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(レポ&写真) [新日本キック] 1.25 後楽園:武田、不発弾にア然もK-1向け100%の復活

新日本キックボクシング協会 "ONWARD OPERATION 〜進攻〜"
2004年1月25日(日) 東京・後楽園ホール

  レポート:井原芳徳(武田戦・建石戦),小林秀貴(その他) 写真:湯本恵子  【→掲示板スレッド】

第13試合 メインイベント 日墨国際戦 -70kg契約 3分5R
○武田幸三(治政館/元泰国ラジャダムナン・ウェルター級王者)
×ホセ・ダイナマイト・ガルシア(メキシコ/スーパーウェルター級)
1R 0'25" KO (右ローキック)


 昨年9月の完敗後、涙の休業宣言をした武田の復帰戦の相手は、メキシコの無名のボクサー・ガルシアだ。19戦13勝(8KO)3敗3分で、キックボクシングの経験も少々あったようだが、ゴツい上半身に対して際立つのが足の細さ。悪い予感は的中し、ゴング早々、武田の挨拶がわりの右ロー一発で、ガルシアの膝が沈む。続けざまに武田がローを数発連打すると、ガルシアは悲痛の表情でマットに倒れ、そのまま立ち上がることができず。その間わずか25秒。超満員の観衆からは怒号も飛んだが、武田がマイクを持ち、「2月のK-1頑張ります」とK-1 MAX日本代表決定トーナメント出陣を正式表明すると、歓声に一転。何はともあれ元気な姿を見せてくれた武田を皆が祝福した。

 ダイナマイトどころか、とんだ不発弾をつかまされた武田だったが、控室ではサバサバとした様子。「しょうがないですね。気合入ってたんですけど。入場の時から9月と違ったと思いますけど、わかってもらえました? 心も体も充実して。今日は顔見せって形になっちゃいました」「(休んでいる間に)試合に向けての体の作り方が凄い勉強できました。試合では勉強できませんでしたけど、練習は100点でした。去年は100%でリングに上がったことが無かったので」「去年はK-1に外様意識がありましたけど、今年はK-1一本で。協会の試合は(長江)先生と相談して」。魔裟斗が予選に出ないことについて聞かれると「彼は今の段階では完全に世界一ですからいいと思います。彼に挑戦する権利を得るには2月に勝たないといけない」
 さらに武田は何かを思い出したように語り続ける。「でもなんだろう?K-1はトーナメントですけど、初心に帰って、KO狙いでね、一回戦で足が壊れてもいい戦い方はするつもりです」。しかし今の武田はただガムシャラに突っ走るだけではない。「明後日、日本プロスポーツ協会のキック部門の功労賞の表彰もあるし、2日間休みます。そういうのも去年で勉強したんで。スパーリングでも打たれて飲めなかったから、酒飲みます」と笑顔を見せる。K-1の後に味わう酒は、文字どおり勝利の美酒となるか? 次の闘いに向けての一日は、休息から始まる。

第12試合 メインイベント 日本ウェルター級タイトルマッチ 3分5R
×北沢 勝(藤本/王者)
○米田克盛(トーエル/1位)
判定0-3 (49-50,47-50,49-50)
※米田が新王者に


 ともにキャリア十分の両者。王者対1位の対戦は、逆の立場で戦った2年前の再戦。老獪なコンビネーションで翻弄する王者・北沢に対し、左眉尻カットという大きなアクシデントを背負った挑戦者・米田がまさに根性を見せつけ、王者に返り咲いた。
 1R、ともにワンツースリーからローキックにつなげるコンビネーションの打ち合いから始まった。米田が左フックを当てれば北沢は左アッパーで応戦するなど、打ち合いは互角。直後の首相撲でもほぼ互角。攻撃のバリエーションでやや北沢が上回るか。
 2R、遠めの間合いからワンツーローを放つ北沢に対し、米田は右ストレートを当てたのをきっかけに、左右の連打を浴びせる。米田の左フックと右ストレートで、北沢はいつダウンしてもおかしくない状態まで追い込まれたが、首相撲で何とか持ちこたえた。

