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(レポ&写真) [猪木祭] 12.31 さいたま:ミルコ、グラウンドヒザ炸裂。サップ、まさかのサブミッション葬

TBS "INOKI BOM-BA-YE 2002" 
2002年12月31日(火)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
観衆・35674人(満員)

  レポート:井田英登&井原芳徳  写真:井原芳徳

  【→大会前のカード紹介&会見記事】
  【→2001年の猪木祭レポ&写真】

  【掲示板】[→PRIDE&猪木祭スレ] [→K-1スレ]


[写真] 全試合終了後の9時10分過ぎにリングに上がったアントニオ猪木・大会エグゼグティブプロデューサーは「常識はずれの2時間40分早い年越し」を宣言。いつもの「1、2、3、ダー」で大会を締めくくった。

第8試合 総合ルール 5分3R
×高山善廣(日本/フリー)
○ボブ・サップ(米国/チーム・ビースト)
1R 2'16" 腕ひしぎ十字固め

 試合開始のゴングを待つ間、アメフト風の片手を地面に着いた走り出しのポーズを見せて、高山を威嚇するサップ。ゴングと同時に飛びだすと、予想どおり有無を言わさずパンチをぶち込んでいく。その勢いのままにコーナーに押し込まれた高山だが、なんとか予告どおり首相撲からのヒザ蹴りを見舞う。しかし、サップはかまわず押し倒し、上からパンチを落としていく。ガードになった高山はすでに鼻血を流している。サップは最初グラウンドギロチンで高山の顎を押さえ込むと、腕絡みを取りに行く動作をみせる。だが、高山が腕をクラッチすると、今度は強烈な鉄槌を見舞う。こうなると高山にはあらがう術もない。横殴りの右、大きく振りかぶっての鉄槌と、嵐のような猛攻が続く。虫の息となった高山のガードを振りほどくと、サイドに出たサップは、なんとここで腕ひしぎを敢行。普段の練習ではサブミッションのトレーニングに余念のないサップであり、その強力なパワーで腕を伸ばされてはたまらない。お約束のように顔面を破壊された高山は、虚しくタップするしかなかった。

 大会後記者会見に応じたサップは、「殴り合うつもりはなく、サブミッションで戦略を組み立てていた」とコメント。師匠のマット・ヒュームの立てた戦略が見事ハマったことを明かした。
 一方の高山は「サップは思っていた通り(プロレス大賞の)MVPだった。やっぱりインテリジェント・モンスターって感じですね」と完敗を認めた。高山は右まぶたがふさがった状態のため、会見後病院に直行した。最悪の場合、1月4日の新日本プロレス東京ドーム大会欠場という事態もありうる。

◆サップ「(サブミッションは狙っていた?)最初から狙っていた。高山はフライング・ビーストは許してくれなかったので、ランニング・ビーストとして、最初から完全に狙っていた。(高山の印象は?)大きくてパワフルな選手だった。パンチが当たった頭のところと唇のところにあざが残っている。膝はまあまあ良かった。ただ我々は、練習したことを試合で発揮しようという計画だったので、高山選手の狙いと我々の狙いはちょっと違っていたと思う。(殴り合おうとは思わなかった?)テイクダウンしてからサブミッションすることに照準をあわせていた。(開始前のタックルの構えは?)ときどき自分の紹介画面を見てみると、必ずNFLの選手だったということが強調されているので、2003年がもうすぐ始まるので、NFLの技を使って新しい年を迎えようと思った。
(コーチのマット・ヒュームから見て今日の試合はどうだった?)サップは今日、戦略どおりに動いた。準備期間はあまりなかったが絞りこんだ戦略を立てて、それにのっとって練習をした。今回はこの技で決まったが、サップは学ぶのが非常に速いので、将来は寝技だけでなく、いろいろな分野においてより上達していく姿が見られると思う。
(今年1年大ブレイクしたが、どんな年だった?)2002年は人気が出たということだけでなく、自分が尊敬した選手や自分を尊敬してくれる選手と試合できたということを非常に誇りに思っている。なので、2002年を振り返ってみて、非常に多くのことを学んだ1年だったし、2003年はますます多くのことを学んでいきたい。」

