ぬめるような黒い体に金のショートカット。そして下からのガン付け。フィエートのキャラクターは、すっかり、ファンに受け入れられている。これには、クータジャーのセコンドについていたモーリス・スミスも大喜び。
対戦相手のクータジャーは、ダニエル・ヒギンス選手の負傷欠場に伴い、代わりにリングス・オーストラリアから参戦してきた選手。柔道のオーストラリア代表の経験があり、国内での総合格闘技大会では、2戦して2勝している。
試合は、意外なことに、クータジャーの鋭いミドルキックで始まった。
フィエート、すかさず反撃。ところが、思いっきりナックルを打ってしまう。幸い、クータジャーの顔面をかすめるに留まった。手を合わせて平謝りするフィエート。
再開。フィエートが肘を振り回す。リーチが長いため、まるでフックを打っているように外側からクータジャーをフィエートのエルボーが襲う。クータジャーも肘で応戦。だが、肘パッドをしていない。これで仲良くイエロー。
ところがクータジャーが納得しない。「何でオレだけ肘がダメなんだ」とごねる。リング回りでは肘パッドを探してばたばたとスタッフが動き回る。段取りが悪い。
前田代表の雷が落ちた。「試合前にきちんと説明しとかんかい!」。
この一発であっという間に試合再開。ようやく持ってこられた肘パッドだが、もはや用無し。寂しくリング下に置かれることとなった。
試合外のごたごたは長引いたものの、勝負自体はあっさりと片づいた。ミドルと掌底を主武器に前に出てくるクータジャーに対し、フィエートは肘、膝、ハイと乱れ打ち。そして、ボディへ見事なレバー・ブローを打ち込むと、後退するクータジャーの鳩尾に伸びのある前蹴りを一閃。
そのままKOに葬った。
試合後のフィエートは実に素直な好青年。ガン付けまくっているリング上の怪人とは到底同一人物には思えない。
「僕の名前を叫んでくれた人はみんな僕のフレンド。今日の勝利はフレンドのおかげ」。毎回のパフォーマンスも「フレンドが喜んでくれるから」やっているのだと言う。
来日初試合では、ペースも掴めないまま、トントントンと引きずられるようにファイトし、そのままスタミナが切れてしまったというフィエート。勝ち方も、負け方も、よくわからなかった。しかし、今回は、落ち着いて試合を運ぶことができた、それが勝因だと語ってくれた。
キャラだけではない、今後の活躍を期待させてくれる姿だった。
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