(レポ&写真) [DEEP] 6.25 後楽園:マッハ、元UFC王者に快勝。TAISHO、朝日を昇らせず
DEEP事務局 "DEEP 10th IMPACT in KORAKUEN HALL" 2003年6月25日(水) 東京・後楽園ホール 観衆:1,920人(超満員札止め) [→掲示板・DEEPスレッド]
レポート:井田英登&井原芳徳 写真:井原芳徳 【→大会前のカード紹介記事】
メインイベント 77kg契約 5分3R ○桜井“マッハ”速人(マッハ道場) ×デイブ・メネー(米国/ミネソタ・コンバットアーツ) 2R 2'02" TKO (ドクターストップ:左頬のカット)
胴のあたりがいい具合に絞れた印象のマッハ。メネーもつい10日前に、ミネソタでのエクストリームコンバットなる大会でデニス・リードをわずか50秒で破ったばかり。両者ともに好調での激突だ。 メネーが左フックを打ちながら抱きつき足をかけにいくが、上になったのはマッハ。懸念された腰の調子は悪くない様子だ。しかし粘るメネーは上半身を起こしたマッハに抱きつき、上を取り返す。マッハはクロスガードでボディパンチを打たせるが、メネーは体を起こしてパンチを打ち降ろしてくる。マッハが足のクロスを解くと、メネーは素早くヒールを極めようとするが、これは足を抜かれてしまう。策に溺れた感じで上からのマッハのパンチを浴びたメネー。立っても首相撲からのヒザをもらい、素早い払い腰でテイクダウンされてしまう。試合のペースを握った感のあるマッハは、バックスピンキックに飛びヒザと畳み込んで、再び外掛けでテイクダウンを奪うが、ここでゴング。
そして2R開始早々、マッハが勝負に出る。組んで首相撲に持ち込むと、メネーの顔面に左右のヒザを豪快にヒット。マッハの放った大きな払い腰を潰して、なんとか上をキープしたメネーだが、切れた頬を覆い隠すようにマッハに密着し続け、血でマッハの体を赤く染める。マッハの三角絞めをメネーが外すと、ドクターチェックのため試合が中断。同時に両手を上げて勝利をアピールするマッハ。メネーの頬の傷は、目を動かす筋肉に達しそうなほど深かったようで、マッハのドクターストップ勝ちとなった。
折しもこの日の夕方、8月開幕のPRIDE-GPの記者会見が都内で開かれていたこともあり、ヴァンダレイ・シウバ、ヒカルド・アローナ、チャック・リデルなど、客席には世界のトップ選手が多数座っており、UFCのダナ・ホワイト代表も後楽園を訪れた。UFCへの再出撃、あるいは噂のPRIDE軽量級大会への参戦アピールかと思われたが、肩を抱きあっていた師匠の木口宣昭氏が、いきなり賛美歌の「アメージング・グレース」を歌い出してしまう。苦笑いで合唱し始めたマッハは、フルコーラス歌いきると「最後までありがとうございました」と軽く一言を残して、リングを降りた。 試合後のほのぼのムードが象徴するように、マッハは試合が「楽しかった」と振り返る。「テニスとか爽やかなスポーツの後みたいな気分。UFCの強豪と試合ができると思って、昨日うれしくて一睡もできなかった。トレーナーには心配すると思って言わなかったけど」と無邪気に笑う。肝心のPRIDE軽量級については「体重次第。リミットは83kgぐらい?そこまで増やせない」と語り、UFCについても「別に」と素っ気ない返事。だが「オファーがあればどこでも考える。これからも無欲でいきますんで」と語っており、今後もマッハは我が道を行くことになりそうだ。次はDEEP7.13大阪大会のグラップリングマッチで須田匡昇とタッグを組むことが決まった。
セミファイナル 65kg契約 5分3R ×朝日 昇(東京イエローマンズ) ○TAISHO(Team BARBOSA JAPAN) 3R 0'42" TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
