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(レポ&写真) [コンバットレスリング] 3.23 町田:五味MVP。ルミナ、ライト級転向宣言

日本コンバットレスリング協会 "第9回全日本コンバットレスリング選手権大会(協会設立10周年記念)"
2003年3月23日(日)東京・町田市総合体育館メインアリーナ

  レポート:新小田哲,井原芳徳(ルミナ戦のみ) 写真:井原芳徳

  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・組技スレッド] [→修斗スレッド]

◆ -74kg級(32名エントリー/30名出場)
1位 五味隆典(木口道場レスリング教室)
2位 三宅靖志(MAXERCISE)
3位 小谷宏明(ロデオスタイル)
3位 富山浩宇(P's LAB横浜)

 最激戦区の74kg級は結果的に、大本命の一人舞台となった。
 修斗世界ウェルター級王者・五味はまずは1回戦をチョークスリーパーで秒殺突破すると、2回戦の瀧口伸哉(P's LAB東京)戦ではオリジナル技「毒蛇」を披露(写真)。極める位置は違うが、3年前のコンバット決勝でルミナの使った技にも似ている。そして3回戦、準決勝もいずれもチョークで連続一本勝ちと全く危なげのない内容。準決勝の小谷宏明戦では豪快な後方への投げを見せるなどして順当に決勝に進出した。

 一方のブロックから上がってきたのは第4回大会の覇者でオリンピックレスラーの古豪・三宅靖志。1、2回戦こそ強力な抑え込みで完勝したが、3回戦の花井岳文(養正館)戦で大ダメージを負ってしまう。花井は昨年大会、今成正和との「脚関十段」対決で名を馳せた選手。その異名のとおり1、2回戦を脚関節で勝利して勝ち上がってきた。序盤三宅が抑え込みで4Pを奪うが、花井はヒザ十字、ヒールホールドで反撃。なんとかこれを凌いで逃げ切った三宅だったが、右ひざのダメージは「次の試合を棄権も考えた」というほどだったという。準決勝の富山浩宇戦で今度は左ヒザを狙われる。タイムアップ直前に抑え込みに成功し勝利した三宅だが、立ち上がるのもつらそうな表情を見せ、ダメージの大きさを伺わせた。

 三宅と五味は99年のコンテンダーズで初対戦、この時は三宅が勝利している。だが昨年4月の木口道場主催興行では五味がリベンジ。今年39歳の三宅に対し24歳の五味は修斗王者として充実一途。決勝までの道のりを見ても勢いの差は明らかだった。
 五味のタックルをがぶる三宅だが五味は鋭い切り返しで反転、バックを奪う。今大会初めてガードの体勢に入る三宅を五味はあっさりとパスし抑え込みへ。しかしあくまで一本を狙う五味はあえて30秒経過前にバックポジションに以降し、チョークに捕らえ2分52秒、三宅からタップを奪った。

 もう一人の注目エントリー選手、佐藤ルミナ(本名の留美奈でエントリー)は、18日の修斗後楽園大会のヨアキム・ハンセン戦で大量のパンチを浴び敗れたため、出場が危ぶまれていたが、「木口先生(コンバットレスリング協会会長)にお世話になっているし、(コンバット10周年に)花を添えたかった」といい、出場を決意。過去MVPに4度輝き、開会式で最高殊勲選手表彰もされた「ミスター・コンバットレスリング」としての威信もあったのだろう。だが体調不良は隠せず、二回戦で惜しくも敗退した。
 一回戦は柔道講道館杯7位の櫻澤正己(フリー)の飛びつき三角絞めの奇襲を退け、51秒でヒールホールドを極める速攻でルミナらしさを発揮。だが、二回戦の稲野岳(RIO TOKYO柔術クラブ:写真右)に苦戦。稲野はキングダム時代に「U系柔術」の異名を取った選手で、セコンドには2年前の決勝でルミナに敗れた今成正和がついた。消極性を取られるギリギリのところでルミナのプレッシャーをかわし延長に持ち込み、テイクダウンで2ポイントを先取しまさかの金星。ルミナは「やりにくい選手だった。初めてやるタイプ。不思議な感じの強さだった。いい選手だと思う」と稲野を評したが、本調子なら間違いなく勝てた相手。稲野は次の準々決勝で富山浩宇に1-0で敗れた。ルミナは修斗の試合に向け「立ち技主体の練習で、寝技の練習不足だった」とも語ったが、「出場は朝ぎりぎりまで悩んだ。思うように体が動かなかった。後半になると動けない。ホワーンとしていましたね」と話すように、延長では力尽きてマットに尻餅をつくという感じだった。
 また、ルミナは6月27日の修斗・広島サンプラザ大会で「試しに一回ライト級に落としてみる」と宣言した。ルミナは現在修斗ウェルター級 (-70.0kg)で戦っているが、「頑張って食べても73キロまでしか増えない」という体格で、ライト級(-65.0kg)転向を薦める声が以前から多かった。「65まで落とせるかわからないけど、落とせたらパワー負けしない。絶対勝てる」と語るルミナ。広島で復活なるか?楽しみにしたい。