◆高山「思ったとおり(サップはプロレス大賞)MVPだなと。印象は前からあるので、今日どうこうというのはない。攻撃のパターンが違った。(具体的には?)最初ガーンとぶつかったが、あれ、彼が初めてやることでしょ?実はうちのチームは僕があれをカマしてサップを止めてからいろいろなことをやってやろうと思っていたが、サップも同じことを考えていた。アメフトの手をついたセットの構え。『あちゃーっ』と思ったが、もうやるっきゃねえよと思って(笑)。
 今回、あまり殴りあわないで、膝蹴りでいこうと。(セコンドの宮戸氏らから)『今回はセコンドの指示を聞いて』ってすごく言われて。3〜4回殴り合ったとき、怒られると思った(笑)(フィニッシュにサブミッションが来ることは予想していた?)最初、下になったときもクロスガードをしっかりして、最初のパンチは結構さばいていたので『そのうち疲れてくれないかなー』と思った。こっちが下から取れるかなって思ったが、一発、目に突き刺さるようなパンチをもらって、瞬間に手を渡してしまった。それがすごく悔しい。僕が横を向いてしまったので、力というよりはタイミングだと思う。彼は決して強引にはやっていなかった。バーリ・トゥードのプロセスをきちんと研究したんじゃないですか。上から目を潰して『ウッ』となったところで手を持っていく。マット・ヒュームぐらいの人ならそういうことを教えているのではないかと。インテリジェンス・モンスターだと思う。
(来年もプロレスとヴァーリトゥードの両方で?)それは変わらないと思う。(1月4日に試合があるが、ダメージは?)今、片目がふさがって開かない状態。他は何ともなくてピンピンしている。目が開いて大丈夫そうならぜひやりたいが、ちょっとわからない。(大晦日のメインになった感想は?)試合が終わるまでは気持ちよかった。医者へはこの後行きます。今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします。よいお年を。」

第7試合 総合ルール 5分3R
○吉田秀彦(日本/吉田道場)
×佐竹雅昭(日本/怪獣王国)
1R 0'50" フロントネックロック

 総合引退試合となる佐竹に対し、アスリート志向の吉田は一切気にかけた様子もない。胴着の吉田に対して、佐竹はパンツ姿。まずバックの後蹴りをみせた佐竹に対して、吉田もローと左ハイを振ってみせる。

 スタンド勝負を望む佐竹は左フックから右ローに繋ぐ。そのモーションを待っていたかのようにタックルをしかける吉田を、腰を落としてがっちり受け止めた佐竹。しかしテイクダウンされまいという意識が強すぎた為だろう。逆に吉田にフロントネックロックにとられて、ぺたんと尻を落としてしまう。佐竹の左手が入っているためにキャッチされたようには見えなかったが、胴着があるため頸(けい)動脈を締めつけるのは容易だったようだ。そのまま押しつぶした吉田が上に乗ると、佐竹はたまらずタップした。
 引退試合を飾れなかった佐竹だが、さばさばとした様子で、「とにかくこの三年間いろんな人にチャレンジをしたんですが、なかなか勝てなかったですね。僕は今日総合格闘技を引退します。いずれ僕に続く空手家が必ず出て勝つだろうと思います」とマイクアピールして笑顔でリングを下りた。今後の活動についてはまだ未定とのこと。

◆吉田「佐竹選手の引退試合なので、本当はもう少し盛り上げて終わりたかった。まぁ性格なんでしょうね。勝てるときは早く勝負に出たかった。それで自然とああいう勝ちになってしまった。(蹴りを出したが?)あれは当たらなかったですね。蹴りも一応練習していた。最初に佐竹さんが回し蹴りをしたので、蹴られたら一発蹴り返そうと思って出した。
(来年の目標は?)いろいろ言われているんですけど、主催者側が組んでくれた試合をひとつずつクリアして、もっといい試合をみなさんにお見せしたい。(コンディションは?)あまり時間がなかったので、何とも言えない。それは佐竹選手も同じ条件なので。このようにいつ試合が決まるかわからないので、練習は毎日やっている。(来年やってみたいことは?)何かまた期待してると思うんですけど。『ノゲイラと戦いたい』とか聞きたいんですよね(笑)(そこまで言ってないですよ(笑))それならボブ・サップと(笑)。頑張ります。」

