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(レポ&写真) [修斗] 3.18 後楽園:北欧の不沈艦、マシンガンパンチでルミナを撃沈

サステイン "プロフェッショナル修斗公式戦"  2003年3月18日(火)東京・後楽園ホール

  レポート&写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】  [→掲示板・修斗スレッド]

第11試合 ウェルター級 5分3R
×佐藤ルミナ(SHOOTO GYM K'z FACTORY/6位)
○ヨアキム・ハンセン(ノルウェー/スカンジナビアンBJJアカデミー・オスロ/8位)
1R 2'09" TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ連打)


 ひと際大きな声援に迎えられ、赤いガウンを身にまとって入場したルミナ。セコンドには坂本一弘・サステイン代表、草柳和宏・K'z FACTORY代表、同門の植松直哉が付く。
 ゴング早々、左ストレートで突進するハンセンに対し、ルミナはタックル。ハンセンはすぐにルミナの胴に足をからめて寝技に引き込む。下からハンセンが三角絞めを狙うと、ルミナは持ち上げて叩き落とし、左右のパンチをハンセンの顔面に当ててから、一気に得意の足関節技に(左写真)。ハンセンはすぐに腰を上げて防御し、ルミナの顔面にパンチを落とす。それでもルミナはハンセンの左足を離さず、執拗にヒール、アンクル、膝十字を狙い続けるが、ハンセンの長い足をなかなか極めることができない。ハンセン自身も柔らかい動きで体を回転させながら防御を続ける。

 流れが変わったのはこの後だった。がら空きになったルミナの顔面に、ハンセンが長い右腕でパンチをクリーンヒット。効いたルミナはハンセンの左足を手放してしまう。自由になったハンセンはハーフガードの形でおおいかぶさりパンチの連打で猛襲。頭を抱えてディフェンスしていたルミナだが、打撃をもらい続けるうちに両手がバンザイ状態に。それでも北欧の海賊ファイターはまるで殺しにかかるようにパンチラッシュをやめず、後楽園ホールは悲鳴の渦に包まれる。そしてルミナが下を向き戦意を失ったところでレフェリーが試合をストップ。セコンドがタオルを投げ込んだのもほぼ同時だった。

◆ハンセン「僕にとってルミナはレジェンド。まだ勝った実感がわかない。足関で来るのは予想どおりだった。今も膝が痛いよ。(作戦は?)脇をしめて彼の顔を狙うつもりだった。(ルミナの力は?)普段から100キロある選手と練習しているので問題ない。(次に戦いたい相手は?)誰でもいい。(ベルトは?)挑戦できればうれしいが、その前に試合を挟んだ方がいいかなと思う。」

◆ルミナ「『やっちゃった』って感じですね。勝たなきゃいけない相手に一方的にやられたんで、色々また考えないと。(作戦ミス?)足関に行くのはプランどおりだったんだけど、予想以上にプレッシャーが強くて一気にガーッと来られて。相手の足が凄く取りにくいってのは、まあ、ミスというか。凄い足がちっちゃくて、ヒールとか極め辛くて。あと相手のリーチですか。足を取った状態でも相手のパンチが届いたのは…。ある程度もらうのは覚悟してて、2、3発もらってもいいから極めちゃえと思ってたんですけど、途中から力が入らなくなって、『ヤバイ、効いてきた、止められちゃう』と思っていたら、体が動かなくなって…。

(ルミナ選手が引き分けているタクミにハンセンは圧勝していたが?)楽ではないのはわかってたけど、タイプ的には足関を取りやすい選手だと経験上思ってたんで。終わるなら1Rと思ってたけど。向こうの対策勝ちですね。(ハンセンはルミナ選手が足関で来るのを予測していたが?)もちろんわかってるんだろうなと思ってたけど、それでも取るつもりでやったんで。(意地?)というか一番自分の得意な技なんで。スパーでも誰でも負けないし、対策されても絶対取ってやると思ってたんで。(今後も足関狙いの方針に変わりはない?)まあ、性格上。ただもうちょっと痛めつけて弱らせてから行けば良かったなと思いましたね。