 3R、肘打ちの応酬から接近してのヒザを当てる北沢。しかし首相撲ならタイ人相手の実績に勝る米田も負けてはいない。北沢は右まぶたをカット。その後も両者はヒジの打ち合いで一発を狙い合った。
 4R、左右ハイの連打、組み付いてのヒザ蹴りなど、多彩な攻撃を見せた米田だが、北沢も接近戦での左フック、右アッパーをリズミカルに当てていく。
 そして運命の5R。ワンツー、ローと両者の攻撃が交錯するが、残り1分で米田は左眉尻を大きくカット。傷はドクターが「前のラウンドだったら止めていた」というほど深く大きかったが、最終ラウンドの終盤だからこその試合続行。その後は米田が北沢に傷口を触られまいと必死の反撃。北沢はやや押されて試合を終え、目前の勝利を逃した格好となった。
 判定は3-0だったが、米田は傷の状態から言えば薄氷の勝利。セコンド陣、関係者のよろこびもひとしおだった。
◆米田「やっと勝てた、という感じですね。今日相手より上回っていたのは気合い、それだけです」

第11試合 メインイベント 日本フライ級タイトルマッチ 3分5R
○建石智成(尚武会/王者)
×深津飛成(伊原/1位)
判定2-1 (50-49,50-49,49-50)
※建石が王座防衛


 昨年3月のタイトルマッチの再戦にして、通算5度目の激突。両者の対戦成績は深津の2勝1敗1分。デビューの早かった深津を、建石がじわじわと追い上げ、ついに昨年追い越した。今年の二人の距離は伸びるか縮まるか?
 中盤までは深津のペース。重い左フックが建石の顔に何度も炸裂する。なかなか自分の距離で戦うことができなかった建石。だが、ダメージはさほどなく、気持ちも落ち着いていたといい、セコンドのアドバイスもしっかりと聞きながら3R後半からばん回。4Rにはパンチの連打が当り始める。5Rは建石がパンチの連打を当てれば、深津がすぐさま左フックをお返しするという展開が何度か繰り返される。一進一退の攻防のまま、試合は終了。

 判定は割れた。深津の1、2Rの左フックは3者とも評価しなかった。深津に軍配を上げた北沢ジャッジは、4Rのみ9-10で深津を評価した。建石に軍配を上げた稲田&深瀬ジャッジは、5Rのみ10-9で建石を評価した。この日は第5、6試合でも判定2-1。ジャッジ間の意志にばらつきがあるようでは、選手たちが気の毒だ。とはいえ、2-1というアンバランスな結果が、妙にこの二人には似合ってしまう。前々回は1-0、前回は2-0。KOや3-0でなかなか白黒が付かない間柄だ。
 とにかくこれで両者の対戦成績は2勝2敗1分の五分となった。控室で建石は「やっとチャンピオンになれた感じです」とつぶやいたが、まだ建石は深津という強烈なキャラクターとのセットで語られがちな存在だ。深津抜きで建石のキャラが一人立ちした時、彼は真の意味でのチャンピオンになったと言える気がする。その意味では、まだ建石は深津を追い越せていない。

第10試合 セミファイナル -58kg契約 3分5R
○菊地剛介(伊原/日本フェザー級王者)
×那珂成貴(トーエル/日本フェザー級7位)
3R 1'58" KO (3ダウン:右ローキック)
※那珂は2Rにもダウン2あり


 1R序盤、気合いの入った表情の菊地の周りを、那珂(なか)が回りこんでチャンスを窺う展開から始まる。菊地は前蹴りから右ロー、ワンツーと攻撃を仕掛ける。ぐらつく那珂。その後も時折ワンツーで有効打を見せた菊地。那珂も左ミドルで返していったが有効打には至らない。菊地はタイミングよく前蹴りを放つことでペースをつかんだ。
 2R、ロー、ミドル、ワンツーと力のこもったコンビネーションを見せる菊地に対し、左ミドルから反撃を試みる那珂。しかし逆に左ローでダウンを喫してしまう。菊地はさらにワンツーローと攻めたて、2度目のダウンを奪った。那珂が気力で左ミドルを返したところでゴング。
 奥足を根こそぎ刈り取るような菊地のローキックは3Rもうなりを上げた。何とか組み付き、押し倒す那珂だったが、有効な反撃につなげることはできなかった。菊地の右ミドルからの左ローで痛がる那珂。チャンスに左ローを連続で叩き込み、3ダウンを奪った菊地は、王者としての貫禄を見せつけた。

