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Report
 
リングス 99.9.15 "BATTLE GENESIS Vol.5" 後楽園ホール
 
第2試合(20分1本勝負) 
リングス・イギリス
リー・ハスデル
D0E0
時間切れ
審議委員判定
引き分け
フリー
本間 聡
D0E0
 
n 間といえば、平と共に、かつて「後楽園実験リーグ」の主役の一人を勤めた選手だ。ゼンショー格闘技部、という懐かしい名前が頭に浮かぶ。リングスが、日本の総合格闘技の胎動の中心にいた時代。本間は、SA合気道など、フリーで実験リーグに参戦してきた他流波の選手を屠り、そして、当時まだ若手だった成瀬をも粉砕した。
 だが、その後、道は分かれた。
 平と共に正道会館柔術部へ移籍。「時計が止まったまま」の成瀬を、正道の興行で返り討ちにあわせたのが、最後のリングスとの接触だった。
 その本間が再びリングスに参戦してくる。
 フリーという肩書きではあるが、セコンドに、正道の平、そして後川が付く。平と後川と言えば、後楽園実験リーグの「ダブル・エース」と目されたこともある選手。二人の対決は、かつて後楽園を、文字通りの「札とめ」にした。パンフすら買えない程の入り。その二人が、セコンドとは言え、今再びリングスのマットにいる。
 懐かしい、昔の夢が蘇ったような光景。
 
 その前に立つのが、今や「若手の壁」であり、リングスの新ポリスマンの地位を固めたかに見えるリー・ハスデル。
 戦績からだけでは、ハスデルの実力を見誤る。ハスデルの真骨頂は、徹底したディフェンスにある。リーチの長さを生かして打撃戦でのイニシアティブを取り、相手が組み付いて来ても、コーナーをうまく使って、滅多なことではテイクダウンさせない。そしてグラウンドになっても、ポジション取りが固く、すぐにまた立ち上がってしまう。
 正直、ハスデルを倒すには、相当の実力が必要である。
 逆に言えば、鮮やかに一本勝ちを収めることができたとしたら、何時ランキング戦に出てもおかしくないだけの実力がある、ということだ。
  n クサー・ショーツをつけてリングに立つ本間。
 だが、重心は明らかに後ろにあり、打撃戦にいく様子はまるで見られない。キックを放ち、飛び蹴りで飛び込んでいくなど、試合を動かそうと積極的に突っ込むハスデル。それを組み止め、コーナーで差しにいく本間。NHB系の常套手段である。そのまま、押し込みながら、テイクダウンを奪っていく。
 しかし、ロープ・ブレイクがあるリングスでは、このやり方は不利だ。すぐに体がロープの外に出てしまい、せっかくマウントを取っても、そのまま分けられてしまう。まして、相手は、ルールを知り尽くし、決して自分不利の体勢に持って行かせないハスデルである。
 
n 案の定、何回本間が倒しても、すぐにロープ・ブレイクになる展開が続く。途中で、本間も気が付き、低めのタックルでテイクダウンする戦法に変更したが、これとて組み付かれたハスデルが、そのままロープまで後退してしまうので、結果は同じ。差すなら差すで、完全に腰を伸ばし、コントロールしてしまうか、タックルならタックルで、スピードに乗ってその場で相手の体を浮かせて倒してしまうかするまでやらないと、ハスデルをロープ際から離すことはできない。
 かろうじて本間がグラウンドで極めの体勢にまで持ち込めたのはただの一回。それも足首狙いであったため、ハスデルも、アンクル、アキレスとやり返し、どちらが優勢とも言えないまま、スタンドに戻ってしまった。

n 打撃を嫌う本間と、グラウンドを避けるハスデル。
 両者、自分の攻めをまともに出す機会を見いだせないまま、時間切れとなった。「言い訳にはならないけれど、このルールは難しい」と本間はぼやく。もっと組んでくれるかと思っていたという。「僕のグラウンドを警戒してくれた、ということですかね。僕も、グラウンドが強い相手に対しては、ハスデルと同じ様な戦法でいくと思いますから」。
 本間にとってはほろ苦いリングス再デビューとなった。



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本間聡インタビュー・久々のリングスルールと今後を語る


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レポート:山名尚志 カメラ:井田英登