 他にも朴光哲は1回戦、川勝将軍(三郎)は2回戦で敗退している。

◆五味コメント
「(全て一本勝ちという結果については)先生がMVP獲れって言うから。何でも出来るんで(笑)。やっぱり勝つだけより、(一本を)獲りにいくのは違いますね。判定勝ちならもうちょい楽に出来たかもしれないですけど。
 新しく開発した(準々決勝の)チョークスリーパー、いいですよね。今日初めて実戦で試したんですけど、意外と。変形オモプラッタみたいな形で。
 (セコンドの)元ちゃん(須藤元気)とスパーはやってるんですけど喧嘩ばっかりで。同期だとどうしても壊しにいっちゃうんから。元ちゃん大変だと思いますけど。須藤元気を認めたときに初めて自分も素直になれると思うんで。元ちゃん風に言うと(笑)。お互いないものを持ってるので、競い合いながら。
 2月の後楽園は(昨年12月の)NKの貯金なんで、一年のスタートって感じじゃないんですよね。通常のレベルで試合するっていうことで。やっぱりコンバット始まらないと、1年の始まらないなってところもあるので。ここから上げていければいいですよね。いろんな相手が今年も待ってると思うので、ガンガン気持ちを上げて行きたいと思います。
 ファンの人もそうだし、自分もそうなんですけど、正直、今自分が国内のリングに上がってもまたかよって思われるのもイヤだすけど、ヨアキム・ハンセンとか人の試合見る事ですごくモチベーションはすごく上がりましたね。年末にはシャオリンも控えてるでしょうし。ただやっぱり、自分のトレーニングの為には年に1回でも2回でも出てやりたいですよね。また違ってくると思うので。楽ですよね、国内でやるっていうのは。
 UFCの方はわかんないですよね。ダメならダメで自分はいいマッチメークでやっていく自信はあるんで。国内でも最高の試合をやっていきます。自分が上がれるリングは必ずあると思うんで。(UFCのイメージについて)宇野選手ドローでしたから、なんともいえないですね。自分は口出ししないし、向こうが呼んでくれれば是非やりたいですね。やるならタイトル、ワンマッチでやりたいですね。
(その辺の話は須藤選手としますか?)しますけど、誰でもチャンスもらえるし、どう転ぶか分からない世界なので、相談したところでどうにもならないし。なかなかおいしいことありそうでなかったり、意外とおいしかったり、そんな世界ですよ。人をうらやましがりながらやっても(しょうがない)。自分はチャンピオンの仕事をしていくだけです。
(2回戦の新技は?)出来る技はなんでもやろうと思って。いやー、効きましたね、ていうか極まりますねアレ。痛いんじゃないですかね?(練習ではやらないでしょ?)チョークスリーパーもやらないんで(笑)
(準決勝の投げは)投撃が理想なんで。ティトもやりましたけど、叩きつけて。木口先生がよく言ってるんですけど、危ない角度でKO出来れば一番いいなと言ってるんで。腕取られながらなんで全然違いますよね。マット・ヒューズもそうだし、ティトもそうなんですけど、そのくらいのパワー欲しいですよね。オクタゴン硬いみたいなんで、笹本さん(木口道場出身のレスリング五輪強化選手)には及ばないですけど。まあいろいろ技を披露したんじゃないでしょうか。

