昨年のNBT(準決勝)で初対決、今年に入っても1月そして4月と対戦を重ねるが、3度とも長谷川が勝利を修めているこのカード、美濃輪にとっては世代闘争などと言ったものではなく、個人的なリヴェンジ・マッチの色合いが濃い。互いにとってブラインドで試合相手が決められたはずのこの大会、そこでの巡り合わせも、因縁深いものを感じたに違いない。とりあえず、リヴェンジには最高の舞台だ。
試合は長谷川の力のこもったミドルから始まる。しかし、美濃輪は全く動ずるふうもなくきついローを返していく。4発、5発と単発のきついローを膝の内側、外側から入れる。そしてそこから猛然と掌打を仕掛けて組み付き、長谷川を閂にとらえて、そのまま後ろへ豪快な反り投げを見せる。
しかしそれを潰した長谷川は上から腕十字を狙いへ。だが、「(長谷川には)苦手意識がすごいあったが、思い切って行った」と語る美濃輪、慌てることなく巧みにこれをかわし、上下を入れ替わらせ、攻め立てる。バックを取られそうになった長谷川は、リング上を這うようにして逃げ、それを美濃輪が追った。ちょうど「トムとジェリー」のような光景。結局捕らえられた長谷川だったが、すぐさま上のポジションを取り返す。しかし、きっちりとクロス・ガードをとる美濃輪。脚にちょっかいを出すようなそぶりで罠を張り、長谷川の注意がそれたところで腕を取りに行き、腕十字の形に。
例のごとく、無理矢理に腕をひっこぬこうとする長谷川。極めが浅くなりそうだったが、しつこく、そして慎重に、きっちりと形を保って極めに行く美濃輪は絶対にその腕を放さない。「尻がついた時に自分の足が出てたんで、狙われるかと思ったんですけど、完全に腕を持ってたんで、このまま粘って思いっきり引っ張って」完璧に腕を伸ばす。そしてレフェリーの唐突な「ストーップ!」の声。それと同時に試合終了のゴング。練習でも1本も取ったことなく、vs國奥戦でしかタップをしたことのない長谷川から、会心の1本勝ち。最初から最後まで自分のものだったこの試合、美濃輪は「デビュー戦以来」と語る、最高の勝利でリヴェンジを飾った。
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