三宅靖志インタビュー

全国社会人選手権
1999年7月17日(土)18(日)。両日とも駒沢体育館で午前9時半試合開始
クラブチーム戦にRJWで出場。


  1. 前半
  2. 後半


全日本選抜の三宅――プロ活動の方はどうなさるんですか?

「ちょっとあんまり中途半端な形でやることもできないですけども。まあ、でもあくまで主はレスリングなんで。やるとしてもそっちは重点的に練習して、ということにはならないですから。あくまで補助的にやって、出て行くことになる。」

――もう一回Contenders に出るような話は?

「そういえば、もう一回6月にやるようなこと言ってたんだけど。」

――言ってましたよね。あったら出ます?

「う、うん、まあ、出てもいいです。」

――なんか、言葉を濁した言い方しますね。(笑)

「あれ出てもね、打撃がないから。打撃ありのことを考えたら出やすいけど。」

――この間矢野さん、大変でしたね。

「ああいう風にパンチがあると、やっぱりね、危ないですね。

――VTのあとお見舞いメールを出したら『記憶が飛んでしまって憶えていません。しばらくちゃんと休みます。』なんて返事のメールに書いてありましたけど。三宅さん自身は、打撃ありは全然考えてないんですか?

「いや、やりたい気持ちは非常にあるんですけども」

――なにがネックに?

「ま、いろいろあって。内緒です。(笑)」

――(理由を聞いて)内緒にすることですかあ?(笑)とにかく、今のところレスリングが主で、それをやりながらできる範囲で、というスタンスは崩さないつもりなんですね。プロ活動もその範囲で話があれば。でも、Contendersみたいな組み技限定というものだと限られてきますよね。

「だから、一回は打撃ありをやってみたいですよ。そうじゃないと、自分で言えないから。やったことないくせに、て言われちゃうし。」

――明日はホントはリングスにrAwチーム来るはずだったんですけど、リングスとの契約交渉決裂して、ランディ・クートゥア来ないんですよ。今日になってプレスリリースがでてたみたいで。

「だって、クートゥアだって世界選手権行くんだからね、あんまりやってる暇ないでしょう。」

――そうですよね。チャンピオンになっちゃいましたからね。エリクソンは負けちゃいましたけど。

「小遣い稼ぎにはいいかもしれないけど。」

――そうですね。rAwチームはプロのファイトマネーをお小遣いだと思って るみたいですけどね。

「思うでしょう。」

――RJWはどうですか?

「僕らは趣味でやってるだけですから。(笑)」

――もう少し大会が増えればお小遣い稼ぎになるんじゃないですか?北沢がいっぱいになったことだし。

「今度、阿部ちゃんが修斗に出るし。」

――修斗、ほかの選手が出る話はないんですか?三宅さんは打撃ありが しばらく難しいみたいですけど

「今度8月にプロテストを受けるとかいってますけど。」

――え、誰が?

「いや、なんか全員。みんな受けるようなこと言ってますよ。」

――じゃ、打撃の練習みんなしてるんですか?

「あんまりしてないんじゃないかな。いや、昨日ちょっとやったな、そういえば。」

――じゃ、練習は三宅さんも打撃をやってるんですか?

「やってる、ていってもやってるうちに入らないから。」

――こういうもんだよ、という程度?

「一応、阿部ちゃんとかとスパーリングやって昨日、いや一昨日か。軽くこう、やりながら組みに行ったり。彼の練習のために。」

――忙しいですね。RJWのジム行ったり、大学行ったり。

「ジムの方はそんなに行けないですね、週に一回くらいですね。」

全日本選抜の三宅――選手として、三宅さんすごく不思議なんですよ。どうやって強くなってるんだろう?て。

「アトランタオリンピックまでは結構ね、自分、自分と思ってやってたから。まあ、指導ていうよりは、一緒にやってる中で。学生と一緒にやって、やりながらですね。今もそうですけど。」

――主に学生相手で、それほど出稽古行ったりとかしないで?

「拓大とか行ってますけどね。拓大はうちはもう、練習行かせてるし、一緒にやってます。」

――ホント、不思議だなあ、と思って。警視庁だとか自衛隊の人の話とか聞いていると、極端じゃないですか。最近、一般企業の選手も減っちゃったし。東海商船はレスリング部はあるんですか?

「一応、レスリング部という形に以前してもらったんですけども、やってるのは僕だけ。今もかたち的には残ってるんですけど。選手はオレだけ。オリンピックまではある程度、いろいろ融通きかせてもらったんですけども、今、だいぶきついんで。」

――仕事して、さらに練習して、というのは体力的にもキツイと思うし、学生からその生活になった変わり目の時なんかすごく大変だったんじゃないですか?

「あー、しんどかったですね。」

――練習時間どうしても減りますよね。減ったぶんて、どうやって補うんですか?短い時間で効率的なものを、自分で考えて?