◆佐竹「(もっとやりたかった?)そうですね。今回の作戦で後ろ蹴りは計算していたが、吉田選手のハイキックを見て、打撃で勝てると思った。それが小川選手との試合と同じようなパターンになってしまった。でももう終わったことなので。もっとやりたかったというのが本音です。(準備期間が短かったと思うが、コンディションは?)肩がほとんどあがらない状態だった。あまり右のパンチを打たなかったでしょ? 実はほとんど使えなかった。試合前だから言わなかったんですけど。今回、後ろ蹴りや膝蹴りを出そうと思っていた。小川選手との試合と同じように出会い頭に取られて、首をつかまれたときに抜けるかなと思ったけど、胴着が入ってしまって首が抜けづらくてくまのプーさん状態で(笑)。あのときはまだ我慢できたんですけどね。寝っ転がったとき胴着が入って、首に入った。
 吉田選手は力が強いと思いますね。頼もしいです。これから日本の格闘技をどんどん引っ張っていってもらいたい。あのハイキックをもうちょっと僕が教えてあげようかなって(笑)。引退して、僕が持っている経験や技術を日本人が強くなるように教えていけたらいいなと思っている。道場を作りたいが、なかなかビルを貸してくれる人がいないんでね。貸してくれる人がいたら貸してください(笑)。まあ冗談ですけどね。(今後の具体的なプランは?)これから考えます。やりたいことはいっぱいあるので。空手の逆襲をしなければいけないと思う。とりあえず一段落つきました。そう言いながらまた総合をやりたいと言うかもしれない(笑)。まぁそれはないと思うけど。」

第6試合 総合ルール 5分3R
×藤田和之(日本/猪木事務所)
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッド・ジム)
判定0-3

 目を逸らさずにガンづけでにらみ付ける藤田。逃げないミルコ。両者のやる気が交錯する。試合序盤は慎重に左に回って距離を測る藤田だが、リング中央で時計の針の芯のように藤田の出方を見るミルコ。そして右ロー。ようやく藤田が片足タックルで飛び込むが、距離が遠くよけられる。カウンターを恐れて踏み込みが甘いようだ。ミルコの左ハイが藤田の頭をかする。右ローが続いて藤田の太ももに食い込む。正面からタックルを仕掛ける藤田だが、ミルコはガブって止め突き放す。再び飛んできた右ローの蹴り足を取ってようやく藤田は初のテイクダウンだが、オープンガードで防御するミルコは既にただのスタンドファイターではない。逆にゴング直前には片足を藤田の首にかけて三角絞めを狙う余裕すら見せた。

 2ラウンドになると、いよいよミルコの優位が目立ち始める。右ローを集めて、次第に藤田のモモを赤く腫らす。焦りの見える藤田はタックルを仕掛けるが、抜群の反射神経で受け止めたミルコはカメになった藤田の首を取り、頭部にヒザをぶち込みはじめる。自分の得意技でピンチを迎えるという屈辱的な展開になった藤田だが、押しつぶされながらミルコのヒザを見据え、首を振ってミルコを威嚇する。なんとか立ち上がる。しかし立てば再び重い右ローが飛んでくる。そのうえ、下になったミルコは、オープンガードからオモプラッタで藤田を跳ね飛ばす技術まで見せる。3Rも同じ展開が続き、ついに藤田は決定的な展開を図れないままゴングを聞くことになった。

 リベンジに失敗した藤田は精神的なショックが相当大きかったようで、インタビューブースには現れず。マネージャーを通して、「頭の中を整理する時間がほしい。1月4日の新日本プロレス東京ドーム大会でコメントをする」というメッセージだけ残した。一方のミルコは完勝に上機嫌。今後の試合については「挑んでくれば誰でもいい。K-1とPRIDEルールのどちらでも戦う」と話した。

◆ミルコ「結果に関しては非常にうれしい。正直に言うと、すごく一生懸命トレーニングをして、ベストの状態で臨むことができたので、勝てるという自信は元々あった。(試合前に藤田選手と睨み合っていたが?)これはイベントのひとつということで、向こうが睨んできたのでこっちも睨んだ。(右のローは計画どおり?)右ローは偶然起こったもの。藤田選手はローからテイクダウンを狙っていたし、キックを待っていたと思うので、とても危険だった。(頭部への膝蹴りは?)膝蹴りがどれだけ痛くて効果的か自分自身ががよく知っている。それを自分の膝で感じた。(今後戦いたい選手は?)挑んでくる人がいればどなたでも。(それはK-1ルールでもPRIDEルールでも?)これからは全く気にしません。」


