの、素早い積極的な攻撃が随所に見られた好勝負であった。

◆アルメイダ「とにかくベルトが欲しい」
「完璧に試合をすることができなかったが、傷も負った不利な状況でも勝利できた事は、格闘家は逆境を乗り越える事が一番大事だと思うので、価値があったと思う。確かに、ケガで試合を止められるのは心配だったが、しかし、私は逆に観客にアピールした。そのお陰で試合が続行できてよかった。自分はピットブル(闘犬)だ。
(今後の目標?) どの階級でもいいので、とにかくベルトが欲しい。菊田と近藤が戦う前に戦いたい。事を早める為には、ネイサン・マーコートの持つミドル級のベルトに挑戦するのもイイかもしれない。
(減量の影響は?)減量によって100%の力は出せなかったが、今後もパンクラスのミドル級で戦う為なら、この体重を保てます。
(メッセージ)今日の勝利をヘンゾ・グレイシーに捧げます。苦しい時は、いつも彼のことを考えて戦っています。そして、日本のファンの皆さん、ありがとうございます。あなた達が私を愛してくれるように、私もあなた達を愛しています。私は、あなた達の為に、何度でも日本で闘います。」

◆三崎「負けは負け」
「アルメイダは自分が満足の行く試合をさせてくれるような選手じゃない。言い訳はしたくない。“三崎魂”を植え付ける事は出来なかったけど、世界的なトップ選手相手に精一杯の試合は出来た。
(判定について?)負けは負け。しっかり練習してまた戦いたい。決定打はもらってないが、下になる時間が長かったので仕方がない。
(足のケガについて)3週間位練習は出来なかった。ケガも実力の内と考えて次は闘う。
 次はライトヘビー級で、もう1度闘いたい。彼には魅力を感じた。ワクワク感で、アッという間に試合が終わった。
(メッセージ)再戦を望みます。自信を持てたら、もう一度闘いたい。負けは許されない。上に行く為、どんな試合もハングリーに喰らい付きたい。」



第1試合 無差別級 5分3R
○渋谷修身(パンクラスism)
×矢野 通(新日本プロレスリング)
2R 2'25" 腕ひしぎ十字固め


 渋谷の左ミドルをもらいながらも、矢野は突進して渋谷をコーナーに押し込み、2分ほどしてテイクダウンに成功。セコンドのエンセンや成瀬らのアドバイスを聞きながら、着実にパンチを落とし続ける。27.8kg軽い渋谷は体格差に押され気味だ。
 2Rも序盤は矢野が渋谷を押し込む展開。だが渋谷は突き放してパンチを連打すると形勢逆転。脇を差してテイクダウンに成功し、ハーフガードからパンチを落とすと、パンクラスファンから掛け声が上がる。対抗戦ムードが高まる。腕絡みを狙うと、矢野は外して下から密着し続けるが、渋谷は落ち着いてマウントを奪取。矢野はブリッジで返そうとするが渋谷はバランスを保ち、最後は定石どおりの腕十字。矢野からタップを奪い、パンクラスファンにとって景気づけとなる一勝をあげた。

Last Update : 09/01

[ Back (前の画面に戻る)]



TOPPAGE | NEWS | REPORT | CALENDAR | REVIEW | XX | EXpress | BBS | POLL | TOP10 | SHOP | STAFF

Copyright(c) 1997-2003 MuscleBrain's. All right reserved
BoutReviewに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はマッスルブレインズに属します。

編集部メールアドレス: ed@boutreview.com