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[猪木ボンバイエ] ミルコ、またもプロレスラー狩りに成功!/12.31 さいたま

INOKI BOM-BA-YE 2001 〜猪木軍 vs. K-1全面対抗戦〜
2001年12月31日(月)埼玉・さいたまスーパーアリーナ

観衆:35,492人(主催者発表)

【 → 猪木軍 vs. K-1対抗戦に対するご意見をReaders' Opinionで募集しています】

「またも高田“オレ流”貫く」
第1試合 3分3R(この試合のみ特別ルールで3R制)
△高田延彦(高田道場)
△マイク・ベルナルド(オランダ/スティーブズ・ジム)
ドロー

 11月のミルコ戦で足を骨折。完調とは言い難い体調で試合に望んだ高田は、ベルナルドのパンチを警戒して距離を詰められない。一方のベルナルドも「総合対策の練習はこの6日ほどやっただけ」と語っており、自分から仕掛けることは出来ず、低目に構える高田のタックルを警戒して、自分も腰を落としてカウンターの構えをちらつかせる状態に終始する。そのため1、2Rは両者全くといっていいほど交わらず。3R、高田がタックルを仕掛けるが、切られると11月の東京ドームのミルコで見せたように、そのままリングに仰向けとなり膠着。ベルナルドが寝転がったままの高田の脚に向けて数発ローを放ったものの、試合はそのまま終了。あくまで勝利に執着する“オレ流”を貫いた高田と、K-1での豪快な打撃を披露できなかったベルナルドの“お見合い”に、場内はブーイングの嵐に包まれた。
 試合後高田は「次の試合をラストマッチにします。全部身体をオーバーホールして、最後ぐらいぴしっと勝ちたいんで。来年中。できれば4月で40になっちゃうから、40をたくさんすぎない時期にね。引退試合とか、ラストマッチになるんでしょうけども、お祭りになんないで、緊迫感のある試合にしたいんで」とコメントし、来年中にも現役引退計画があることを明らかにした。

「グレコ、総合への本格参戦を示唆」
第2試合 3分5R
△佐竹雅昭(怪獣王国)
△サム・グレコ(オーストラリア/チーム・グレコ)
ドロー

 6週間の総合系トレーニングを経て、総合ルールでのデビュー戦となったグレコだが、総合格闘技では先輩の佐竹のお株を奪うような、フロントチョークを極めかける場面もあった。
 3R終盤にグレコの蹴り脚をキャッチした佐竹がテイクダウンに成功、ロープ際でグレコの顔面にパンチを落とすシーンもあった。しかし「佐竹とはグラウンドの勝負をしてみたいと思っていた。グラウンドでも佐竹に負けない自信がある」と試合後大胆に語ったグレコはこのピンチをしのぐと、残り4、5Rはステップワークと左ジャブ、左イン・ローを中心にしたコンビネーションなど打撃中心の試合展開で優位に立ち、押し気味に試合を進める。
 だが判定決着の無いこの日のルールでは、結果はドロー。
 試合後グレコは、総合系やプロレスへの参戦を示唆する発言も。「歩くようになる前に、まず這えるようにならなければいけない。今はまだその段階だ。だがK-1選手はミックス・ルールにも比較的短い時間で対応できるようになる。そのことを証明したい。」

「決定打無し、剛腕vs野生児」
第3試合 3分5R
△ゲーリー・グッドリッジ(トリニダードトバコ)
△エべンゼール・フォンテス・ブラガ(ブラジル/アカデミア・ブドーカン)

 レネ・ローゼの父親が危篤となり、30日朝急きょ帰国。K−1軍のコーチとして来日していたブラガが緊急出場した。大会唯一の総合格闘家対決がふって沸いたように実現したが、互いに面識もある両者、「対戦相手の土壇場での変更も戸惑うが、よりによってこういう形でブラガと闘うことになるとは思わなかった。(グッドリッジ)」
 打撃を中心とした戦いになるもお互いに決定打は出せず。グラウンドでは1、2Rはブラガが上になる展開が中心だったが、ブラガは1Rに左そけい部を痛めており、スタミナ的にも徐々に苦しい展開に追い込まれた。一方馬力で優るグッドリッジはラウンドを追う毎に活き活きとした表情。
 最終ラウンドはブラガの側からグッドリッジを胴タックルからテイクダウンし、グラウンドでの攻防を自ら選択したが、しかしその後は両者とも決定的な攻め手を欠き、結局この試合も引き分け。

