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[Dynamite!!] 秋山に無期限出場停止処分。桜庭は調査結果に納得

(1/17 up) 2006年大みそかのDynamite!!のHERO'Sルールの試合で、油性のクリームを体に塗る反則を犯し失格となった秋山成勲に対し、主催のFEGは16日、FEG主催イベントへの無期限出場停止処分を下した。

 FEGの谷川貞治代表と、秋山の対戦相手の桜庭和志は17日、東京・帝国ホテルで記者会見。桜庭は冒頭の挨拶で「正直、消そうと思えば消せた問題かもしれませんが、FEGさんやレフェリー陣がミスを認め、はっきりと対応してもらって凄く感謝しています。スポンサーさんやテレビ局に迷惑をかけたことをお詫びしたいです。FEGさんやスポンサーさんやテレビ局の人とも力を合わせて、これをきっかけに総合格闘技をもっといいものに変えていければと思います」と話した。

 秋山への失格処分の発表された11日の会見で、桜庭は「今回の処分内容に関しては納得しておりません」といったコメントを発表。だがそのことが逆に新たな憶測を生んだ他、マスコミからの取材要請も増え、某写真週刊誌が自宅に押し掛ける事態となったため、今回の会見は桜庭自らが希望して行ったという。
 桜庭は「あの時(11日の時点)は疑心暗鬼だったけど、証拠のビデオを見せてもらい納得しています」と発言。試合進行中の抗議が受け入れられなかった問題に関しては「僕の抗議のタイミングが悪かった。レフェリー上そういうルールなのでしょうがない」と話した。
 グローブ問題がシロだったことに「納得していない」のではという噂も流れたが、桜庭は「僕は体が滑ることだけ主張していました」と否定。「殴られている時に異物感は無かったか?」という質問にも「僕、頭悪いんで、そういう微妙な感覚はわかりません」と苦笑いを浮かべた。谷川氏も異物疑惑について「全くありません。実物も主催者の方からの映像も全部確認しています。ネット等で騒がれていたのを見て、桜庭選手じゃなく、プロモーター側から検証をお願いしました」と説明した。
 オイルを塗っている様子等の映像公開を求める意見も記者から出たが、谷川氏は「検討はしますが、今のところは考えていません」「1大会あたり30台のカメラを回していて、一部を公開しても、まだ隠していると疑われてキリがありません。揚げ足を取ろうと思えばいくらでも取れます。魔女狩りのようになるのは良く無いと思います」と答えた。

 秋山への「無期限出場停止処分」について谷川氏は「現行ルールでは『失格』以上の取り決めはありませんが、今回秋山選手がやったことはそれだけ重い」「ルール改正ではそういう条項も盛り込みます。他のスポーツとも照らし合わせ、厳しいルールを作って行きます」と説明した。処分解除の目処に関しては当然ながら「全く考えていない」と答え「ファンや桜庭選手が納得しないといけない等、色々乗り越えないといけないことがある」との見方を示した。秋山はK-1かHERO'Sの会場でのファンへの謝罪を希望したが、FEG側は拒否したという。
 ただしHERO'Sライトヘビー級トーナメントのベルトは剥奪しない方針。谷川氏は「K-1のベルト同様、トーナメントごとに渡すもののため、防衛という規則が無い。トーナメントの試合に関して不正は無かった」と理由を説明している。

 秋山に対する思いについての質問も度々飛んだが、桜庭は「感情的な部分は無い」「許す、許さない、の問題じゃない」というスタンス。謝罪の意は谷川氏から伝え聞いただけだが「直接謝られるよりも、子供とかに夢を持ってもらう仕事なので、これからのプロとしての彼本人の行動でわかると思う。自分がしっかりすればいいだけのこと」「プロとしての自覚を持って欲しい」とたしなめた。再戦の可能性について聞かれても「秋山選手とFEGさんの間の問題。(塗布物について)認識不足で済まされない話」と厳しい態度を貫いた。なお、秋山から没収されたファイトマネーに関し、桜庭は慈善活動に寄付することを16日にFEGに対し提案したという。

 試合後のダメージについて桜庭は「興奮していたので覚えていない」とコメント。3月開催予定の次回HERO'Sへの出場は「まだ練習を再開していないので、これから考える」、今年開催予定のアメリカ大会については「怪我が無ければ出たい」と答えた。

 谷川氏は今回の一連の騒動をファンやスポンサーに対し改めて謝罪。この会見後もレフェリーミーティングを実施し、桜庭、宇野薫、所英男を招き、競技運営に対する意見を求め、改善を進める。これも桜庭の提案によるもの。この3選手はグラップリング系のため、打撃系の選手も後日のミーティングに招く。
 谷川氏は「HERO'Sの総合ルールが世界一しっかりしている、と言われるものを作りたい」と発言。桜庭は会見の最後「スポンサーさんとかとも力を合わせ、総合格闘技を凄い地位にしたい」と改めて発言し、会場をあとにした。(井原芳徳)
 

