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[Dynamite!] 8.28 国立:(8) 桜庭和志×ミルコ・クロコップ

Dynamite! 2002年8月28日(水) 国立競技場  [→カード一覧に戻る] [→掲示板・PRIDEスレッド]

『もう誰も止められない! ミルコ“最後の砦”桜庭も撃破』

メインイベント PRIDEルール(4ポイント膝あり) 5分3R 
×桜庭和志(日本/高田道場/180cm,87kg)
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッド/188cm,98kg)
2R 終了後 TKO (ドクターストップ)

 恒例の桜庭の入場パフォーマンス、今回は人気プロレスラー・皇帝戦士ビッグバン・ベイダーのパロディ。巨大な入場用のオーバーマスクを脱ぐと、その下には桜庭カラーのオレンジに塗り替えられた紐のヘッドギアをつける凝りようをみせる。 桜庭の復帰戦を祝うお祭り騒ぎで一気に弾けた会場だったが、入場の楽しさとは裏腹に、試合は一転シリアスな内容をみせた。

 打撃を警戒した桜庭は、リングを左に回りながら間合いを測り続ける。一瞬の隙を突いて低空タックルを試みるものの、ミルコは闘牛士のようにすばらしい反射を見せ、ことごとくこのタックルを切り続ける。立ち技でも果敢に先制のパンチを振って飛び込んでくる桜庭に、ミルコはカウンターの左ストレートを返す。さらに桜庭の古傷である右膝に左ローを集め、着実に桜庭の余裕を奪い取っていく。1R後半にようやくテイクダウンに成功した桜庭だが、ミルコは足をしっかりロックし、パスガードを許さない。下になった展開でのシミュレーションも十分だったようで、腕をつかんで桜庭にパンチを打たせないままに、ピンチを乗り切った。


 2Rもミルコが左ローの攻撃とタックルの防御で桜庭を翻弄。だがミルコが左ローを放ってバランスを崩したところ、桜庭はこの千載一隅のチャンスを逃さず上にのしかかり、グラウンドに持ち込む。だがハーフガードの体勢からミルコは、桜庭の右目に左ストレートを連打。桜庭はこれを嫌い一旦立ち上がったが、再びグラウンドに。結局インサイドガードの体勢で膠着したままゴングを聞いた。

 しかし桜庭はニュートラルコーナー付近に座り込んで、なかかな赤コーナーに戻らない。ミルコの下からの蹴りとパンチの影響で、右目が紫色に腫れ上がっている。中山ドクターが呼び込まれ、桜庭を診察。周囲を取り囲んだスタッフの中から、島田レフェリーがいち早く立ち上がり、両手をクロスさせて試合の中止を指示した。桜庭は眼窩(か)底骨折の疑いがあるらしく、無念のドクターストップが宣告された。


 グレイシーハンターとして一世を風靡し、世界のミドル級戦線でもトップクラスの評価を得た桜庭だが、シウバ二連戦、そして今回のミルコと、クラスリミットを上回るパワーファイターとの対戦のツケは余りにも高く付いたのではないだろうか? 高い評価故に組まれたドリームマッチとはいえ、やはり格闘技の世界ではパウンドフォーパウンドの原則を超えた戦いは、結果として悲惨なものに終わってしまいがちだ。特に、シウバやミルコの打撃は、同体重であってさえ、命取りになりかねない。

 石井和義・Dynamite!総合プロデューサーは、大会終了後のリング上で、即「もう1回やらせたいと思います」と語ったが、満身創痍の桜庭にそれをクリアするのは正直言って厳しすぎるハードルに思えてならない。「夏休みの最後に負けてしまいすみませんでした」とまたもや無念の思いを残してリングを降りた桜庭。故障した箇所が箇所だけに、今はその無事だけを祈るのみである。

 一方、石井プロデューサーは大会後記者団に対し、大みそかに猪木ボンバイエに匹敵するイベントを、そして来年夏にはDynamite!の第二段を開催したいという意向を示した。すっきりとは終わらなかったメインとセミのリマッチや、ノゲイラ vs. バーネットのヘビー級頂上決戦を、これらの大イベントで実現させたいという思いが強いようだ。


Last Update : 08/29

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