成瀬の負傷欠場により代打として登場したフェーン。オランダ大会に続いて、金原戦で日本にも登場。荒削りだが、気の強さ、そして何よりめちゃくちゃな腕力で強い印象を残した。

　試合は、案の定、フェーンの暴走で始まった。

　左右のフックをぶんまわしながらつっこむフェーン。タックルで迎えうつ坂田。膝をついたにも関わらず、そのままボディ・パンチを打ち続けたフェーンにまずイエロー。

　今度は坂田がローを打って、すかさずタックル。

　がぶるフェーン。押し込む坂田。

　フロント・スリーパーにいくフェーン。そのまま絞り上げたが、坂田は首を押し込んで極めさせず、相手の上半身を潰して首を抜く。フェーン、ハーフガードに。坂田、アームロック狙いで腕を絞り上げ、直後、いきなり体勢を起こしてフェーンの足をとり、見事な膝十字を極めた。

　快勝である。第一試合、第二試合と不完全燃焼を強いられた場内がわき上がる。田村に教えを乞うようになって以来、如実に実力を付けて来た坂田。もはやファンを裏切ることはない。

　次の横浜大会では、バーリ・トゥードの熟練者、ジアン・アルバレスとの対戦が決まっている。99年、坂田がさらに次のステップに登っていくことができるか。その大事な大事な一歩である。

（山名尚志）

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取材：山名尚志　岩田貴宏　　カメラ：井田英登
HTML編集：井原芳徳