98・10・25
VALE TUDE JAPAN '98
東京ベイNKホール
 

第4試合(76キロ契約)

×  
3R0分20秒
T.K.O.
修斗ミドル級4位
ジアン・マチャド フランク・トリッグ
RCJマチャド柔術 rAwチーム
   

 

 レーシーと双璧をなすブラジリアン柔術の雄、マチャド柔術。ジアン・ マチャドはこの一族の四男。ブラジリアン柔術の大会では十連覇という大変な記録を保持している。

 だが、今まで、マチャドはバーリ・トゥードに否定的だということで、柔術の土俵の外には出てこなかった。その天才的な技術は、道着をつけた柔術 の大会でしか披露されることはなかったのだ。

 そのマチャドが遂にバーリ・トゥードに挑戦してくる。


 手は、リアリティ・マネジメント所属、わかりやすく言えば、rAwチー ムの実質的な一員であるフランク・トリッグ。インサイド・ガードを取ってグラウンド・パンチを乱打する、といういかにもrAwらしい戦法で修斗初戦 をなんなく突破している。

 マチャド柔術の秘技、名高いスイープなどの足でのコントロール技術がト リッグを子供扱いするか。それとも、押さえつけてインサイド・ガードから殴り続けるというアマレス流バーリの力技が炸裂するのか。

 柔術vsアマレス。NHBの定番の争いである。


 論から言えば、トリッグの完勝だった。

 マチャドの技術がダメだったわけではない。組んだ時に、下に潜り込むよ うにしてテイクダウンを取ろうとするマチャドの動きは実に良かったし、下になってからも、魔法のようによく足が働き、何度もトリッグをひっくり返 しかけた。だが、それでもトリッグは立ち続け、上を制し続けた。

 実にバランスがいいのである。

 リッグは、単にともかく倒して上にのろうという他のアマレスラーとは 異なり、まず組む。組んで、膝を当てていく。勿論、膝を出せば不安定になるのだが、それでもバランスを取って倒れない。マチャドに足を取られても、 なかなか倒れることはなく、下にもぐりこむマチャドの動きをも制し、倒れた時には上になっている。 そうしてインサイド・ガードからのパンチを狙う。

 着されたら細かくパンチを打ち、立って猪木・アリ状態になっても、足 で顔面を蹴る。

 リーンヒットがなくても、何発もパンチを食らえば、動きが悪くなる。 そこにトリッグのパンチ、組んでの膝が容赦なく襲いかかる。蓄積されるダメージ。しかも、組んだ時に下に潜り込んで倒していこうとするマチャドの 戦法は、膝を得意とするトリッグに対しては、あまりに危険だ。


 の定、3R開始直後、組んだ途端にトリッグの膝がマチャドの顔面を直 撃した。額が割れ、鮮血がほとばしる。思わず崩折れたマチャドの顔面を、トリッグのグラウンド・パンチが何発も襲う。

 ットに飛び散る血の飛沫。

 レフェリーが慌てて試合をストップさせた。

 たり前の話しだが、道着を着ていたら、マチャドの下からのコントロー ルにトリッグは成すすべもなかったろう。打撃がなかったら、下にもぐりこみながらのマチャドの動きは、最後には、トリッグの上を制していたことだ ろう。

 だが、ここはバーリ・トゥードである。

 バーリにはバーリの掟があるのだ。

 

 
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取材:山名尚志 カメラ:井田英登