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バーサスエンターテイメント主催 "Club Fight NAGOYA"
3月4日(日)名古屋/OZON

「ヤマケン、和製エリクソンの猛攻にまたもやドロー」

レポート&写真:井田英登

メインイベント 10分1R 
山本喧一
(パワーオブドリーム:UFC-J初代チャンピオン)
時間切れ

ドロー
保村晃
(口田東体協)

“嵐の中の小舟”。
今夜のヤマケンの試合を見ていて浮かんできたのはのはそんな言葉だった。
保村118キロ、山本79キロ。体重差約40キロ。この体格差はいかんともしがたい。

 試合開始とともに突っ込んだ保村は、コーナー付近までがぶりよっていきなり豪快な払い腰を炸裂させる。一回目のチャレンジはなんとか踏みとどまったものの、二回目で見事にヤマケンの身体がマットにたたき付けられた。グラウンドでは慌てて足を取りにいってカカト蹴りを食らったものの、まるで波間をけ立て浮上する白鯨のように、上半身を躍らせてパンチもろとも保村が突っ込むと、ヤマケンはそのまま吹き飛ばされてマットに寝かされてしまう。このあたりの保村の豪快さはまさに和製トム・エリクソンとでも呼びたくなるようなパワーだ。

 だが、ヤマケンもパンチを返すと保村の不完全な押さえ込みを擦り抜けて逆にマウントを奪い返す。ブリッジで吹き飛ばそうとする保村のバックをついて、カメの姿勢になった保村の腕を取って十字狙いへ。しかし、立ち上がった保村の勢いで腕をキープできない。スタンドに戻ると、ロープに押し込んで怒とうのヒザをぶち込んでくる保村。とにかく怪物を押さえ込もうとタックルを狙うヤマケンの顔面にモロヒザが入り、首がかしぐ。勢いのままに押さえ込む保村。
 下になってしまうと保村の体重はそのまま凶器になる。必死に腕を押さえてガードしようとするヤマケンの抵抗もむなしく、体重を乗せたパンチがこれでもかこれでもかと振り下ろされる。さすがに連打する技量はないのだが、それでも一発一発の勢いは見ていて迫力がある。ただ振りかぶるたびに押さえ込みのバランスが悪くなるのも事実で、ヤマケンはクロスガードに取った足を強引に横に振るだけで保村を転がして上下逆転に成功する。

 上になったヤマケンが横四方のポジションを奪ってアームロックを取る。しかし空いた右手で、ヤマケンのモモにパンチを入れ抵抗する保村の粘りが実って、スィープに成功。残り三分でヤマケンは再びガードポジションでパンチを浴びる危険な体勢に戻されてしまう。

 上半身を起こして立とうとするヤマケンの、がら空きの頭に再び保村の危険なヒザが襲い掛かる。蹴り足を掴んでタックル気味に押し込むヤマケン。しかし、受け止めた保村は鉄槌パンチをぶち込んでねばる。同体になって右四つの体勢から崩しにいったヤマケンがそのままバックに回り込んでスリーパーを狙うが、前に落とされて決まらず。そのままガードへ。保村もスタミナが切れているのは伺えるのだが、それでも振り回してくるパンチの勢いは凄い。腕を取ってヤマケンがガードしようとしても、情け容赦なく大砲のようなパンチが降ってくる。何とかそのバランスの崩れに乗じようとしたヤマケンが、腰をずらして十字を狙いかけた所で時間切れ。

 またもや、時間切れドロー。

 しかし、賞金首ヤマケンという観点からすれば、情勢的にはまたもやかなりの度合いで攻めこまれて、ほうほうの体での逃げ切りという印象を残してしまった。

 なお、一部雑誌に報じられたキングダム入江秀忠からの対戦要求に対して、日上プロデューサー(下写真)は「クラブファイトはあくまで未知の格闘家を発掘するというピュアなコンセプトで行っているものであり、先にマスコミを通じてパフォーマンスを展開しながら対戦要求を出す入江さんのやり方は違和感を感じる。クラブファイトでの対戦というのは無いと思っていただいて結構です」と回答を出し、問題に一応の終止符を打った形となった。今回、ヤマケンは「プロデュース業やジム経営が忙しかったが、年が明けてからいい形で選手モードに入れており、今自分の口から言葉でアピールすべきことは何もない。試合だけを見て欲しい」ということで一切のコメントを出さなかった。

 また3月25日に予定されていた第3回タイタンファイトは、諸事情により延期が決定した。現在、4月中旬の実現を目指して調整中とのこと。


保村晃(ほむら・あきら)経歴
年齢:24歳 所属:口田東体協
格闘ベース:柔道(15年3段)、総合格闘技(2年)
身長:180cm 体重108kg
戦績:柔道(広島県大会無差別級優勝、春選抜全国大会ベスト16、中国四国大会準優勝、なみはや国体山口県代表),総合系(第14回&第17回アマ・コンプリート・ファイティング・ヘビー級優勝、トーナメントオブJワンマッチで小島正也(和術慧舟會)にアキレス腱固めで一本勝ち)


■軽量級4menトーナメント 出場選手経歴

河野竜也(四王塾:柔術)
第7回コンプリートファイティング・ライト級準優勝,K-1チャレンジ99.3.22代々木のコンテンターズルールで門脇英基に一本負け
熊谷真尚(禅道会:空手)
バーリ・トゥード実験マッチ11戦10勝1敗
市川直人(パワーオブドリーム:グラップリング)
第1回タイタンファイト準優勝
則次宏紀(直心会:総合)
第4回コンプリートファイティング・ミドル級優勝,アマ修斗99.2.21 第1回中部日本オープンで3位,スーパーブロウル96.6.28ハワイでヘイガー・チンに一本負け,プロ修斗93.4.26後楽園の中井祐樹デビュー戦で一本負け)

第1試合 トーナメント1回戦 10分1R 
× 河野竜也
(四王塾)
時間切れ

判定
熊谷真尚
(禅道会)

第2試合 トーナメント1回戦 10分1R 
× 市川直人
(パワーオブドリーム)
時間切れ

判定
則次宏紀
(直心会)

第3試合 トーナメント決勝 10分1R 
× 熊谷真尚
(禅道会)
時間切れ

判定
則次宏紀
(直心会)

※則次宏紀が優勝


<クラブファイト公式ルール(抜粋)>

フリーウェイト制で10分1ラウンド。勝敗は一本、TKO(レフェリーまたはドクターのストップ、反則による怪我)、試合放棄、失格、ノーコンテストで決まる。時間切れの場合はノーコンテスト扱いとなり判定は行わない。マウスピース、ファウルカップの着用は義務づけられ、反則は噛み付きや急所攻撃などの他、脊柱・止血点への打撃、グラウンド状態での顔面への踏み付ける・蹴り上げる等の行為、頭部・顔面への頭突き・肘打ち、掌による打撃、リング外に落とす行為等。なお、グローブ無しでのパンチ、首から下へのサポーター無しでの肘・膝による攻撃は認められる。(但し女子は肘・膝による打撃、グラウンドでの全ての打撃が禁止されている)


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CLUB FIGHT Round 1 東京・渋谷WOMB(ウーム) 2000/11/12

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レポート&写真:井田英登

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