秋山、クリーム塗布で失格。桜庭戦はノーコンテストに

(1/12 up) 2006年大みそかのDynamite!!のメインイベント・HERO'Sルール・秋山成勲×桜庭和志の裁定に関する結果報告に関する記者会見が11日、東京・帝国ホテルで行われた。会見は礒野元HERO'SルールディレクターがA4用紙8ページの報告書(全文はK-1公式サイトに掲載)を読み上げ、秋山同席の元、質疑応答に進むという形式で行われた。
 報告書によると、バックステージでTBSのクルーが秋山の密着取材としてビデオカメラで撮影していた映像を、HERO'S審判団と大会プロモーターのFEGの谷川貞治代表が検証したところ、秋山が乾燥肌防止のため、体に油性のクリームを塗っていたことが発覚。HERO'Sルールではあらゆる全ての塗布物を体に塗ることは禁止されているため、秋山を「失格」とし、ファイトマネーを全額没収し、この試合は「ノーコンテスト」に裁定変更された。秋山本人も出席し謝罪と反省の意を示した。
 グローブ自体に関して異常は認められなかったが、スポンサーのロゴがはがれていた問題に関しては、チェック体制の不備を審判団が認めており、クリームの問題と合わせて各審判員にギャランティ50%没収等のペナルティがプロモーターより課された。
 試合を裁いた梅木良則レフェリーが桜庭のチェック要求に応じなかったこと、リング下の審判長の判断を仰ぎながらTKOとしたことに関しては、HERO'Sのルール上、過失と認められなかった。
 再戦のオファーに関して谷川氏は「その気は全く無い。これはこれとして決着すべき問題なので、その提案に乗る気はない。自然な形でそうならなければやらない」と話している。


 谷川氏は今回の検証について「疑惑が全て本当なら永久追放、王座をはく奪しようという気持ちもあり、審判団に徹底解明を要請した」と経緯を説明。ビデオや塗布物等の検証のために発表まで時間がかかったことを含め、一連の混乱を謝罪した。

 秋山が塗っていたのは米国製の「オーレイ・クエンチ・ボディローション・エキストラ・ドライスキン」という、ワセリンやグリセリンの含まれている油性の市販のクリーム。塗ったすぐ後はスベスベ感しか残らないが、水分(汗)を含ませるとかなりヌルヌルになることが実験で判明した。秋山は「特に手足が多汗症。常にタオルを持たないといけないぐらい。外が乾燥していても汗をかくので、逆に肌が乾燥する」といい、このクリームを常用。大みそかはウォーミングアップを終えてグローブチェックも済ませ、入場ゲートに向かう直前、道衣を脱いで、セコンド2名に全身にクリームを塗ってもらっていた。
 秋山によるとセコンドは総合格闘技に詳しい人間が少ないといい、違法性を指摘する者はいなかった。秋山が堂々とクリームを塗っている映像を撮らせ、本人も「あれは塗ってはいけないものだとは思っていなかった」と事情聴取で答えたこと等から、故意性は認められなかった。だが、そもそも試合をすべき体の状態ではなかったという点で秋山の「過失」であり、HERO'Sルール第8条その20の「プロとして常識外の行為」とされ、通常の「反則負け」よりも重い「失格」扱いとなった。

 会見に出席した秋山は、桜庭を筆頭に関係者・支援者に謝罪。「悪意は無かった。疑われたこと自体反省している。弁明の余地は無い」等と話した。
 なお、同じく裸体で秋山が試合を行った10月のケスタティス・スミルノヴァス戦のバックステージでの映像も全てビデオで検証されたが、この時は秋山がクリーム・オイル等を塗る映像は見られなかった。まだ暖かい時期だったため、秋山もその時は塗らなかったと発言している。
 ボディチェックで塗布物が判明できなかった芹沢健一審判員、平直之審判長、礒野審判員、大成敦審判員、梅木審判員のギャランティは、プロモーターより50%没収された。試合中の桜庭のアピールを確認しながら、桜庭の金的で試合がストップしている時に秋山の体をチェックしなかった和田良覚審判員も50%没収された。

 グローブとバンテージに関して異常は認められなかったものの、右手グローブの「EDWIN」のスポンサーロゴが無かった問題に関しても、バックステージでのスパーリング中にはがれたことが映像で確認できたという。
 だがその後チェックしたグローブ係の岸名審判員、リング上でチェックした芹沢サブレフェリーが、ロゴが無いのを見逃したことで混乱を起こしたとみなされ、両審判員のギャランティは50%没収された。芹沢審判員に対してはグローブ及びボディチェックの2点でミスがあったため、6ヶ月の職務停止処分も課されている。

 競技運営面の改善策に関しては次回3月開催予定のHERO'Sまでに対策が講じられる。常に選手を監視する「インスペクター」を各控室に配備することも検討されている。審判団は一連の騒動を謝罪し、既に桜庭に対しても謝罪している。

 桜庭は会見に出席しなかったがコメントを発表。今回の裁定については「イベント関係者にご心配、ご迷惑をお掛けしたこと、ファンの方へも後味の悪い試合になってしまった事にお詫び致します。申し訳ございません。また、色々とご意見をいただいたファンの方に感謝致します。有難うございました。こちらは正々堂々と試合に臨んでいるのに、このような結果になったことに対しての今回の処分内容に関しては納得しておりません」と記し、秋山に対しては「僕は勝敗だけにこだわってはいません。今回はイベント関係者、清原選手、一緒に入場した子どもたち、ファンの方に対して、謝れば済む問題ではないけれど、謝ってほしい。僕はリングに立つときは正々堂々とやりたい。ただそれだけです」と記している。(井原芳徳)

Last Update : 01/17 22:41

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