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(レポ&写真) [修斗] 5.3 JCB:中蔵世界王者に。マッハ&ルミナ敗れる

サステイン "プロフェッショナル修斗公式戦 修斗伝承 1 〜 ROAD TO 20th ANNIVERSARY 〜"
2008年5月3日(土/祝) 東京・JCBホール  観衆:3,290人(満員札止め)
認定:インターナショナル修斗コミッション(ISC)

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第7試合 メインイベント ISC世界ウェルター級チャンピオン決定戦 5分3R
中蔵隆志(シューティングジム大阪/世界1位・環太平洋王者)
×天突頑丈(PUREBRED大宮/世界2位・環太平洋1位)
判定3-0 (鈴木30-29/菅野30-28/横山30-29)
※中蔵が第9代世界王者に

 1R、天突が右ストレートや右ローをコンビネーションの中でヒットさせるが、中蔵は左ジャブや右ローの手数でやや上回る。終盤に中蔵は一本背負いを仕掛けるが、天突はすぐ立ち上がり、寝技に持ち込ませない。このラウンドは菅野浩之&横山忠志サブレフェリーが10-9で中蔵にポイントをつける。
 2R序盤、天突が中蔵をコーナーに詰めるが、中蔵は一本背負いで体を入れ替える。天突の右眉が切れ、ドクターチェックが入るが、傷は浅くすぐ再開。すると1Rと同じような打撃戦が続くが、両者とも大きなチャンスが無く、レフェリーは3者とも10-10をつける。
 最終ラウンド、後が無い天突は前に出て何度がストレートの連打をヒットさせる。「0コンマ何秒か(意識が)落ちることがあった」とその威力を語る中蔵だが、「2R中盤から天突選手が焦っているのがわかった」と冷静。表情を変えずにコーナーで差し合いダメージを誤摩化しつつ、離れては前に出る天突に左ジャブと右ローを着実に当てる。大きなダメージを与えることはできないが、試合の主導権を握り続けたまま試合終了。鈴木利治メインレフェリーと菅野サブレフェリーが中蔵にポイントをつけ、フルマークの判定勝ちで世界王座奪取に成功した。

 世界のベルトを腰に巻き、環太平洋ベルトを肩にかけ勝ち誇る中蔵(環太平洋王座は世界王座奪取と同時に返上扱いとなる)。リング上では関西弁でジョークを飛ばす等明るく振る舞ったが、バックステージでのインタビューでは、10年前に修斗のビッグイベントの裏方をやっていた頃のことを思い出し、「修斗だけがずっと生き甲斐やった」と語り、涙を流した。
 今後の展望については「何の因果かこのベルトはあんまり防衛されていないので、僕が防衛したい」「チャンピオン倒してチャンピオンになったのと違うんで、歴代チャンプとやってみたい」「今日はマッハ選手もリオン選手も佐々木選手も海外の強豪に負けた。世界には強い奴がいっぱいいる。僕も来るものは拒まずで強い奴とやりたい。それが修斗のタイトルマッチならなおさらいいですね」と話した。
 今大会は、1週間後のDREAMライト級GP二回戦を控え早くも来日した元世界王者・ヨアキム・ハンセンが生観戦。世界戦の後にはリング上で、中蔵とのツーショット撮影に気さくに応じ、冗談めかしながらも中蔵の世界ベルトを引っ張っていた。ハンセンは今はランクから外れているが、昨年10月の代々木大会でも光岡と戦っており、修斗のタイトルへの意欲は衰えていない様子。中蔵のベルトを狙うのは、果たして誰になるのだろう?


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第6試合 セミファイナル ミドル級 5分3R
デビッド・バロン(フランス/オウ・テンション/世界2位・欧州王者)
×桜井“マッハ”速人(マッハ道場/第4代世界王者)
1R 4'50" 一本 (フロントチョーク)

 マッハは開始すぐ、右フックを振りつつバロンの蹴り足をつかんでテイクダウン。スタンドのパンチの打ち合いでも優位だったが、バロンもヒットさせる。さらにバッティングもあり、次第にマッハが下がるように。バロンはバッティングで自らの頭部を切るが、その出血がマッハの顔に移り、若干視界をふさぐような感じにもなったようだ。苦しい展開になったマッハは、差し合いの攻防から上になって難を逃れるが、待っていたのはバロンのギロチン。これがガッチリと極まり、マッハはまさかの一本負けを喫してしまった。
 バロンはこれで世界1位にランクアップすることが確実で、世界王者・青木真也への挑戦の可能性が高まった。逆にマッハは修斗の世界王座返り咲きが遠のくとともに、7月に予定されている初代DREAMウェルター級王座決定戦に向け、悪印象を残してしまった。

第5試合 ライト級 5分3R
田村彰敏(総合格闘技津田沼道場/世界2位・環太平洋2位)
×佐藤ルミナ(roots/世界5位・環太平洋8位)
3R 2'37" 一本 (ノースサウスチョーク)

 1R、田村が外掛けでテイクダウンに成功。ハーフからパスガードを狙った際、ルミナがブリッジで脱出を試みるが、田村はすぐさまバックに回り込みチョークを狙う。ルミナは立ち上がって田村を背負ったまま自軍コーナーまで歩き、体を揺らして田村を落とそうとするが、田村はオンブの状態をキープし、執拗にチョークを狙い続ける。

