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(レポ&写真) [K-1 MAX] 7.5 さいたま:魔裟斗、クラウスにリベンジし世界制覇!

K-1事務局
"K-1 WORLD MAX 2003 〜世界一決定トーナメント〜"

2003年7月5日(土) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
入場者数:15,600人(満員)

  レポート&写真:井原芳徳
  コメント編集:今野麻夕子
  【→大会前のカード紹介記事】
  [→掲示板・キック&K-1 MAXスレッド]

第9試合 トーナメント決勝戦 3分3R
○魔裟斗(日本/シルバーウルフ/日本代表)
×アルバート・クラウス(オランダ/ブーリーズジム/昨年GP王者)
2R 2'26" KO (左フック)
※魔裟斗が優勝。賞金1,000万円とKO賞60万円を獲得


 3度目の対決となったが、魔裟斗が的確なパンチをクラウスの顔面とボディに何発も叩き込み、クラウスが後ろにひるむこと数回。クラウスのパンチを浴びつつも、攻め手は緩まず。2R、会場が魔裟斗コールに包まれると、魔裟斗のハートに火が着いたのか、打ち合いを制し、渾身の左フック。大の字でマットに倒れたクラウスは、10カウント以内になんとか立ち上がるが、足元がふらついており、島田レフェリーは試合をストップ。魔裟斗が悲願のK-1世界制覇を成し遂げ、リング上でうれし涙を流した。

◆魔裟斗「世界一になった実感はまだない。今はプレッシャーや練習の毎日から開放されてうれしい。勝って泣いたのは初めて。
 相手のパンチを受けてから返す練習をボクシングのトレーナーから受けていて、今日はそれが出せた。今回は練習を減らして、体がつらいときは休むようにした。クラウスのパンチが見えたし、前より痛くなかった。相手のパンチを殺せるようになったかもしれない。最高の形でリベンジできた。
 (ザンビディスとの)1回戦はパンチでいこうと思ったが、パンチが当たる気がしなかったしカウンターをもらいそうだったので、ヒザとローで攻撃した。ちょっと前に出てよける練習をしていてパンチがアゴでなく首に当たったので、試合後は首が痛かった。ボディの攻撃をもらったがダメージはなかった。でも試合後に血尿が出た。
 (サゲッダーオとの)2回戦は相手がムエタイの選手だったので、ヒザ蹴りで来ると思った。疲れるのでそれには付き合わないようにした。組んできたら突き放すつもりだった。アッパーを狙っていたので、狙い通りだった。決勝はローでいこうと思ったが、このままいったら負けると思い、パンチでいってみた。」

◆クラウス「今日の結果は予想と違っていた。勝てる手ごたえがあったのに残念。体調が良かったので、試合を軽く考えていたのかもしれない。魔裟斗選手は前回と変わらない。自分が注意していないときにやられた。足に負担をかけてもいけないので、決勝ではパンチで攻撃した。試合のビデオを観てないのでわからないが、レフェリーの判断についてはコメントを控えたい。でも自分としてはカウント8で立ち上がったのでもっと戦いたかった。」

第7試合 トーナメント準決勝 3分3R
×ドゥエイン・ラドウィック(米国/3-Dマーシャルアーツ/北米大陸代表)
○アルバート・クラウス(オランダ/ブーリーズジム/昨年GP王者)
3R 1'33" KO (左フック)


 序盤からパンチで優勢のクラウスは、膝蹴りでバランスを崩したラドウィックにフックを叩き込みダウンを先取。2Rもボディブローでダウンを奪い、3Rは強烈な左フックでアゴを打ち抜き、ラドウィックをマットに沈めた。

◆ラドウィック「トーナメントで1勝できてうれしい。世界強豪選手の中の1人に選ばれて光栄に思っている。
 武田選手選手の試合前の印象は、強くて技術のある選手だと思っていた。試合後は、パンチの力があり、特にヒザの攻撃がよかったと思った。自分はパンチを返して勝つことができた。武田選手はムエタイ選手でガードがかなり下がっているので、アゴを狙っていこうと思った。
 クラウス選手はパンチが非常に強かった。攻撃をかわそうと思ったが、パンチを受けてしまい、負けてしまった。機会があればリベンジしたい。
 今後はK-1と総合を両方やっていきたい。オファーがあればどんな試合でもやりたい。確定していないが、9月にサワー選手とシュートボクシングで
試合をするという話もある。K−1とUFCでは、UFCの方が合っていると思う。須藤選手と戦いたい。」

第6試合 トーナメント準決勝 3分3R
○魔裟斗(日本/シルバーウルフ/日本代表)
×サゲッダーオ・ギャットプートン(タイ/K.T.ジム/アジア代表)
2R 2'55" KO (2ノックダウン:右アッパー)