第9試合 -68kg契約 3分5R
○シン・ノッパデッソーン(伊原/泰国ラジャダムナン・Sライト級王者)
×金狼正巳(尚武会/日本ウェルター級9位)
2R 0'54" KO (左ストレート)
※金狼は1Rにもダウン1あり


 昨年伊原道場に籍を移し、新日本キックへの本格参戦を仕掛けた現役ラジャ王者のノッパデッソーン。ムエタイ100勝。その分厚い背筋から身体能力の高さを窺わせる。対する金狼は昨年11月のHIROKAZU戦が認められての抜擢となったが、格の違いを見せつけられた。
 1R、両者向かい合った状態でいきなり笑みを浮かべるノッパデッソーン。直後に放った左ミドルこそスウェーでかわした金狼だったが、ノッパデッソーンが保つ間合いに入っていけない。その後も左ミドル中心に攻めたてるノッパデッソーン、終盤には右ハイで金狼からダウンを奪った。
2R、ノッパデッソーンの左フック―右ハイへのコンビネーションで金狼ダウン。立ち上がり、打ちに出てた金狼だったが、待っていたのはタイミングのいい左ストレート。ノッパデッソーンが見事KOで実力差を見せつけた。

第8試合 バンタム級 3分5R
○岡田武士(トーエル/2位)
×風神和昌(野本塾/3位)
4R 2'01" KO (3ダウン:膝蹴り)


 ランキング2位と3位が争ったこの試合はバンタム級次期挑戦者決定戦とされ、勝った岡田が王者・加村健一への挑戦権をもぎとった。
 1R、風神は鋭いワンツーからのローキックを打ち込むが、岡田も右ミドルで応戦。岡田は一気に間合いを詰めての右ヒジ打ちを積極的に狙っていった。
 2R、風神陣営は岡田のヒジ狙いを感じたのか、セコンドから「左手(のガード)を上げろ」の指示。パンチ主体の風神とヒジ、ヒザ中心の岡田の攻防は両者決め手を欠く。
 3R、岡田は右ミドル、ハイ、左ミドルの連打。風神も左右のロングフックを当てていった。終盤、岡田のバックブローを風神がキャッチし、組み付いたところでゴング。
 4R、岡田の左ヒザ蹴りが風神のボディーに突き刺さると、岡田がコーナーに詰めてパンチのラッシュを畳み掛け、風神がダウン。何とか立ち上がった風神だったが、再び首相撲からヒザを食らい2度目のダウンを喫する。最後は岡田がヒザ蹴りの連打から風神を押し倒すような形となり、3ダウンKOで決着した。


第7試合 ライト級 3分5R
○朴 龍(市原/2位)
×鈴木 敦(尚武会/7位)
判定3-0 (50-47,50-47,50-49)

第6試合 -52kg契約 3分5R
○がってん古川(治政館/日本フライ級4位)
×ソムヨット市原(タイ/市原/フライ級)
2R終了 TKO (タオル投入)

第5試合 ウェルター級 3分4R
×中澤 賢(治政館)
○関ナオト(宇都宮尾田)
判定1-2 (39-40,40-39,39-40)

第4試合 フライ級 3分3R
×池田茂由(伊原)
○村松敬祐(誠真)
判定1-2 (28-29,30-29,29-30)

第3試合 ウェルター級 3分3R
×岡本弘之(市原)
○ウン・ソップ(トーエル)
判定0-3 (29-30,28-30,29-30)

第2試合 ウェルター級 3分3R
×小林祐典(藤本)
○SHINGU(治政館)
判定0-2 (30-30,29-30,29-30)

第1試合 ミドル級 3分3R
○上杉亜紀斗(宮川)
×藤 武蔵(藤)
判定3-0 (29-28,29-27,29-28)

Last Update : 01/27

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