「沈んだ夕日は昇らない」と豪語、ベテランシューターを挑発したTAISHOだが、その言葉に恥じないキレのあるパンチを見せ、ビッグマウスだけではないことを証明する。一方の朝日はパンチをかわしてタックルを狙うが、TAISHOに下からのパンチで迎撃され、タイミングを読まれ立たれてしまう。 朝日は試合後「体調は良かったし、練習でもよく動けてたけど、試合やったら思ったように動かないんですよ。組んでも力が入らないし、リズムが悪い。『え?』という感じのままずっと戦ってました」と語った。2年9ヶ月のブランクの影響はやはり大きかったようで、その後もタックルのワンパターンを繰り返すのみ。TAISHOは朝日を破ったペケーニョを彷佛とさせる飛び付きのフロントチョークや、柔術家らしく下からの腕十字などで果敢に攻め、試合の主導権を握る。
勝負が動いたのは最終ラウンドのゴング直後。距離の見合いから、いきなりの飛びヒザ蹴りをヒットさせたTAISHOは、タックルでダメージをごまかそうとした朝日を潰し、上からパンチを乱打する。朝日は流血しグロッキー状態となり、レフェリーは試合をストップした。
TAISHOにとっては大金星。白く輝く明けの明星が、昔日の陽の光をかき消した。大会後佐伯代表は、11月開幕のZSTのライト級トーナメントにTAISHOをDEEP代表として送り込むと宣言。今後、日本の総合のライト級戦線の要注意人物となることは間違いない。 一方の朝日は「効いてない」とつぶやき続け、なかなかリングを降りなかったが、試合後は「今やったら誰にでも負けますね、ハハ。修斗のライト級のみんな、ごめんなさい」と完敗を認めた。
第4試合 90kg契約 5分3R △MAX宮沢(荒武者総合格闘術) △鬼木貴典(チームROKEN) 判定1-0
矢野卓見のように背中を向け半身で構えた鬼木。表情には薄ら笑いをうかべ、少し相手をおちょくる風だが、素早いバックソバットを見せるあたり油断ならない。しかしベテランの宮沢は構う風もなく、的確なローと早い左のストレートを打ち込んでいく。鬼木は打ち気をそらすためか、小走りにリングを駆けて、さらに宮沢をおちょくるが、ラウンドが進むに連れて宮沢のプレッシャーが強くなる。打ち合わざるを得なくなった鬼木は、一転早いアッパーやクロスでのストレートなど、イロモノに終わらない打撃の実力を見せる。 最終ラウンドまで緊迫した打撃戦を演じた両者だが、集中力、パンチの的確さは宮沢が上回った印象。3R、宮沢が横投げを放った時に、鬼木が故意にリング外に逃亡するかのような動きを見せたため、鬼木にイエローカードも出された。トータルの負け状況を意識してか、ラウンド終了直前にビクトル投げ風に下から引き込もうとした鬼木だったが、押さえ込まれてゴング。 試合内容はともかく、終始、余裕を見せようとして相手をからかうような態度を見せた鬼木に対して、宮沢は試合後の握手も拒否。3月のアブダビ予選で生まれた二人の因縁は、一層深まってしまった。
第3試合 95kg契約 5分3R ○入江秀忠(キングダム・エルガイツ) ×藤沼弘秀(荒武者総合格闘術) 判定3-0
入江はコーナーに押し込んでテイクダウン狙いの一本槍。ヒネり倒しての投げ、外掛けといったテイクダウンの技術でも、パス、マウント、バックといったポジショニングでも、圧倒的に優位を見せる。実は藤沼は3月大会の前に痛めた膝を再び悪化させ、ドクターストップ寸前だったというが、前回入江戦を一度キャンセルしたため、怪我をおしてでも出場せざるをえなかった。10キロ近い体重差も影響し、試合は防戦一方。それでも腕十字、三角絞めと攻め込んでくる入江の猛攻を凌ぎきったのは、ホームグラウンドで遅れを取るわけには行かないという藤沼の意地だったのだろう。
2R、藤沼はコーナーに押し込まれた際に、入江の金的に膝を入れる反則を犯す。この一発にはカードがでなかったものの、3Rにも同様の金的がありイエローカードが出される。そこまではスタミナ十分の様子だった入江が、苦しそうな表情を見せる。この試合最初の藤沼のチャンスとなるが、打ち合いでも入江は声をあげながらパンチ、膝で迎撃。左フックでコーナーに押し込んで、外掛けでテイクダウンすると、バックマウントから気合を込めてパンチを落とし続ける。体の下でもがき続ける藤沼だが、試合終了までパンチを浴び続けて終わった。
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