第5試合 K-1ルール 3分3R
○クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(米国/チーム・パニッシュメント)
×シリル・アビディ(フランス/チャレンジ・ボクシング・マルセイユ)
判定3-0 (29-28,30-28,30-28)

 出足、切れ味のいいローを重ねていくアビディ。しかしランペイジの突進は止まらない。重い左右を振って突進してくる相手を、今回はきっちりガードを固めて防戦するアビディ。実質のところ、攻防はこの繰り返しだったが、次第にアビディの足が重くなり、押し込まれるたびにロープを背負う局面が見えだす。一方ランペイジは離れてのボディ、押し込んでのアッパーと技術のあるところを見せる。
 次第にパンチを放っては、フロントネック気味にクリンチを狙う掛け逃げを狙う姿勢が見え始めたアビディ。思った以上のランペイジのタフネスに、集中力が切れたのか、ロープに押し込まれた際のパンチの精度も落ちてくる。 
 3Rにはアビディの右ローに合わせランペイジはアッパーのカウンターをぶち込む。そして左右をかぶせたところでロープを背負ったアビディは、後をむいて客席側に顔をむけて戦意喪失状態となる。角田レフェリーはこの態度にスタンディングダウンを宣告。集中力の切れたらしいアビディはこの後もクロスカウンターの右フックをモロに浴びるなど、序盤の着実な動きをとりもどすことが出来ないままゴングを聞いた。
 アビディの返討ちに成功したランペイジは、「PRIDEでヴァンダレイ・シウバに勝ちミドル級の頂点に立ちたい」と来年の抱負を語った。

◆ジャクソン「今回は直前にオファーがあったので、準備があまりできていなかった。前回は早く試合が終わってしまったが、今回は時間がかかってしまった。(コンディションは?)良かった。常にトレーニングをして体調を整えるようにしている。しかし、アメリカではクリスマス休暇のため、いつもはリングから離れて家族と過ごすのが通例。でも5Rでもいけるコンディションだった。
 (今後は?)ボディースラムやパワーボムができるので、自分としてはPRIDEルールの方が力を発揮できると思う。でも、パンチができるのでK-1ルールも嫌いではない。(戦いたい選手は?)PRIDEルールでヴァンダレイ・シウバと戦いたい。自分はミドル級なので、そこで頂点に立ちたい。」
(アビディはコメントなし)

第4試合 K-1ルール 3分3R
×ゲーリー・グッドリッジ(トリニダード・トバゴ/フリー)
○マイク・ベルナルド(南アフリカ/レオナルド・ボクシング・ジム)
1R 2'21" KO (右ストレート)

 ラスベガスでの再演のように前に出てくるグッドリッジのフックの嵐に、下らざるを得ないベルナルド。いきなりのスリップダウンで、『やはりもう駄目か』という空気が瞬間さいたまスーパーアリーナに漂う。しかし猛攻の最中に返しのアッパーでグッドリッジを止めたベルナルドは、ローを返してようやく流れを変える。それでも前へ前へ突進してくるグッドリッジに、ベルナルドは下る場面もあったは、ついには右のフックのカウンターで8カウントのダウンを奪う。この一発でふらついているところへパンチの連打をあびせ、ヒザへ繋ぐベルナルド。ガードが崩れないとみると少しさがって再び間をおく。これがどうやらベルナルドの作戦だったようだ。おかまいなしに右フックを振ってくるグッドリッジの顔面に、下りながら放ったカウンターの右が吸い込まれた。10カウントを聞いても立ち上がれないグッドリッジを、リベンジ成功をアピールするベルナルドが踏み付けたため、試合後になってイエローカードが提示されるという珍事もあった。

◆ベルナルド「いい気分。リベンジできてうれしい。格闘人生の中で、自分が考えているのとは違う方向に行ってしまうことや、波が下がってしまうことがあるが、今回は自分の方向をもう一度見つけて這い上がることができた。(1Rから勝負をかけていた?)そうです。(8月に1Rで倒されたから?)前回、判定に疑問があった。今回はKOではっきり決着をつけようと思っていた。(試合後、相手のセコンドから猛抗議があったが?)相手が倒れているときに、相手の体の上に足を置いたことが気に入らなかったのかもしれない。(それはルール上、問題ない?)試合後なので、ルールには問題ない。ダメージを与えたわけではないので。(完全復活ということでよい?)はい。(来年は?)サップ、バンナ、ホーストを倒してK-1チャンピオンになりたい。」