(再戦は?)もちろん負けた選手と全員やりたいというのはあるんだけど、そんな甘いもんじゃない。(パワー差は?)上半身のパワー差は感じましたね。特に腕力が。対面した時も上が凄くデカく感じて。上からのパンチで押さえつける力が凄かったです。(以前からライト級に転向すべきという周囲の意見があるが、この試合で考えは変わったか?)普通に考えたらそうですよね(笑)。そうなんだけど…。パワー負けだけじゃないんで…。とりあえずビデオを見てから考えます。
(今後は?)6月の広島大会に向けて練習。その前に休まないと。(23日の)コンバットレスリングも出れたら出たいですけど、まずはCT(スキャン)取りに行ってそれから考えたいと思います。まあ、次の修斗に向けて一からやるしかないんで。」



第10試合 ミドル級 5分3R
○ショーニー・カーター(米国/士道館USA/6位)
×池本誠知(ライルーツ・コナン/7位)
判定3-0 (29-28,30-28,30-28)


 インターナショナル修斗コミッション設立を記念してというわけではないと思うが、坂本一弘プロモーター一押しの「Mr. インターナショナル」カーターが日本の修斗に初登場。スティービー・ワンダーの「I Wish」にのって、陽気に唄い踊りながら入場するだけで、観客のハートをつかんでみせる。
 序盤、カーターと池本は互いにサイドキックを駆使。華麗な動きで楽しませてくれるのだが、カーターがテイクダウンに成功してからがスイングしない。池本がリバーサルに成功する場面もあったが、下で身動きできないシーンの方が目立つ。3Rこそ池本がマウントを取ったり、下からアームロックを狙う場面もあったが、互いに疲れを見せ、動きに精彩を欠く。

 結局順当にカーターが勝利。2Rにはカーターが豪快なバックドロップを繰り出すなど、随所に面白い場面があったものの、期待通りの内容とまではいかなかった。だが試合後はまたもカーターが「I Wish」にのって唄とダンスを披露。ファンの喝采を浴び、きっちり試合を締めくくってくれた。

第9試合 ライト級 5分3R
○勝田哲夫(SHOOTO GYM K'z FACTORY/4位)
×門脇英基(和術慧舟會)
判定3-0 (29-27,29-28,30-28)


 1Rは両者ともテイクダウンを奪うが、目立ったのは門脇の右ストレートの鋭さ。ジャッジ3者は10-9で門脇を評価する。
 だが2R、門脇のタックルをかわして上になった勝田が、トップポジションから強烈なパンチを一撃。これで門脇は眉間を大きくカットしドクターチェックを受ける。再開後、下の門脇は果敢に脱出を試みるが、勝田は上をキープしパンチを何発も落とし続ける。残り10秒で門脇に脱出を許すが、ジャッジは10-8,10-8,10-9で勝田を評価。

 3R、序盤こそ門脇が右ストレートで反撃を見せるが、眉間から再び出血。ドクターチェックを受けた後から、勝田のスタンドでのパンチに苦しむ。終盤に勝田がテイクダウンに成功すると、勝田の勝利ムード一色に。鈴木レフェリーのみ10-10の評価だったが、残り2人は10-9の評価。勝田がこの日ベストバウトとも言える内容で、KID戦の敗北以来初めての試合を飾った。負けた門脇もランク外ではもったいないぐらいの実力を発揮できたといえよう。

第8試合 バンタム級 5分3R
○マモル(シューティングジム横浜/2位)
×久保山誉(SHOOTO GYM K'z FACTORY/3位)
判定3-0 (29-27,29-28,29-27)


 3Rともスタンドで間合いを取っての緊迫した攻防が続く。2Rにはマモルが右フックでダウンを奪取。グラウンドになったのは1R終盤に久保山がタックルでテイクダウンに成功した場面だけ。3R目での逆転を賭けた久保山が果敢にタックルを仕掛けるが、マモルは最後まで切り続け、逃げ切ってみせた。

