第4試合(ライトヘビー級3回戦)
郷 野は昨年をいい形で締めくくり、須田匡昇に代わってライトヘビーのベルトを狙える存在になっている。今日の一戦にしても、タイトル挑戦に繋げる通過点と考えていただろう。その「総合格闘技の天才」にヤジが飛ぶとは思わなかった。 対戦相手のシウバは柔術茶帯の選手。郷野が最初のローを入れた時点で露骨にいやがって組み付いてくる。パワーに任せてサバ折りでテイクダウンし、パンチを入れるが、郷野も落ち着いてブロック。既にシウバは息切れ、大きな呼吸音を響かせている。まだ1Rの中盤である。 郷野はシウバが足を引っこ抜いた瞬間に、機を逃さずスタンドに戻し、ヒザの連打。そのままシウバにたたみかけ、右フックとボディーへのヒザで2度のダウンを奪う。立ち上がった時点で残り1分、時間は充分あったが、シウバにテイクダウンを許してしまい、シウバに休まれてラウンドが終了。 シ ウバは体調が相当悪かったのであろうか。ファイトの最中にヒザに手を付いて休もうとして打撃をもらったり、座り込んでなかなか立ち上がれなかったりと、会場から失笑を浴びることしきりだった。「試合中ゲロ吐かれたらたまらんな」と真剣に心配したほどである。 「とっととフィニッシュしちゃえよ。」 そう思いながら、会場はリラックスムードで2Rを迎えたが、郷野はシウバの反撃を食らうことになる。 2R。郷野のローに対して、なんとか倒して充電を図るシウバ。1Rと同じくパスを狙ってスタンドに戻されたが、やけくその左右のフックを放つと、それが当たって郷野の動きが止まる。形勢は一気に逆転、外掛けからマウントへ。いつレフェリーが止めてもおかしくない完全なポジションから左右のフックを振るう。 ところがシウバも、いやがる郷野に止めを差すまでの体力は無く、休み休みのパンチを打ちながら、2R終了。 3R。もう完全に終っているシウバに、落ち着きを取り戻した郷野がもう一度KOを狙って攻めるが、両足タックルで簡単に倒れてしまう。 「そんな相手に何分やってんだ!」 とヤジが飛ぶ。郷野は終了間際に三角絞めにトライするも中途半端。 判 定は引き分け。両者決定的な場面を作りながら決めきれず、なんともイライラした試合で、郷野の挑戦も一から出直しとなった。 (岩瀬俊) 取材:岩瀬俊、中村宜夫 カメラ:井田英登 HTML編集:井原芳徳
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