◆グッドリッジ「(試合の感想は?)試合の展開としてはこの逆のパターンにしたかった。試合後に彼のケツを触ってやりたいと思った。彼はホモセクシャルのようで、試合後に私のお尻を触ってきました。(8月と比べて相手が力強く感じた?)そうとは思わない。前回は1分30秒で自分が勝ったが、今回は3分かかっているので、そういう意味で私が勝っていると思う。次はPRIDEで戦いたいと思っている。(試合後のセコンドの抗議は?)自分のお尻を触ったことに怒っていた。グローブだとあまり感触がわからないからか、足で触っていた。」

第3試合 総合ルール 5分3R
×滑川康仁(日本/フリー)
○ヴァリッジ・イズマイウ(ブラジル/カーウソン・グレイシー・チーム)
判定0-3

 試合前から額をごりごり押し付けあってガンを飛ばす両者。試合が始まると左に回る滑川をイズマイウは胴タックルでつかまえ、ロープに押し込む。こらえてヒザを打ち込む滑川だが、イズマイウは足を払ってテイクダウン、サイドポジションを取る。ガードに戻して、逆に下から十字を狙う滑川。早い仕掛けだ。躱してサイドに出るイズマイウ。ブリッジでターンして亀になる滑川だが、イズマイウはバックにつく。パンチをおとしてくるのを避けて前転。しかしぴったり背中についたイズマイウはチョークスリーパーを狙う。滑川は首を守りながら立ち上がり、逆にヒザをぶち込むが、イズマイウは抱きついてロープに押し込んでくる。ねちっこく片足を狙ってコカしに成功したところでゴング。
 2R、アッパーで出る滑川をイズマイウはやはりタックルで押し倒す。そしてサイドに出てマウントに。滑川は焦らずブリッジで落とすが、立てないまま正座の姿勢で首を取られてしまう。そこへ頭へのヒザ。そのまま倒されふたたび泥沼のようなグラウンドへ。抱きつく滑川と鉄槌を落とすイズマイウの我慢比べとなるが、ここで野口レフェリーはブレイクして、滑川の動きを膠着誘発とみなしイエローを提示する。再開直後の滑川がハイを放つが、イズマイウはモノともせず、またもや胴タックルから足払いでコカしバックを取る。サイドからマウントへ移行したところで、ラウンドが終了。

 3Rとなるとさすがに両者にも疲労が色濃い。だがイズマイウの粘りは執拗だ。滑川の右パンチのカウンターのタックルでロープに押し込んで、ひねり倒す。ガードになりながら蹴りはなす滑川だが、逆にそのタイミングを盗んでサイドに出るイズマイウ。上四方から頭へのヒザを飛ばす。なんとかターンして立つ滑川だが、バックについたイズマイウは離れない。その胴に巻いた腕を取ろうとする滑川を、そのままイズマイウは押し倒す。再びサイドからパンチを落とす。滑川も前転して、下からの三角を仕掛ける。これが失敗してカメになるとまたもやバックへ。今度は上からおおいかぶさった腕を取ってアームロック狙いへ。しかしサイドに出たイズマイウは、またもや頭へのヒザ。ターンして四つんばいになった滑川と、全く同じ流れの攻防が繰りかえされたところで、試合終了。
 観客からはブーイングの飛んだ試合だったが、基本に忠実で粘っこいベテランの攻めに、新鋭の滑川は我慢強く応戦。地味だが見ごたえのある試合となった。滑川はと無念の様子だったものの、イズマイウは「相手はとても強かった」と滑川を高く評価していた。

◆イズマイウ「勝ったことはうれしいが、TKOやサブミッションで勝てなかったのは申し訳なく思っている。彼は非常に強かった。サブミッションや膝の攻撃からも逃げた。
 猪木さんのロスの道場を代表して出場して勝てたことを誇りに思っている。 猪木道場は始まったばかりだが、ロスの猪木道場は世界で最強だと思っている。私は世界中で日本を代表している。自分の心の中でもこのTシャツのように日本の国旗を掲げている。国に関係なくアメリカでも猪木道場は日本を代表している。
 (新日本のリングで戦うこともある?)もちろん新日本でも契約を結んで戦いたいと思っている。15日前に来日したが、そのときにグレイシーと再戦してもいいと言った。その後、グレイシーから再戦したくないと言われた。今まで4人のグレイシー一族を倒してきた。再戦したいと思っているが、向こうが怖がっているようだ。ヒクソンは400戦無敗だと言っているが、彼はうそつきだ。他のグレイシー一族を倒して怖がらせてやりたい。」