「体の疲れもそうだけど、気持ちを切り替えるのが難しいですね。仕事で今まで怒られて『すみません』とかいって、冷や汗とかかいて、そっから道場行ってこうレスリングをするのもねえ。いいのかなあ?て思いますよ。やっぱり、就職してしばらくは練習あまりできないことあるし。何日もあまり練習できなかったりすると悲しくなってきますね。畜生、練習さえできていればこんなヤツに負けないのに、とかね。」

――動き続けられる限り、現役はやめないんですか?

「いや、辞めない、ていうよりは…このあいだの全日本選抜の試合でも ボロクソにやられたら、完全にもうダメだ、て思ってたんですけど。 」

――結構競りましたよね。

「競ったうちにはいんないかもしれないけど、まあボロカスにはされなかったな。ボロカスにされるんじゃないかな、と思ってたんですよ。だから、ボロカスにされたらもう諦めもつくしいいかな、と」

――引導を渡してもらえなかったから、諦めがつかない?

「いや、そういうわけでもないんだけど。まあね、完敗ていやあ完敗だから。」

――辞めるほどではない?

全日本選抜の三宅

「未練がましい、て言われるかもしれないけど。
 ボクシングの輪島功一 ているじゃない。あのひとなんか結構ボロボロになって辞めてるんだけど、あの人が『スポーツ選手は土産を持って辞めちゃいけないんだ』て言ってたんだけど、今になってなんとなく気持ちが分かる。まだ、もうちょっと余力があるな、というとこで辞めちゃダメだ、ていうね。まあひとそれぞれいろいろあるだろうけど。綺麗な日本人の引き際ていうのには合わないかもしれないけど。ま、そうやってボロクソされて辞めるのも、一つの生き方じゃないかな、と思いますね。そういうの見てて、昔はかっこわるいな、と思ったけど今はそういう生き方をする気持ちが分かりますね。ま、でも、オリンピックというのは一つの区切りだから、この間区切りにして、一応区切りにしたつもりだったんだけど。」

――辞めたと思ったらまた出てくる、ということは?

「そういうことはないです。今まで国際試合から遠ざかってはいましたけど、試合は、世界選手権とかそういうの目指してやってなかったですけど、一応、練習はして、ある程度はやってたし。試合も国体とかは出て。国体と全日本だけだけど。まあ、76でトップ目指して、という感じじゃなかったけど。一応、やってんで。まったくやってなくて出ていくのは、それはもう、恐くてできないですよ。
 今でも練習足りないな、と思うとやっぱり、自信ないですよ。だからこの間の試合だって自信はそんなになかったです。もう全然だめなんじゃないかな。やってみたら、わかんないけど、可能性はあるかな、て。」

――この間久しぶりの減量だったんですよね。

「そうですね、2年半ぐらいぶり。わりとスムーズに落ちました。でも、やっぱり計量前日くらいは死んでましたね。」

――国体 もまた出るんですか?今年は遠いですけど。

「あー、国体。もうそろそろ返事しなくちゃいけない。そろそろ若い奴にどうか、と。」

――今年熊本ですよねえ。それから、全日本選手権11月ですよね。

「もう半年ですね。」

――69でまた、出るんですか?

「まあ…まあ伏せといてください。(笑)」

――でるんですね。

「辞めちゃうかもしれないし。」

――またあ。今日はどうしても監督さんとしてのがっかりが出ちゃいますね。

 大学生て難しいですよね。オトナ扱いしないとむくれちゃうし、かといって完全にオトナ扱いしても。

「完全におまえらのやりたいようにある程度やれ、て言っても、どうしても楽な方に行っちゃうから。高校生みたいに朝から晩まで学校に閉じこもってやってる、僕が先生でこうやって見てるのだったら、ある程度型にはめてやってもいいけど、一日のうちのちょっとの時間しか見れないじゃないですか。だからもう、型にはめようとしたって無理なんですよね。だからある程度モチベーション上げていくような形でやっていかないと、無理なんだけど、それが一番難しいんで。
 恐いなあ、学生練習に来なかったりしたらどうしよう。わかんないからなあ。」

――ちゃんと学生のモチベーションとか考えているじゃないですか。

「いや、考えてたって、その通り行くとはわかんないから。まあ、不満はいっぱいあると思いますよ。学生はわかんないから、僕らの考えていることなんてわかんないから。程度の問題です。」

(東京農大が入れ替え戦で勝利したらしく、応援団が大根踊りを始める)

「明日、休みにしようとおもってたけどやっぱり練習しよう。内容が悪すぎる。」

――今日は最後まで監督さんのがっかりな様子が出ちゃいますね。それでは、Aグループ復帰を目指して頑張ってください。

 
 

(1999年5月21日 駒沢体育館にてインタビュー:横森 綾

ご意見ご感想を御寄せ下さい →投稿フォームへ