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99･8･19 リングス “RISE 5th.” 横浜文化体育館

第4試合 ランキング戦（20分１本勝負）
○	リングスジャパン 金原弘光 [-]	時間切れ ポイント差判定	リングスジャパン 坂田亘 [E]	×

　
　かつて、リングスの売りは、華々しい関節技の切り返し合いだった。だが、バーリ・トゥードと接触し、「ポジショニング」という概念が入るに連れて、そのスタイルは大きく変わって来た。
　まずは上を取る。
　関節を狙う前に押さえ込む。
　結果、一時は、かなり膠着する展開も多かった。亀を崩すための攻防。ガードをパスするための攻防。ルール変更によりボディ・パンチの彩りは添えられるようになったが、それでも、膠着ブレイクが宣せられるまでに動きがなくなることも珍しくない。

　だが、そうした状況も、また、少しづつ変化してきている。
　一つは、不利と思われていたポジションからの逆転技の開発である。下から足で相手の体をコントロールする柔道の技術を応用した各種のＴＫシザーズ。バックを取られた瞬間に、相手の腕や足首を手繰って反対に攻撃にでる「桜庭」戦法。ガードからも、三角や腕十字狙いだけではなく、アームロックにいき、極められないまでも体勢をスタンドに戻してしまうなどの動きがよく見られるようになってきた。
　加えて、「グラウンド顔面パンチ」という最終兵器のないリングス・ルールがある。ポジショニングだけでは勝てない。そこから極めにいくプロセスこそが重要である。
　だから、マウントには拘らない。
　横四方、袈裟、上四方と動きながら十字の機会を狙う。
　足関節も禁じ手ではない。
　こうして、ポジショニングという概念を入れつつ、リングスのスタイルは再び動的な方向へと展開し始めた。

　この金原vs坂田戦は、まさにそうしたリングスのスタイル、技術の「今」を見せるものだった。
　先の金原vs成瀬戦とは違い、両者の間に妙な意地の張り合いはない。
　だから、打撃を見せたい、と双方がある程度意識していたにも関わらず、「潰し」の意識がちらつく肘・膝が飛び交うこともなく、試合は自然とグラウンドでの展開となっていった。
　金原の蹴り足を取り、テイクダウンする坂田。ガードに入ってから上体を起こし、坂田の腕をアームロックに持っていこうとする金原。それを切ってバックを取る坂田。そこから腕を手繰る金原。かつての切り返し合戦ほどのスピード感はないが、膠着することもなく、両者の動きが粛々と続いていく。一種、教科書的な動きといっていいかも知れない。
　試合が進むに連れ、地力で勝る金原が上に乗る機会が多くなっていく。ニー・イン・ザ・ベリー、横四方、袈裟、上四方。細かくポジションを変更しながら十字を狙う。だが、坂田も極めさせない。隙をついて体を起こし、下から抜けにいく。その動きに合わせてバックを取る金原。体を回転させてガードに戻していく坂田。汗ですべる・・・ということもあったようだ。だが、金原が極め切れなかった最大の要因は、やはり、坂田の着実な技術であろう。
　押す金原。何とか返す坂田。
　勝敗を分けたのは、金原の、ポジションを一瞬崩してのアキレスによるワン・エスケープだった。

　

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