「天才子安、総合の壁にぶちあたる」
第4試合 3分5R
△石澤常光(新日本プロレス)
△子安慎悟(正道会館)
ドロー

 柔道の経験があるとはいえ、あくまでこの試合が総合初体験の子安は、離れて闘いたいところ。しかし2Rあたりから距離勘を掴んだ石澤が執拗なタックルを狙い始め、テイクダウンに成功。グラウンドに入ってからの両者の力量の違いは明白で、石沢は素早くパスガードて、拳を落とし続ける。しかし、元アマチュアレスラーとしてのアドバンテージはそこまでで、石澤にもそこからの極めがない。子安は時折後ろ回しやハイ・キックを繰り出すなど、石井館長もその敢闘を評価する闘いぶりを見せるが、勢い任せのハイキックでバランスを崩して自ら転倒したところを上から石澤に攻め込まれるなど、やはり総合のリングにおける経験不足を露呈する部分が目立った。
 離れて闘おうとする子安を石澤がグラウンドに引きずり込む展開が続き、その度子安はゴングとブレイクに幾度も救われる。両者最後までこの展開を変えられず、この日4つ目のドロー決着となった。ある意味、判定なしのこのルールが持つ陥穽が大きくクローズアップされた前半戦となってしまった。試合後、子安は「(総合を続けるかどうか)今はまだ考えていないですけど、技術は役に立つと思うんで、試合は別としても練習だけでも続けたいとおもってます。遠い距離でないと倒されるんで、その辺も意識したんですけど、練習ではできても試合ではできないみたいな部分もあるんで」と苦い内容で終わった総合デビュー戦を振り返った。

※第5試合を前に、ようやくこの大会の主人公アントニオ猪木氏が棺桶を引っぱって登場する。いつも通り「元気ですかー、元気があればなんでもできる。こんな暗い世の中と嘆いてみてもはじまらない。道はどんなに険しくとも、笑いながらいこうぜ。猪木が笑えば、世界が笑う・・・」と猪木節を披露しかけたところに棺桶から突如現われた紅白の謎のマスクマンに襲われる。そこから何の説明もなく展開し始めたプロレスエキシビジョンには、ザ・グレート・サスケやジャイアント・シルバらが登場。十八番の卍固めで“紅白仮面”からギブアップ勝利を奪った猪木は、最後を1、2、3、ダーで締めくくった。
 ある意味奇妙というか唐突きわまりない展開ではあるが、イベントの冠となったアントニオ猪木氏の片足が、確実にプロレス界にも残っていることを明示したアトラクションだったのかもしれない。また、プロレスと格闘技の境界が明快になったこの時代だからこそ、MMAイベントの真っ最中にこうしたアトラクションが展開しても許されるようになったという、時代を象徴するエピソードとも言えるだろう。

「マルセイユの悪童、喧嘩テクニックを活かせず」
第5試合 3分5R
○ドン・フライ(フリー)
×シリル・アビディ('チーム・ロメアス'ボクシング・プラネット)
2R 0'34" スリーパーホールド

 スーパーマン風にトリコロールのフランス国旗を背負ったアビディと、アメリカ国旗を高々と差し上げたフライ。それぞれに良く判らない雰囲気でナショナリズムの象徴をかざしての登場となった。
 試合はゴングと同時にフライが突進。パンチの打ち合いでも一歩も引かず、そのまま組み付くと豪快な反り投げでテイクダウン。サイドからアームロックを狙う。極まったかに見えたが、アビディはブリッジでスィープに成功。逆にインサイドガードからパンチを落とし始めた所で1R終了。
 2R開始と同時に、1R同様不用意にパンチを振り回したアビディの脇が空いたところに、今度はタックルでフライが突っ込む。テイクダウンし、あっさりバックを取るとスリーパーホールドを仕掛ける。しばらく耐えたアビディだが、無念のタップアウト。
 内容的には完敗とは言え、アビディの予想以上の健闘と積極的な試合内容に大きな拍手が巻き起こった。しかし、当人は「この二週間、練習してきたことの成果がまったく出せなかった」とコーナーに戻ってもしかめっ面で、試合内容に不満げ。セコンドについたコーチ役のフランクシャムロックや、対戦相手のフライにまで慰められる始末。
 試合中、フライの指が目に入るアクシデントで右目が腫れ上がったこともあっただろうが、やはり喧嘩テクニックだけでは総合に勝つことはできないという事を証明することになった。

「またも恐怖の一撃、プロレスラーを撃墜」
セミファイナル 3分5R
×永田裕志(新日本プロレス)
○ミルコ・クロコップ(クロ・コップスクワットジム)
1R 0'21" TKO(レフリーストップ)

 ケイン・コスギのアナウンスに乗って両選手が入場。ミルコにはホイス、永田には同じ新日本プロレスの成瀬と、それぞれに参謀陣がセコンドにつく。
 試合開始と同時に永田が前に出て組みつこうとするが、このところ相次いだ対プロレスラー戦の経験を積んだことで、組み技系選手相手に絶妙の距離をキープするようになったミルコ。永田の密着を許さない。開始20秒、一旦両者の距離が離れ、打撃選手相手には一番の危険地帯に入ってしまった永田。そこへまってましたとばかりにミルコの強烈な左ハイキックが炸裂する。ばったりとコーナーに横倒しになった永田に、容赦なくミルコが覆いかぶさりパンチの雨を降らせたところでレフリーが試合を止めた。試合後、永田はこのハイキック一発で記憶が飛び、何が起こったのかわかっておらず「気が付いたらレフェリーが目の前に居た」とこの瞬間の様子を語った。
「対K-1選手の闘い方として、あそこまでガードを開いてしまうのは永田の勉強不足。格闘技は進化している」というA.猪木氏の言葉がすべてだろう。これでミルコは対プロレスラー二勝一分。藤田を仕留めた膝、高田の足を破壊したキック、そして今回のハイキックと、まさにK-1史上最強のプロレスラーハンターに成長しつつある。