 ポイントを先取されたルミナだが、2Rに入ると猛反撃。ルミナが左フックを当てると田村が引き込み、足を昇らせつつ腕十字を狙うが、試合前からこの展開を十分警戒していたルミナは、右手を取られながらも強烈な左のパウンドを連打。すると田村の右まぶたがふさがり、膠着ブレイク後にドクターチェックが入る。ストップがかかっても不思議ではないほど腫れ上がったが、視界はふさがっていなかったようで試合は続行。

 すると今度は田村が右のストレートをきっかけに反撃。組み付くルミナを潰して上になると、パウンドをラッシュ。場内は悲鳴と歓声に包まれる。ポイントは2R終了時点で五分だが、流れは完全に田村だ。3R、パンチラッシュからの飛び膝蹴りでルミナをダウン気味にマットに倒すと、パウンドのラッシュ。ルミナも横三角絞めで田村を捕獲し、田村の腫れた右まぶたに鉄槌を落とし必死で反撃する。田村もマウスピースを吐き出し苦しそうだが、振りほどいてサイドポジションへ。さらに上四方に回り込むと、打撃のダメージで余力の無くなったルミナにノースサウスチョークを極める。しばらく耐えたルミナだが、最後はタップした。

 敗れたルミナは、ガックリと肩を落として退場したが、試合前に話していた「勝っても負けても自分らしい試合をしたい」という願いは、120パーセント達成できた名勝負だった。なおかつ前世界王者の田村をレフェリーストップ直前まで追い込んだことで、まだトップ戦線で十分戦える実力があることも証明できた。敗れた田村も、不屈の闘志と最終的に結果につなげることのできる確かな技術で、改めて強さを証明した。そして、世界的な選手争奪戦が始まった65kg戦線で、老舗のプロ修斗の底力と意地を見せつけられた試合でもあった。


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第4試合 ライト級 5分2R
×リオン武(シューティングジム横浜/世界1位・環太平洋王者)
セバント・ヤング(米国/ボディショップ・フィットネス・チーム)
判定0-3 (若林18-19/鈴木18-19/菅野18-19)
※2R場外逃避でリオンに減点1

 1R、リオンはヤングのブンブンパンチを見切り、右ストレートを当てた後、テイクダウンに成功。パウンドを落としてポイントを奪う。2Rも右ローを着実に当て、優勢を維持したが、膝蹴りを空振りした際にスリップ。上になろうとしたヤングをタックルで止めようとしたところ、ギロチンチョークでつかまってしまう。シュートサインも出たが、リオンは立ち上がった際に場外に飛び出てしまい、逃避行為とみなされ減点1に。結局これで2Rに計2ポイント失うこととなり、まさかの逆転判定負けを喫してしまった。

 
第3試合 バンタム級 5分3R
漆谷康宏(和術慧舟會RJW/世界2位)
神酒龍一(GUTSMAN・修斗道場/世界10位)
判定0-1 (鈴木29-29/横山28-30/菅野29-29)

 試合は終始スタンドの打撃戦。漆谷が得意のアウトボクシングで、左ジャブを中心とした手数で上回るが、神酒は1、2Rともバックハンドブローの奇襲と左ストレートで中盤以降に盛り返し、その先の詰めに欠けるという展開に。2Rややや優位だった神酒は最終ラウンド、叫び声をあげ己を鼓舞しつつ、右ストレートを当て殴り合いに持ち込むが、あと一歩及ばず。惜しくもドローに終わったものの、会場を沸かせてみせた。

 
第2試合 ウェルター級 5分2R
遠藤雄介(GOKITA GYM/世界3位・環太平洋2位)
×ビンス・オーティズ(メキシコ/ボディショップ・フィットネス・チーム)
1R 3'34" テクニカル一本 (レフェリーストップ:チョークスリーパー)

 パンチの打ち合いで、先に右ストレートをもらってダウンを喫した遠藤だったが、逆に右ストレートでダウンを奪い返す。そしてフラフラのオーティズのバックを奪い、チョークを極め逆転勝ちに成功した。

 
第1試合 ウェルター級 5分3R
ベンディ・カシミール(フランス/オウ・テンション/世界7位・欧州王者)
×佐々木信治(総合格闘技道場BURST)
判定3-0 (鈴木30-27/菅野29-28/横山30-29)

 佐々木は下になると得意のオモプラッタや三角絞めを仕掛けるが、カシミールはそのたびに叩き付けて脱出。佐々木が上になってもブリッジで返し、強力なパウンドを落とす。3R終盤、佐々木はオモプラッタを極めかけるが時間切れ。初の大舞台で見せ場をたっぷり作ったが、結果にはつながらなかった。


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◆オープニングファイト

第2試合 ライト級 5分2R
碓氷早矢手(和術慧舟會RJW)
×粕谷さかえ(SHOOTO GYM K'z FACTORY)
判定2-0 (古方20-19/若林19-19/鈴木20-18)

第1試合 フライ級 5分2R
田原しんぺー(総合格闘技STF)
×室伏カツヤ(roots)
2R 0'46" TKO (レフェリーストップ:左まぶたのカット)

Last Update : 05/04 20:07

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