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全日本チーム ミレニアム年越し合宿を取材!
伊豆稲取年越し遠足日記 - 6


■ミレニアムは川合のかけ声とともに

平井にテーピングしてもらっている関川▼よる11時。体育館へ行くとさすがに寒い。コート着用のまま取材。ひょいと後ろを向いたら、嘉戸さん(アトランタ五輪グレコ54kg級7位。実は和田と国士舘の同期。現在は筑波大学大学院。)登場。目をこすりながら「修論がまだ終わらない。27時間起きたまんま。」午後練習の時とっても疲れていた選手たち、仮眠を取ったり般若湯(^-^;を飲んだりしたおかげで若干元気になっている。それでも横を見たら、関川が平井にテーピングをしてもらっている。

▼寒いのでまず、十人一組くらいのグループに分かれるために、鬼ごっこのようなゲームから。仲間はずれは罰ゲーム。それからチームに分かれてまたゲーム。そして負けたチームは腕立てふせ。負けず嫌いがそろっているから、ムキになりっぱなし。それから、グレコとフリーのチームに分かれて綱引き。綱引きはグレコチームが強い。フリーチーム二連敗の後、どうしても勝ちたいと川合をメンバーに入れて再挑戦。合計人数の体重を数えると川合を入れるのは反則だと反発するグレコチーム。だが、結局川合を入れてフリーチーム最後の挑戦。ようやく綱引き初勝利を得る。

▼体が温まってきたところで、12時10分前から上着を脱いで打ち込み開始。縁起物なので腰の怪我を負っている川合も打ち込みに参加。勿論、コーチからは「受けるだけにするように」と注意を受けた上だ。しかし、どうしてもタックルに入ってしまい赤石コーチから止められてしまう。

あけましておめでとうございますの川合達夫▼赤石コーチが「今、何時ですか?」と聞いてきた。この体育館には時計がないのだ。時計を見ると、ちょうど12時。2000年を迎える瞬間だ。コーチのかけ声で全員が中央マットに丸く集る。その真ん中に川合達夫が進み出る。強化委員長から川合に号令をかけるように指示。が、どうやったらいいのか分からずにおろおろする川合。そして出てきた言葉は「あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」丸く集まった皆からは新年初笑いの声があがる。そんな間の悪い言葉で、どうやってみんなでかけ声をそろえろと言うのだ。高田さんから「エイ、エイ、オー!!て言うんだよ。」と教えてもらい、ようやく川合の口から「エイ!エイ!オー!!」続いて皆からかけ声。新年あけましておめでとうございます。自分も、まさか川合達夫のかけ声でミレニアムを迎えることになろうとは想像だにしていませんでした。

えいえいおー!の川合達夫

車とバスに分乗して海沿いの神社へ。ビデオ撮りがあるので、和田が乗った太田拓弥が運転するワゴン車に無理矢理同乗。乗ったらすし詰め。いったい何人乗ってるの?この車。「(2000年問題で)誤作動が〜」と叫びながら運転する太田の車で神社へ。海沿いの道で車から降りる。潮の香りが鼻孔をつく。歩きながら、和田と西見がふたりの地元、鹿児島の話に。「志布志でオリンピックに行くための積み立て貯金をやっていたらしいけど、世界選手権で代表とれなかったら、もうダメだと思って解約した人がいっぱいいたって。」と和田。「そういえば、鹿児島の新聞、電話だけかかってきたけど載ったのかな。」は西見。新年を迎えたばかりの神社にはたくさんの人が初詣に来ている。二列に並んで順番にお参り。鉦を鳴らしてお賽銭を投げる。境内に戻ると、地元の人が甘酒とおそばを振る舞っている。「おなか空いたぁ。」とみなでそばをすする。神社からの帰り道、何をお願いしたのかと和田に聞くと「オリンピック。」と即答。お賽銭はと問えば「百円。」西見さんは?ときくと「十五円。十分ご縁がありますように。」

▼ふたたび太田拓弥運転のワゴン車にすし詰めになり、海辺の神社を離れて丘陵の上にあるユニティ伊豆へ。三叉路で信号待ちをしていたところ、目の前を横切るパトカーにじろりと睨まれる。なんだろう?とポカンとしていたら、運転手の太田が真っ先に気づいた。「定員オーバーだぞ。隠れろ!」ワゴン車に十人もすし詰めになってれば目立つよね。しかも体格のよい人が。後ろには97kg級の篠崎もいるし。定員オーバーと言うよりは積載オーバー?

▼ユニティ伊豆に戻り玄関を入ると、入り口で御神酒の乾杯がすでに終わっている。遅れてきた積載オーバーワゴン車組の私たちにも勧められる。慌てて飲んで、新年のお祝い終わり。あれ?私、神社まで行っていたのに、撮影ばかりしていて初詣してないよ。なんだか納得行かないな。今年のお願い、どうしようかな。

■新年は幻の巨大魚とともに

朝ご飯の様子

▼半開きの眼で部屋の窓から初日の出をちょっと覗いて一眠り。もう一回起きて、7時半から朝ご飯。疲れ切った顔の選手たちが食堂に集まってくる。「眠れた?」と聞くとうなずくのだが、明らかに寝ぼけ顔。明け方までゲームをしたりして騒いでいたらしい。そんななか、一人元気な太田拓弥。中尾に「なあ、野球(ゲーム)やろうやぁ」と盛んに誘う。「先輩、なんでそんなに元気なんすかあ?」と半ば呆れている。

▼魚釣りに出かけるという選手たちの車に便乗し、帰りの電車に乗るための伊豆稲取駅まで行くことにする。「幻の巨大魚を釣る!」と豪語する太田拓弥。嘉戸が眠そうな顔でロビーにやってきた。論文書いていて、ろくに休んでいないのだから眠ったらよいのにと言えば「寝ていられないよ。『魚釣りに行こうよぉ、釣りに行こうよぉ』てうるさいんだもん。」ロビーに集合する釣りメンバー。太田に嘉戸の自腹参加コーチ二人と、片山、篠崎、そして安原。ベランダに出て、備え付けの双眼鏡で港の桟橋をチェック。本日の釣り場にはすでに何名か先客がいる。

▼車に乗って港へ。私はそれに便乗して伊豆稲取の駅へ。車の中では、捕らぬ狸の皮算用ならぬ、釣らぬ大魚の魚拓自慢。「何が釣れるのかなあ。」「鯛が釣れるぞ、鯛が。」「釣ってどうするんだよ。」「キャッチ・アンド・リリース。スポーツフィッシングだよ、スポーツフィッシング。」そうこうしているうちに車は山を下りて港に近づく。海に完全に出る前に伊豆稲取の駅がある。駅で降ろしてもらい、私のお正月取材はここでおしまい。幻の巨大魚を見られなかったのは心残り。今度は、もっとゆっくりできるといいな。そして、私が巨大魚を釣るのだ!(完)



 

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レポート&写真:横森綾