◆三宅コメント
「脚は取られたらしょうがないんですけど、準々決勝(花井戦)でヒザ伸ばされて、その時に音がしたんで、やっちゃたんだなと。それで力入らなくなって。準々決勝終わったときにちょっと無理かなと少し考えたんですけど、まあ出来るところまでやってみようと。勝てるかどうかわからないですけどね。
 五味選手はコンテンダーズで対戦したときと比べて、だいぶ強くなってるんじゃないですかね。技術的にも体力的にも格段の進歩じゃないですか。怪我は関係ないですよ。攻めてれば怪我しないですからね。花井選手とやった時に右脚痛めて、準決勝では逆(左)とられたたんですけど、こっち(右足)が力入らなくて踏ん張れなかったんですけど、まあなんとかうまいこと逃げ切った感じだったんですけど。
(久しぶりの出場は?)大きな理由はないんですけど、今年39(歳)で30代最後なんで、そんなに若い人と試合やるのもそろそろ限界だなと。ほんとだったら限界とっくに超えてるんでしょうけど、練習した感じではある程度出来るかなという感じだったんで。30代最後の記念にやってみようかなと。
 準優勝という結果については、今の実力ではこんなものかなと思いますけどね。ほんとは優勝出来れば一番よかったんですけど、なかなかそうは上手くいかないですよね。
 今後は、ちょっとわかんないですけど、レスリングの指導を中心にやってるんで、いろんな格闘技研究するの結構好きなんで、試合出る出ないのは別にして、指導している学生にもこの試合出ろっていう訳じゃないんですけど、クロストレーニングというか、いろんな動きをやることはいいトレーニングになると思うので、ちょっとは取り入れてもいいんじゃないかなという気がします。これに限らず柔道とか柔術とかの動きを取り入れていけば全般的に体が鍛えられるんで、レスリングに取り入れれば体力的にも上がっていくだろうし、いい事じゃないかと思ってます。あくまでレスリングの補強トレーニングとしてやっていければ。本分を見失わないように。」

◆ -60kg級(21名エントリー/19名出場)
1位 中村 浩(パレストラ東京&ロデオスタイル:写真左端)
2位 村田卓実(A3)
3位 高橋拓次郎(GUTSMAN修斗道場)
3位 藤田成保(T-Pleasure)

 昨年準優勝の大河内衛が緒戦となる二回戦で4-1で早々と姿を消した。その大河内を破ったのが陸上自衛隊所属の柔術家・中村。中村はその後も下からの攻めと堅い守りで最短一本勝ち賞受賞の藤田を破るなどして決勝へ。昨年3位の村田とスタンドでの探りあいから僅かなチャンスを逃さずテイクダウンで奪った1ポイントを守りきり優勝した。ちなみに中村は3回戦から決勝まで3戦連続判定1-0での勝利だった。勝村周一郎は棄権。


◆ -66kg級(23名エントリー/21名出場)
1位 上田将勝(パレストラ東京:写真左2人目)
2位 尾藤広光(京都東山レスリング)
3位 五味靖典(木口道場レスリング教室)
3位 桜井達也(マッハ道場)

 昨年の準優勝者・上田が頭一つ抜けた力量を見せ、ぶっちぎりの優勝を決めた。緒戦となる2回戦では12-0のテクニカル一本、3回戦は腕十字で一本勝ち。準決勝は五味隆典の兄・靖典相手に投げ、抑え込み、マウントと全ての面で圧倒した末にまたもテクニカル一本。決勝の尾藤戦でも終始アグレッシブな攻めでバックからネルソン、抑え込みと流れるような動きで次々とポイントを奪い、終了直前には腕十字から三角を極めかける。これは逃げられたものの7-0の大差判定で勝利した。

◆ -84kg級(17名エントリー/14名出場)
1位 竹内 出(SKアブソリュート)
2位 甲斐俊光(養正館)
3位 高橋 渉(フリー)
3位 木村仁要(誠ジム)

 当初エントリーしていた桜井速人は腰の状態が思わしくなく欠場。過去3度の優勝を誇る第1人者竹内が抜群の安定感で4度目の優勝を飾った。決勝戦では甲斐も内股や大内刈など果敢に攻めたが、竹内は少ないチャンスを生かしてタックルや投げでポイントを奪い、3-1の僅差ながら完勝した。


◆ +84kg級(2名エントリー/2名出場)
1位 宮沢 誠(荒武者総合格闘術)
2位 長田誠治(ジョイフルレスリング)

 2人と寂しいエントリー数となった重量級は、MAX宮沢が長田のタックルをがぶってカウンターの投げや抑え込みでポイントを奪い、最後は抑え込みからバックに移行し、4分53秒、チョークで一本勝ちした。


<各賞受賞者>
最優秀選手賞:五味隆典(木口道場レスリング教室)
最多一本勝ち賞:五味隆典(木口道場レスリング教室)(5本)
最短一本勝ち賞:藤田成保(T-Pleasure)(23秒・アキレス腱固め/-60kg級準々決勝・小野寺征吉戦)

Last Update : 03/30

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