ここのところ、見るたびに体がファイターとして成長を見せ続け、それが試合内容や実績に反映されてきている美濃輪。横浜に移り髪の毛を黒に戻しても、PUNKでアグレッシヴな心は忘れていない。対する石井も、０勝２敗と後のない東京道場を背に気合いの入った面持ちでリングに上がる。

　ゴングが鳴るや、飛び込むように打撃を仕掛けていき、前蹴りを打っていく美 濃輪。圧力を掛けたまま、シュート。易々とテイクダウンを奪わさせない石井だが、美濃輪はすぐさま一本背追いに移る。あまりにも早い展開に付いていけない風の石井は少し粘るも、投げられ上のポジションを奪われる。サイド・ポジションを奪い腕を狙っていく美濃輪だが、極められないと見るやさっと離れて猪木アリ状態へ。再び横に回り込んで、腕を狙いに行くが今度は石井がガードに捕らえ、下から掌底を繰り出していく。パス・ガードした美濃輪は立ち上がって脚を捕らえて極めに掛かる。だが、ハーフガードに戻した石井は三角締め狙いへ。再び外してサイドから腕を狙いに行く美濃輪だが、隙を見て立ち上がる石井。ここで一旦試合はブレイク。まるで、鈴木のようなめまぐるしい攻めを見せる美濃輪は、再開後も素早くタックルでテイクダウンを奪い、ハーフガードに捕らえられた脚を支点に回転、足首を極めに掛かる。そして持ち替え、膝十字へ。膝を伸ばされた石井はそのままタップをするかと思われたが、何とかこれを凌いで、なおかつ上のポジションへ。美濃輪がクロス・ガードを取ったところで再びブレイク。

　体調も万全でなく、極まったと思った膝十字を凌がれて少し気落ちしたのだろう、ここから少し美濃輪の動きが鈍ってくる。激しい掌底の撃ち合いから膝を繰り出して行くも、石井の圧力が勝り、コーナーに詰められる。差し合いから逃れるようにタックルを狙って行くも、がっちりとがぶられて引き込みに頼らざるを得なくなってくる。上になれば石井は隙を見て掌底を打ち込むが、いかんせん動きが少なくブレイク。仕切直しての展開も似たようなもので、アウトサイドのブレイクが２度続く。

　その直後の打ち合いで、少しよろめくような感じを見せた美濃輪だったが、うまくそのままタックルの動作に入る。が、再びがぶられ下になり、下のポジションを強いられることに。だが、石井はグラウンドを嫌って立ちがる。スタンドの展開になり、再び詰めて行くが、今度は体勢を入れ替えた美濃輪が、閂から思い切りのいい反り投げ。上になった状態で試合終了のゴングを聞く。

　途中から息切れしたものの、前半はめまぐるしい攻めで石井を圧倒し、あわやという極めも見せた美濃輪が、２−０の判定で勝利をもぎ取る。次のステップへ向け、また一つ足場を固めた。

（眞砂嘉明）

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