◆滑川「回ってパンチをしたかったが、プレッシャーがすごくて。足をつかまれたら離さないというのはわかっていたが、実際、そういう展開になって引き込まれてしまい、あのような展開になってしまった。(相手の力は強かった?)中邑君に聞いていたんですけど、すごかった。(戦っていて危ないと思った瞬間は?)それはないですね。全然極めに来なくて、ただ上に乗って殴るだけなので。力で押さえ込まれましたね。腕でわざと誘ってみてそこから抜けようと思っていたが、自分の誘いにものってこなかった。固めて殴るという感じだった。Tシャツを脱いで向かい合ったとき、相手の体が大きくなっていてびっくりした。前々日の計量で93kgだと聞いていたのに、だいぶ大きくなったなと思った。
 せっかく大晦日の猪木ボンバイエという大きい舞台で大きいチャンスだったので、もっといい試合がしたかった。(いつもどおりの試合ができた?)普段より準備期間が短かったせいか、リラックスできていたかもしれない。(自分の意識の中で、リングスを背負うという気持ちはあるか?)今回、リングスを背負うという気持ちはなかった。まだまだ背負える実力がない。大事にしたいものだと考えたい。」

第2試合 総合ルール 5分3R
×中邑真輔(日本/新日本プロレス)
○ダニエル・グレイシー(ブラジル/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
2R 2'14" 腕ひしぎ十字固め

 積極的にキックを出してくるダニエルのローのカウンターで、タックルを決める中邑だが、下になったダニエルから逆に蹴りとパンチを浴び、押さえ込めずアリ猪木状態に。ジャンプでパスしようとするが果たせず。ここで中邑は右目の上から流血でドクターチェック。再開後、中邑はタックルでまたもテイクダウン。アリ猪木状態となって、中邑は上から踏み付けにいく。この足をとって、ダニエルはアンクルホールドへ。しかし中邑がぬけると、立ったダニエルは上からパンチを打ち降ろし、マウントを奪う。ゴング直前に腕十字を取るような動きを見せたダニエルだが、その間はずっとパンチを振り続けた。
 2Rに入っても中邑はすぐタックル。下からのオープンガードで十字を取りに行くダニエルだが、これは腕を抜いて逃れる。一瞬立ってローを入れた中邑が覆いかぶさったとたんに、手首を取ったダニエルが、二度目のアタックで腕十字を極めた。

◆ダニエル「仕事をやり遂げたという感じ。(中邑の印象)とても強く、スピードのある選手。自分が初めて試合に出たときのように経験不足だった。これから練習すればもっと優れた選手になる。(作戦は?)相手がレスリングに強い選手だと聞いていたので、ディフェンスでいこうと思っていた。相手が何をするかによってそれを返そうと思っていた。」

◆中邑「ちょっと熱くなってしまった。いけないところで手を出してしまったり。(右目のダメージは下からの蹴り?)覚えていない。何発かもらったのは覚えているが。(相手の印象は?)下からはうまかった。バーリ・トゥードというよりは柔術だった。もっと前に来てくれるかと思った。(今日の試合で課題は見つかった?)これが最初の試合なので、もっとやらないことには見えてこない。これで終わったら物足りない。次もやります。(今後もプロレスとヴァーリトゥードをやっていく?)プロレスをやるにしても、ヴァーリトゥードをやるにしても、プロレスを背負ってるのでいつでも戦う準備をしておくつもりです。」

第1試合 総合ルール 5分3R
×安田忠夫(日本/フリー)
○ヤン・“ザ・ジャイアント”・ノルキヤ(南アフリカ/スティーブズ・ジム)
2R 0'57" TKO(タオル投入)