 1回戦の体力消耗度を考えれば魔裟斗が不利かと思われたが、1Rから右ローを効かせ、左右のストレート、アッパーでサゲッダーオを圧倒。2R残り30秒、打ち合いを制し左フックでダウンを奪うと、最後は強烈な右アッパーでサゲッダーオをマットに沈めた。サゲッダーオがK-1ルールに慣れていないことに関係なく、魔裟斗の強さが際立つ試合だった。

◆サゲッダーオ「K-1に参戦できてとてもうれしい。出場が急に決まったのであまり準備できなかった。そのため、身についている肘の攻撃をつい出してしまった。準備期間が十分にあれば今日よりもよい試合ができた。
 対戦した魔裟斗選手がチャンピオンになったのでとてもうれしい。先ほど病院に行ってきたが大丈夫。魔裟斗選手のキックがとても高くて負けてしまった。今まで自分が戦ってきた日本人選手の中で、魔裟斗選手は技術が一番高いと思う。パンチが非常に重かった。今後も機会があればぜひK-1に参戦したい。」

第5試合 トーナメント一回戦 3分3R
○アルバート・クラウス(オランダ/ブーリーズジム/昨年GP王者)
×アンディ・サワー(オランダ/リンホージム/ヨーロッパ・ロシア&シュートボクシング代表)
1R終了 TKO (ドクターストップ:左まぶたのカット)


 元同門対決となったが、クラウスが兄弟子のサワーをフックの連打でひるませると、パンチラッシュの末、右ストレートでスタンディングダウンを奪取。かろうじてラウンド終了まで持ちこたえたサワーだったが、まぶたのカットと出血が激しくドクターストップ。クラウスが準決勝に進んだ。

◆サワー「負けてしまって非常に残念に思っている。クラウス選手の肘が当たったのできれいな試合ではなかった。K-1、シュートボクシングに関係なくリベンジしたい。拳ではありえないほど傷が長いので、肘または腕の骨の硬い部分が当たった傷だろうとドクターが言っていた。拳が当たるフックではなく腕の側面が当たる変形したフックだと思う。
 クラウス選手は二度目の出場なのでおそらく緊張していないが、自分は必要以上に緊張していた。クラウス選手はパンチで前に出て来るとわかっていたので、1Rは引いてポイントで攻めて、2Rから前に出て攻撃する作戦を考えていた。クラウスはボクシングの技術が長けているが、自分はボクシングとキックの技術が優れているので、完璧に近いと思う。1Rはウォームアップのつもりだったので、40%ぐらいの実力しか出せなかった。ケガ以外では体のダメージはない。
 今回、負けてしまってファンの方々に大変申し訳ない。去年はトーナメントに出られなくて残念だったが、今年は参戦できてうれしかった。しかし、このような結果になってしまい残念に思っている。来年は勝利を見せたい。」

第4試合 トーナメント一回戦 3分3R
×武田幸三(日本/治政館/主催者推薦)
○ドゥエイン・ラドウィック(米国/3-Dマーシャルアーツ/北米大陸代表)
2R 0'46" KO (左フック)


 ラドウィックがロー、ミドル、膝で攻勢。武田はクリンチで注意1を受ける。調子は良かったというが、武田はなかなかリズムをつかめず、2Rの打ち合いで左フックをアゴにもらいノックアウト負け。去年5月のサゲッダーオ戦に似た負け方で、今後に不安を残す結果となった。

◆武田「1R30秒に金的をもらってから憶えていない。控え室に行って初めて我にかえった。ローが当たったのは憶えている。パンチが当たるのがわかって『いけるな』と思った。相手がコントロールできたので大丈夫だと思っていた。額が切れたのはパンチだと思う。
 負けてしまったことはくやしいが、あっけなかった。自分らしいと言えば自分らしいが・・・ディフェンスを考え直さなければならない。選手生命が長いわけではないので、集中してやらないとまた同じ結果になってしまう。時間を大切に使って練習したい。
 K-1は自分に合っている。これで終わったら恥ずかしい。一番の敗因は、調子がよくて自分の攻撃が当たるため、ディフェンスをあまり考えていなかったこと。狙いすぎた。距離感が合っていたのでKOを狙える自信はあった。いけると思った。」

第3試合 トーナメント一回戦 3分3R
○サゲッダーオ・ギャットプートン(タイ/K.T.ジム/アジア代表)
×マルフィオ・カノレッティ(ブラジル/シッチマスターロニー/南米大陸代表)
判定0-3 (29-30,28-30,29-30)