「父よあなたは強かった!安田、まさかの大金星を娘に贈る」
メインイベント 3分5R
○安田忠夫(新日本プロレス)
×ジェロム・レ・バンナ(ボーアボエル&トサジム)
2R 2'10" ギロチンチョーク

 テレビ中継では、借金が原因で離ればなれとなった14歳の娘と再会した安田が、娘に必勝を誓うドキュメント映像が5分ほど流れる。大トリとなるこの試合に賭けるTBSの期待が伺い知れる。
 試合は開始早々バンナがパンチに来たところを安田が組みつきテイクダウン。安田はまもなく離れてスタンドに戻るが、安田は再び差し合いからテイクダウン。だが今度はバンナがすぐ体を入れ替え袈裟固めの体勢となりヘッドロック。だが次の手が出ず。安田も下からしがみついたまま。しばらくしてバンナがマウントに。安田は必死でしがみつき、バンナがコーナーに運んで頭にパンチを連打したところでゴング。インターバル後にバンナの鼻から出血が見える。

2R早々安田がテイクダウン。ハーフガードの体勢で肩固めをかけるが極めが甘い。安田はしばらくして前腕チョークに移行するとすぐバンナがタップ。
 安田に大きな歓声が巻き起こる。マイクを持つと愛娘をリングに呼び込み、肩車で娘を抱え四方のコーナーに登り勝利のアピールをした。会場は、強敵バンナを破ってまさかの大金星を手にした苦労人の勝利に沸き返った。

 試合後、安田は「TVのおかげで娘が見に来てくれたんでね、負けるわけに行かないでしょう。プロレスの頃はよく来てくれてたんだけど、お父さんやられてました(笑)。で、前PRIDEに出たときは、佐竹戦の時は来てくれたんだけど、8月19日の時は嫌だって言って来てくれなかったら、自分KOされて負けちゃったんで。まあ、記者会見の時にも言ったんですけど、あれは僕の反則勝ちですから、今年はVT一つも負けてないことになるんで、もう卒業して、IWGPを狙って、プロレスのチャンピオンになりたいです。相撲でなれなかったですから。(娘を肩車したのは)(猪木)会長に「抱け」って言われて、どうやって抱こうかなと思ったら肩車しかないなと思って、怖がってましたけど“パパ絶対落とさないから、大丈夫だから捕まっとけ”って。(借金は返せた?)まだ判らないです。ギャラいくら貰ってるか(笑)会長にお任せしてますから。ギャラ8000万貰ってもまだ返せないですから。いつも一億って言ってるんですけど、全部会社任せなんで。減ってることは減ってるんですけど、自分で考えると気が遠くなってヤになっちゃうんで、とにかく僕の給料は明細みるといっぱいあるんですけど、手元に来るのは新日本プロレスの新弟子より少ないかもしれません(笑)総合をやってて変わったというより、今年の一月にアメリカに行って。それまでは英語がしゃべれない、外人が嫌い、ローマ字読めない、で、中学中退みたいなもんですから。お相撲さんになったのも英語できないからだし。でもそれが一月にアメリカ行って、いろんな人に知りあって助けてもらって、考え方変わって、良かったと思います。今年一年は、今日勝った事がすべてです。一生懸命やってれば、答えは出るんだなって。二足のわらじは無理ですけど、会長に言われれば、まだ一回は出ますよ(笑)」とどん底からはい上がった男の気概と、娘への思いを語った。



 対抗戦の結果は猪木軍の2勝1敗4分。
 石井館長も試合後の会見で「今日は安田くんが良く頑張ったよね。これで3勝3敗のイーブンか。これからもリングで言ったように、勝つまでやるというか、イイ形で続けていけるといいなとは思いますが、年末というのはGPもあって選手が総合の練習を十分にやれないんで、その辺は(猪木)会長と十分相談してやっていきたいですね」とコメントし、今後も対抗戦の継続を示唆する発言を残した。

■石井館長の試合後の総括(リング上)
悔しいですけど、なんだか爽やかな気分です。ジェロムのパワーも親子の愛と勇気にはかないませんでした。安田選手、おめでとう!今日を機会にチャレンジャーに戻って、勝つまでやりたいと思います!


【 → 猪木軍 vs. K-1対抗戦に対するご意見ご感想をReaders' Opinionで募集しています】

<大会までのトピック一覧>
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INOKI BOM-BA-YE 2001 チケット情報
裏番組をボンバイエ!? K-1対猪木軍をTBSが大みそかに中継

Last Update : 01/01 01:11

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