 去年のメインから第一試合に降格されたことに不満を表明していた安田だが、作戦は胴タックルからロープに運んでのテイクダウン狙いのみ。対するノルキヤはタックルにカウンターの左フックを合わせたり、ロープ際で体の入れ換えてみせたりと、テクニックの成長を見せる。
 1R終了直前、安田はロープ際で体勢を崩しマットに尻餅をついてしまう。ノルキヤは安田の顔面にローキックの連打。起き上がれなくなった安田の上からさらにパンチの嵐を浴びせる。安田はなんとかゴングに救われたものの、2Rに入っては右足を引きずるような動きを見せる。なんとか胴タックルでロープに押し込んだものの、体を入れ換えられコーナーで脇にパンチをぶち込まれて苦しそうな表情をみせる。結局、この時点で戦闘不可能になっていたらしく、背にした自軍コーナーから白いタオルが投入された。

◆ノルキヤ「勝ててとてもうれしい。(作戦は?)安田は私の体をつかんで前に出ようとしていた。その力をうまく利用してそれを阻止しながらうまく抜けて、いつもK-1でやっているようなよいポジションを取って、パンチなどで戦おうと思っていた。(相手にダメージを与えた攻撃は?)1Rで安田が体勢を低くしたときにアッパーカットが上手く入った。それがかなり効果的な動きだったと思う。今回、安田はあまりスタミナが続かないだろうと思っていた。なので、1Rでなるべく彼を動かして疲れさせようとする作戦だったが、思い通りになった。(去年の年末、バンナ選手が安田選手に負けたことは、ノルキヤ選手にとって悔しいことだったか?)バンナ選手の敗北はK-1軍全体の間違いで、二度とあってはならないことだと思った。この勝利はK-1軍にとって大きなリベンジだと思っている。今回、名誉挽回できたと思う。」

◆安田「相手が強かったんでしょう。僕が弱かった。ルールミーティングをさぼったので、あれでブレイクされるとは思わなかった。非常にショックでした。負け惜しみじゃないですけど、言わせていただければ、ルールをもう少し明確にしてほしい。(そのまま試合が続けられると思っていた?)ですよね。膠着になっちゃいましたからね。あれで離されるってことは、パンチを一発もらってからつかまえなければいけない。僕の方式では、それでも行く気があればもっと行けたんでしょうね。弱いから行けないんですよね。(ノルキヤ選手のパンチやキックの威力は?)いや、たいしたことないでしょう。伸ばされたわけではないから。(タオル投入は予想外だった?)下がったらタオルを投げてくれと言ってありましたんで。前に出られない戦いをするぐらいだったら自分が情けないだけですから。まぁ全部自分の責任ですよ。(2Rの始めに足を引きずっているようだったが?)何でもないですよ。」

(写真)左上・大会は猪木氏の『ダー』から幕開け。
    右上・休憩明けには神輿にかつがれリングに向かった。
    左下・猪木氏考案『スネ相撲』でマーク・コールマンらと対戦。
    右下・昨年12月脱税で逮捕された野村沙知代氏をビンタ!

◆猪木氏総括「いろいろハプニングがあったが、無事終わった。(メインイベントのサップvs高山について)高山のキャラクターがあるから、これは仕方ないかな。勝つためにというより、自分のキャラクターを目一杯見せた戦いだったと思う。(サップについて)止めることができないのかなと思うぐらい勢いがあった。いずれは誰かが倒すと思いますけどね。
(藤田について)今日はオーラが小さいなと思った。彼は精一杯今回のためにやってきたが、結果は結果だから仕方がない。それより、打撃の選手があそこまでグラウンドの技術を身につけたミルコを評価するべきでしょうね。何回かの試合でめちゃくちゃ自信をつけた。それにも増して、戦い方を十分承知している。
(吉田選手について)これも仕方がないかな。自分たちはこうしたらいいのになと思うが、選手はそんな余裕はない。佐竹選手に少し知恵を授けてあげようかと思った。一番の弱点は蹴りだと思う。吉田が得意とするところに自ら入っていったという感じ。
(安田選手は去年と一転して残念な結果になったが)膝をねじってしまったようだ。どこでねじったかわからないが。なかなか倒せなかったから、体重差があれだけ厳しいかなと思う。彼は大きくてパンチが強く、うまかった。
(対紅白について)それはこれからわかると思う。われわれのイベントとしては成功だと思う。俺がキャンペーンをした中でいくつかの都市を回り、その反応ではまさに手ごたえがあった。みなさんが期待する以上の視聴率が出ると思う。ということで、ありがとうございました。ダーッ!」

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