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Report
ufc99・11・14“Ultimate Fighting Championship Japan”東京ベイNKホール

第1試合(UFC-J ジャパニーズ・チャンピオンシップ一回戦 5分2R) 
×
RJW
矢野倍達
174cm 87kg
2R 3'12"
KO
PUREBRED STG大宮
藤井勝久
183cm 98kg

ワンパンチの魔、矢野VT初勝利ならず


 FCの日本での主役を決定するためのトーナメント。その第一試合は、RJWの矢野と大宮の藤井の間で争われることとなった。
 矢野は言わずと知れたレスリングの強豪選手。99年の全日本選抜選手権ではフリーの97kg級で4位入賞しているばりばりの現役である。総合の戦績では2敗と、まだ勝ちはないが、バーリ・トゥードの基本中の基本であるレスリング技術では圧倒的な強みがある。おまけに「倍達」。かの故大山総裁にちなんだ名前である。これはやはり期待してしまう。
 対する藤井は修斗のBクラスの選手。大学時代はフリースタイル・レスリングの選手だったが、実績では矢野には及ばない。しかし、96年の全日本アマ修斗ヘビー級優勝以来の総合の長いキャリアがある。

  合はパンチの打ち合いから始まった。
 事前のインタビューでは打撃の練習はしていないと言っていた矢野だが、なかなか堂に入ったパンチを見せ、ローキックも出していく。打撃の技術、リーチの面では上回る藤井。しかし、矢野の意外な打撃技術の前になかなか攻勢に出られない。
 どちらもラッシュに入れないまま時間が過ぎていく。
 ラウンド後半、矢野がついに攻勢に出る。いきなり間合いをつめて組み付く。藤井はそれを受け止め、膝を出すが、有効打とはならず、金網に押しつけられテイクダウンを奪われてしまう。
 こうなればレスリング技術で上回る矢野の独壇場である。
 インサイド・ガードから殴り、あるいは肘を落として攻め続ける。下から抵抗を図る藤井だが、顔面をガードし、矢野の手首を押さえてディフェンスするのが精一杯。ポジションを崩すにはいたらない。
 このまま第1ラウンド終了。攻勢点は明らかに矢野だが、立ち上がった藤井の顔面には大きなダメージは見られない。まだまだ闘える状況である。


  ラウンド。再びスタンドでのパンチの打ち合いが始まる。
 この時、矢野の頭には、判定のことがちらついていたのだと言う。既にポイント的には有利。このままいけば勝ちは動かない。
 守りの発想は、集中力の欠如を招き、隙を生む。
 追いつめられた藤井のパンチが、その隙をついて、矢野の顔面に吸い込まれた。がくっと膝を落とし、ぐらつく矢野。すかさずラッシュにいく藤井。金網に追いつめてパンチの連打。
 矢野の腰が落ちた時、KO負けが宣せられた。

 試合直後、矢野は落ち込んでいた。悔しがっていた。
 8割方手に入れていた勝利が逃げていってしまったのだから当然といえば当然だ。
 だが、それだけではなく、矢野は総合が好きになってきてもいるらしい。一流の実績を持つ日本人のレスリング選手のバーリ・トゥードへの参戦はまだ珍しい。
 矢野の再起を期待したい。


関連記事・矢野倍達インタビュー
(出場決定後の9月11日に収録)


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次の試合 :2. 山本喧一 vs 高瀬大樹

レポート:山名尚志 カメラ:井田英登

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