第8試合 トーナメントAブロック1回戦 5分2R | ||||||||||||||
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あの音楽が聞こえてくる。
80年代前半、アメリカ、そして日本のプロレス界を席巻したテーマ・ミュージック、オージー・オズボーンの「アイアン・マン」。
ロード・ウォリアーズの登場曲だ。
UWFも、グレーシーもなかった頃、ロード・ウォリアーズの「神話」は絶大な存在感を持っていた。アイアン・マンの曲を聞きながらイライラとリング上で待つ相手チーム。そこに疾風のように走り込んでくる二人の暴走戦士。
殴る。蹴り飛ばす。高々とリフトアップし、四方にアピールしてから、マットに相手の体を投げ捨てる。そうして、トップ・ロープからのダブル・インパクト。
わずか2〜3分で全ての対戦相手が壊れた玩具のようにマット上に砕け散っていた。誰が何と言おうとウォリアーズは「最強」だった。
そのテーマ曲に乗り、アニマル・ウォリアーに先導されて、ブラッド・コーラーが登場してくる。プロレスラーにしてUFC戦士。
しかも、ケネス・ウェイン・シャムロックのように「シュートのテクニック」を売るタイプではない。
短躯ながらも隆々とした筋肉を誇るパワー・ファイター。
その姿は、どこか、「生傷男」ディック・ザ・ブルーザー・アフィルスを彷彿とさせる。
ロード・ウォリアーズ「所属」のバーリ・トゥーダー。
幻影と現実がクロスする。あからさまにいらついている山本。
いきなりハイをぶっ放す。それをタックルでテイクダウンするコーラー。サイドに回るが、山本がガード・ポジションに戻す。ガンガンとボディにパンチを落としていくコーラー。だが、展開がなくブレイク。
グラウンドに入ってからのいつもの落ち着いた流れるような動きが山本にまるで見られない。剛腕を振り回すコーラー。先のUFCでこれを喰らった相手選手は、強度のむちうちとなり、コルセット装着を余儀なくされている。
かいくぐって組み付き倒しにいく山本。そのままバックを取る。
だが、コーラーが、ばんと弾けるようにパワーでひっくり返す。そして上からまたもやボディ・パンチを打ち込む。
山本の動きが完全に止まる。
相手の首を太い腕で巻き込むコーラー。
この状態のまま試合は終了。
グラウンドでの顔面パンチのないルール。それでも、コーラーは、パワーで山本を粉砕した。
極め技は「肩固め」とコールされた。
だが、事実は、肋軟骨の骨折。サイドから押しつけられた膝とパンチで肋骨が破壊されたのである。
世紀末、ウォリーアーズの神話が一晩限りの復活を見せた。
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次の試合 :9. レナート・ババル 対 リー・ハスデル
レポート:山名尚志 カメラ:井田英登 |
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