 サゲッダーオはムエタイの癖で肘打ちを再三放ってしまい、1Rに警告1、2Rに注意1を受ける。慣れないK-1ルールに手こずり、動きがぎこちなかったが、それでもハイ、ミドル、膝蹴りの手数で上回り、カノレッティにほどんど何もさせないままきっちり判定勝ちをおさめた。

◆カノレッティ「K-1初参戦だったが、自分の居場所がここであるようないい気持ちで試合ができた。娘が一緒にいてくれたので、なおさらそのように感じた。体調はとてもよかった。ケガもない。(サゲッダーオの反則の)肘を二度受けて集中力が欠けた。肘の攻撃がなかったら魔裟斗選手と戦えたかもしれない。魔裟斗選手はすばらしい選手で、反則のないきれいな試合をするので戦いたかった。
 試合後、娘にトーナメントに進めないことを謝った。娘はあれ(=肘)は反則だよねと言ってくれたので救われたような気がした。もう一度参戦する機会を与えてほしい。反則技をしない選手ときれいな試合をしたい。(お嬢さんのジョバナちゃん・6歳に質問/お父さんの試合はどうでしたか?)とてもいい試合だった。」

第2試合 トーナメント一回戦 3分3R
○魔裟斗(日本/シルバーウルフ/日本代表)
×マイク・ザンビディス(ギリシャ/メガジム/オセアニア代表)
判定2-1 (御座岡29-28,中川28-29,後川29-28)

※1R(10-8/10-9/10-8),2R(10-9.5/9-10/10-10),3R(9-10/9-10/9.5-10),計(29-27.5/28-29/29.5-28)
※端数は29.5の場合は29に繰り下げ、28.5または27.5の場合は29または28に繰り上げ

 ザンビディスの強烈なフックとボディに序盤から手を焼いた魔裟斗だが、ボディへの膝一撃で形勢逆転。コーナーに下がったザンビディスが隙を見せると、すかさずダッシュし飛び膝をザンビディスの顔面に叩き込み、ダウンを先取する。
 しかしザンビディスのダメージは少なく、すぐに体力回復。魔裟斗はローと首相撲からの膝蹴り中心で攻めるが、ザンビディスは2R後半からフックとボディで猛反撃。何発も強烈なパンチを浴びた魔裟斗は、この試合後血尿を出したほどだったが、驚異的な打たれ強さとディフェンス能力を発揮し、一度もダウンしないまま試合終了。
 判定は割れ、2-1で魔裟斗に軍配。1Rに奪ったダウンのポイントで逃げ切る格好となった。だが試合直後の会場は歓声とブーイングが半々。結局その後魔裟斗は勝ち進みトーナメントを制したわけだが、一回戦はドローが妥当だったのではないかという意見も多く聞かれた。通常のワンマッチでの完全決着を期待したい。

◆ザンビディス「とてもよい試合ができた。魔裟斗選手が勝ったのは間違いない。1週間前に胃炎で3日間入院して点滴していた。ベストが70kgだが体重が減ってしまい、日本では68kgだった。体力が60〜70%しかなかったので、体調が良ければもっとよい結果が出せたと思う。1・2Rに膝蹴りを受けたが効いていない。右ローを受けたが、足を鍛えているので左足は問題ない。体調が良ければ、2・3Rにパンチをもっとたくさん出せたと思う。魔裟斗選手の弱いところにパンチすることができなかった」


第1試合 リザーブファイト 3分3R
○安廣一哉(日本/正道会館)
×ヴィアチェスラヴ・ネステロフ(ロシア/極真会館)
判定3-0 (30-27,30-27,30-27)

 安廣が2R右ストレートでダウン奪取。3R終始試合のペースを握り完勝した。

第8試合 スーパーファイト 3分3R
×大野 崇(日本/inspirit)
○セルカン・イルマッツ(トルコ/チーム・ソラック)
判定0-3 (28-29,28-29,28-29)

 急遽出場したイルマッツだったが、これが掘り出し物のキャラクター。テコンドー、散打、カンフー、ムエタイ等、多彩な打撃格闘技の経験があり、豪快な回し蹴りを序盤から披露。実にわかりやすいアクロバチックなファイトで、決勝戦を待つファンのハートをつかむ。だが決してアマ150戦全勝の戦績は伊達ではなく、1Rに左ストレートでダウンを奪取。2R以降はさすがに攻め疲れ、大野のストレートの反撃を浴びたが、なんとか逃げ切り、151勝目(正確かは微妙だが…)をマーク。ワールドMAXの優勝戦線に絡むにはやや実力不足だが、ワンマッチでなら須藤元気あたりとのトリッキー対決も見てみたい気がする。3月大会でもザンビディスが鮮烈デビューを果たしたように、テレビで放映されない試合が意外と面白いのが、MAXシリーズの会場観戦のだいご味だ。

Last Update : 07/07

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