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Report
ufc99・11・14“Ultimate Fighting Championship Japan”東京ベイNKホール

第2試合(UFC-J ジャパニーズ・チャンピオンシップ一回戦 5分2R) 
Power of Dream
山本喧一
182cm 93kg
2R
判定3-0
和術慧舟會
高瀬大樹
180cm 77kg
×

しばきあおうや!ディフェンシブ高瀬にヤマケンイライラ


  ングダム崩壊後リングスへと移籍した山本。マッチメイク上の扱いで見れば、山本は、同時期に移籍した金原よりも恵まれていたと言えるだろう。リングス・オランダの新星、ヴァレンタイン・オーフレイムを皮切りに次々と一線級の相手との試合が組まれ、最後には田村潔司との一騎打ちも行われた。対する金原は、中堅どころや新顔の選手との対戦が多く、山本と比較すれば、些か地味な役割を受け持っていた。
 だが、結果は、正反対なものとなった。
 連勝街道を駆け上り、そのまま堂々のトップ選手となった金原。対する山本は、厳しいマッチメイクの中で、もともと痛めていた体をさらにぼろぼろにし、欠場を重ね、最後には離脱の道を歩むことになった。
 山本は、リングス離脱の理由として、ルール面、体制面の不備を上げた。勿論本当の理由は当事者でなければわからない。だが、外から見ていた者として言わせてもらうなら、山本の離脱劇と、キングダムであれだけ光っていた山本が、リングスでみるみるぼろぼろになっていった姿を重ねて見ずにはいられなかった。
 その山本が試合の場に帰ってくる。
 直前のUFCJ記者会見で選手代表として会見した山本。コンディションは、リングスの頃とは、精神面でも肉体面でも雲泥の差だという。「個人闘争の時代にしたい」「業界全体を盛り上げたい」久しぶりに公の場に出た山本はかつてのエネルギーを取り戻していた。
 とはいえ、都合のいい噛ませ犬をあてがってくれる程総合の世界は甘くはない。対戦相手の高瀬は、80kg足らずの体で、巨漢エマニュエル・ヤーブロウにTKO勝ちをした実績を持つ。その後も、アメリカUFC、パンクラチオン・マッチと出場を続け、若手とはいえ、本格的なバーリ・トゥード・マッチの実績では山本を上回る。


 合はいきなりの高瀬の引き込みで始まった。
 そのまま手首を取り、極めに入ろうとする高瀬。しかし山本もセオリー通りの攻めにやすやすと屈しているわけにはいかない。高瀬の攻めをふんばり、インサイド・ガードに入る。下から手首を取り、山本の動きを封じる高瀬。なんとか上体を起こし、殴りにいこうとする山本。
 数発パンチを打ち込めたものの、殆どこの体勢のままラウンドは終了してしまった。

  続くラウンドも同じパターンが続く。
 ともかく高瀬は引き込みに拘る。ガードからの十字、もしくは三角しか頭にはないようだ。山本の右フックをかいくぐっては引き込み、牽制の大振りのキックを放って間合いをつめては引き込む。
 これだけあからさまに引き込みに来られれば、山本としても、引き込みを切ってからの攻めを探ることになる。組み付いてくる高瀬を突き落とし、グラウンドで仰向けになったところを、足をとって、飛び越えて、さらには側転まで見せてパスしようとする。
 だが、高瀬のディフェンスは固い。
 どういう状況から山本がパスにいっても、最後にはなんとかクローズド・ガードに入れてしまう。そして相手の手首をコントロール。動きが止まる。ボディへの頭突きを放ち、どうにか上体を上げては数発パンチをうち下ろす山本だが、すぐにもとの体勢に戻されてしまう。
 高瀬も、時折下から攻めの機会を探るものの、多少腕をたぐる程度で、それ以上は動かない。クローズド・ガードを崩してポジションを変えようという素振りも見せない。
 そして試合終了。
 判定は山本の勝利だった。高瀬が、リスクを排してディフェンシブな戦法に終始した以上、これはやむを得ないだろう。

 完勝とはいかなかった。だが、ともかくこれで山本は念願の新たな一歩を踏み出すことができた。


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次の試合 :3. KEI山宮 vs ユージン・ジャクソン
ジャパニーズ・チャンピオンシップ決勝 :5. 山本喧一 vs 藤井勝久

レポート:山名尚志 カメラ:井田英登

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