98・12・19
Tour "ADVANCE" 最終戦
東京ベイNKホール

 

第2試合(10分1本勝負)
 
ジェイソン・デルーシア
アメリカ
1'13"
腕ひしぎ十字固め
×
 
山田 学
P's LAB

 く刈り込んだ髪を金髪にし、最近の定番・ジークンドーコスチュームで入場の山田学。花道でサムエを脱ぎ捨ててリングインするデルーシア。黒のロングタイツである。

 ングの音も消えぬ間に、掌底で間合いに入るデルーシア。組む山田。しかし組んだはいいが、デルーシアの投げに逆らい切れず、山田は自らガードポジションに落ち着く。だがデルーシアはぶら下がる山田をそのまま引きずって、リング中央に移動。そして難なく山田の足を振って外し、サイドポジションに。上四方、横四方と移動しながらデルーシアは、山田の頭に座るようにして両手をキープする。デルーシアは山田の左腕を選んだ。山田の左腕とともに寝るデルーシア。山田も瞬時に下半身を回転してデルーシアに被せるが、デルーシアは山田の腹を蹴って遠ざけ、腕ひしぎ逆十字を完成させる。


 つてKOPトーナメント決勝に残った山田と、2回戦で敗退したデルーシア。掌底による山田の流血→レフェリーストップで、デルーシアが初対決は勝利。それを帳消しにするように、完璧なタップを奪ってリベンジした山田。同じ1勝1敗でも、実力的には山田が上と見ていい過去だった。そのころは明らかに『差』があった。しかし今日はその『差』をそのままに、立場を逆転して見せられた気がする。フィニッシュといい、試合中のムードといい、『デルーシアが上』に見えた。そう見えてしまうほどデルーシアは激戦の中で強くなり、山田はブランクの中で弱くなってしまった。

 かし、それでいいと思う。強い山田を見たい。それは誰もが望むところだろうが、それが簡単に見れてしまうようでは、パンクラスにも先がない。山田は苦しいだろう。しかしその苦しみを、山田は楽しむことが出来る男だと思う。その苦しみを乗り越えて、いつか山田はこの日のタップを帳消しにするようなリベンジを見せる、そう心に誓っているはずだ。

(誉田徹也)

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(取材:誉田徹也・岩瀬俊・川島智治 カメラ:大場和正)