スピードの優る打撃で先取点を取りたい巽に対し、その流れを朝日はタックルで止める。巽はそれを万全の体勢で受け止めてガブり、朝日のガードの誘いには付き合わない。２Ｒまでの１０分間、そんなやりとりが何度も繰り返された。観客も煽り出す。コーナーに戻って首をかしげる巽。

　３Ｒも両者は突破口を開けなかった。最後まで朝日はガードに誘い続け、巽は立たせようと挑発するだけで、ギャンブルは出来なかった。

　終始巽がスピードで翻弄していたようにも見えたが、とにかく両者無傷。

　判定が出るまでの間、朝日はリング上で大の字。巽は首をかしげてうなだれていた。その後に引き分けが告げらても、両者にリアクションは無い。朝日は防衛のセレモニーも無視して、申し訳なさそうにリングに居残り、時折絶叫し、マイクを渡されるなり、「ウンコみたいな試合」を何度も謝った。控室に戻っても早口で自分に文句を言い続けた。巽も自分に対して怒っているだろう。

　朝日はノゲーラを、巽は池田久雄を通過してくればもう一度戦えるはず。楽な道のりではないけど、出来ることなら今日の対戦の続きが見たい。そして誇らしげに語る「勝者」の弁が聞きたい。

（岩瀬俊）

［第４試合］五味×桑原

［第５試合］ノゲーラ×大石

＜全試合結果＞