第7試合 ミドル級 5分3R
○加藤鉄史(PUREBRED大宮/5位)
×ブライアン・ガザウェイ(米国/士道館USA)
判定3-0 (30-27,30-27,30-27)


 開始早々からガザウェイが引き込み、加藤が4分過ぎにマウントを取ると、すぐにガザウェイはスイープする。2Rも2分過ぎに加藤が上になるが、インサイドガードのまま膠着が続く。3Rも加藤がマウントを取るが、その先の攻めに欠く。結局3Rとも加藤が1ポイントずつ取り判定勝ち。内容は単調だったが、15ヶ月ぶりの試合ということを考えれば、試運転としてはまずまずといったところか。次の試合に期待したい。

第6試合 ウェルター級 5分2R
○村浜天晴(WILD PHOENIX/10位)
×トーマス・ヒッテン(ノルウェー/オオカミ・シュートファイティング・アルファ・チーム)
判定3-0 (20-17,20-18,20-18)


 ヒッテンは韓国生まれの30才。生後17ヶ月にノルウェー人に引き取られたという異色の経歴の持ち主だ。序盤強烈な左ローを放ち観客を湧かせる。たが2度目のローに合わせ村浜がタックルでテイクダウンに成功し、前回ブレナンを葬り去ったジャイアントスイング→アキレス腱固めの連続技を今回も披露してみせる。結局試合が一番湧いたのはこの場面で、アキレスは極まらず、その後は村浜が上のまま膠着する展開が続く。芸人魂不発のせいか、村浜は勝ち名乗りを受けながらもパフォーマンスはなくさっさと退場した。

第5試合 バンタム級 5分2R
×端 智弘(PUREBRED大宮)
○生駒純司(直心会格闘技道場)
1R 3'20" チキンウィングアームロック


 端がタックルで上のポジションを取ることに成功。だが下の生駒はしぶとくチキンウィングアームロックを狙い続け、2分過ぎに極めてみせる。端もタップせず粘ったが最後はレフェリーストップ。生駒が01年9月の判定負けの雪辱に成功した。生駒のチキンウィングでの勝利は昨年1月の石井俊光戦以来2度目。

第4試合 ライト級 5分2R
○田村彰敏(格闘結社田中塾)
×小林正俊(SHOOTO GYM K'z FACTORY)
判定3-0 (20-18,20-16,20-16)


 足関をしつこく狙う小林に対し、田村がハーフガードの体勢のまま強烈なパンチを何十発も連打する「ルミナ vs. ハンセン状態」が両ラウンドとも続き、田村の圧勝。ジャッジのうち2人は両ラウンドとも10-8の評価を下した。

第3試合 フェザー級 5分2R
○三上洋平(東京イエローマンズ)
×カイル・タカオ(米国/HMC)
判定3-0 (20-18,20-18,20-18)


 大半の時間で上のポジションをキープした三上が勝利。果敢にパスガードを狙い続けたものの、力の差を見せつけるには至らなかった。

第2試合 03年度新人王トーナメント バンタム級1回戦 5分2R
○HIRO(総合格闘技STF)
×ヒートたけし(和術慧舟會千葉支部)
判定3-0 (20-18,20-19,20-19)


 コーナーに押し込んでの膠着の多い試合となったが、積極的な攻めとテイクダウン数で上回ったHIROが判定勝ち。準決勝では畑武彦(タイガープレイス) vs. 藏田圭介(ALIVE)の勝者と対戦する。

第1試合 03年度新人王トーナメント フェザー級1回戦 5分2R
×加納 学(相補体術)
○大沢健治(A3)
2R 3'21" スリーパーホールド


 1R終盤に大沢はマウントポジションを奪うことに成功するが、加納にスイープを許してしまう。2Rもバックを奪いながらも加納のしぶといディフェンスに手を焼いたが、最後はバックマウントからのスリーパーできっちり一本。下馬評どおりの強さを発揮しトーナメント初戦を突破。準決勝で東京イエローマンズの三上洋平と激突する。

Last Update : 03/25

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